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愁情碧天  作者: 東 正
14/18

カフヱテリア

喫茶店の唄。僕史上最も多くカタカナ使いました、多分。なお季節

茶店の窓際

クリームソーダのグラス

ちろりと指でなぞる

グラス越しに見た青

それはとても透明で

どうしてか目を逸らす



ラヂヲの音楽

俗なポップミュージック

がらりと鼓膜を爆ぜる

Bメロのフレーズ

それはすごく曖昧で

なのに耳に残る





ガラスの向こう

つつじの向こう

陽光降り注ぐ

凹凸コンクリート

灼熱の鉄板と化し

往来焼き上げる



熱気纏わせ

皮膚湿らせ

ひぃひぃ息吐き

あの人は行き

はぁはぁ肩下げ

かの人は過ぎ





ガラスの内側

此方の傍

ウェイトレスたちは急く

エアコンで冷える店の中

額へ水滴滲ませ

あちこちに舞う



後ろの客が立ち

前のボックスが埋まり

隣のテーブルに冷やが出

斜めの皿が運ばれていく





燻るコーヒーとシナモンの尾びれ

バターの匂いの後の嬌声

痴情へ(もつ)れたアールグレイ

焼ける粗挽き肉に穿つキーボード



ぐちゃりと混ざって空気が揺れる

ぼくの周りは煙っていく

そのままぼくは見えなくなる

ごとごと埋もれて隠される






2人がけのテーブル

向こう側のウッドチェアは

からっぽで立っている

二度と埋まらず立っている




目の前にクリームソーダがあった

白い斜陽が溶けていた

緑の海水は喉の奥で弾けた

泡は夢のように消えた



グラスを撫でた

絡んだ露を掬えば

覗いた緑の向こう

此方へ微笑む人を見た






ぼくは一口ソーダを飲んだ


人肌で甘ったるいソーダを飲んだ

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