6話 臭いっっっっっっっっっ!!
「あの……魔王の話……」
「みんな、ボブのことスルーボブ!? ひどいボブ! ボブ悲しいボブ!! ボブ死ぬボブ!!!」
ボブが涙ながらに叫ぶのを見て、俺はハッとした。
「やめろ! スティーブン!! お前はボブじゃない!! スティーブンだ!!」
因みにもう一人いたやつはこのタイミングで帰った。実家に。
ってアイツの実家魔王城じゃんww自演乙ww流石に魔王本人ではないんだろうけど。息子辺りか。
「あの! 魔王の話を聞かせて欲しいんですけど!!」
「ボブはボブのアイデンティティボブ!! スティーブンって誰ボブ!? ボブを殺す気かボブ!?」
何だかボブ弄りが飽きたから俺は言ってやった。
「スティーブンめんどくせぇ」
そしてボブは突然無表情になって帰った。
ってか、あいつの名前は本当にスティーブンだし。
「怖っ。スティーブン怖っ」
「魔王の話……」
女の子が寂しそうに呟いた。
あ、そういや女の子がいたんだった。完全にww忘れてたww
「待たせてすまない。魔王の話なら俺が知ってるが、聞くか?」
キリッ。そんな効果音(?)が聞こえそうな表情で俺は言ってみた。いや、事実聞こえてた。効果音だった。
「お願いします!!」
女の子は効果音など聞こえていないかのように、俺の提案に飛びついて来た。物理的に。いや、物理は無理だろ。凄いメタいな。まぁいいや。
俺は唐突に語り出した。
「現在、この世界は魔王によって統治されている。魔王とは魔物の王である。魔王の略歴を仕方なく説明すると、彼は32の時に上京。地元と都会との生命力の差に圧倒され、一度は死を決意する。しかし、死の直前にその死によって生命力に差が付いているのだということを悟り、逆転の発想で世界を統括する決意をした。それと同時に自分が魔王であることに気が付き、魔王の一員としての生命力を思い出した。それが45のときである。その後、魔王は世界を統治するに至るのだが、これ以上説明が続くと俺の生命力が持たないので止めておこう」
なんて胡散臭いんだろうか。実際に匂いがしているくらいだ。其れもそのはず。何を隠そう、全て俺の作り話なのだ。そして、俺の作り話は大抵臭いのだ。実際的に。