カフヱテリア
喫茶店の唄。僕史上最も多くカタカナ使いました、多分。なお季節
茶店の窓際
クリームソーダのグラス
ちろりと指でなぞる
グラス越しに見た青
それはとても透明で
どうしてか目を逸らす
ラヂヲの音楽
俗なポップミュージック
がらりと鼓膜を爆ぜる
Bメロのフレーズ
それはすごく曖昧で
なのに耳に残る
ガラスの向こう
つつじの向こう
陽光降り注ぐ
凹凸コンクリート
灼熱の鉄板と化し
往来焼き上げる
熱気纏わせ
皮膚湿らせ
ひぃひぃ息吐き
あの人は行き
はぁはぁ肩下げ
かの人は過ぎ
ガラスの内側
此方の傍
ウェイトレスたちは急く
エアコンで冷える店の中
額へ水滴滲ませ
あちこちに舞う
後ろの客が立ち
前のボックスが埋まり
隣のテーブルに冷やが出
斜めの皿が運ばれていく
燻るコーヒーとシナモンの尾びれ
バターの匂いの後の嬌声
痴情へ縺れたアールグレイ
焼ける粗挽き肉に穿つキーボード
ぐちゃりと混ざって空気が揺れる
ぼくの周りは煙っていく
そのままぼくは見えなくなる
ごとごと埋もれて隠される
2人がけのテーブル
向こう側のウッドチェアは
からっぽで立っている
二度と埋まらず立っている
目の前にクリームソーダがあった
白い斜陽が溶けていた
緑の海水は喉の奥で弾けた
泡は夢のように消えた
グラスを撫でた
絡んだ露を掬えば
覗いた緑の向こう
此方へ微笑む人を見た
ぼくは一口ソーダを飲んだ
人肌で甘ったるいソーダを飲んだ