3話 who are you?
昆布男は俺の方を指さして、呪文を唱えた。
「Who are you? How did you come here?≪火の玉よ来い≫」
唱えると、その指先から火の玉が飛び出して俺の近くの雪を溶かした。
「どうだい? 暖かいだろう? この火の玉はおじさんの御先祖様なんだ」
火の玉ェ……。もうちょっとで焦げそうだったんだけど。ご先祖様とかそういうアレじゃなくない? てか三歳児ここにいるんだから助けろよ。いや、助けようとしてるんだろうけどww
俺が必死に目で訴えると、昆布男は俺の方をみてケヒャヒャと嗤った。
……嗤うなよ、笑えよ。いや、笑うなよww
男が嗤うと、白滝が頭の上でぷるぷると震えた。
「じゃ、おじさんは帰るね」
通じてねぇwwあ、なんか声出せるようになった。何と言うご都合主義ww
「助けて。おじさん、助けて。ねえ、おじさん。助けてよ。ねえ! ねえったら!! ねえ、助けてよ!! 死んじゃう! 俺、死んぢゃうからぁ……!! 助けて! 助けて! おじさん! ねぇ、助けて! Hey! そこの Nice Guy!! Help me!! Help me!! ……いや、まじごめん。悪ふざけが過ぎました。 ねぇ! 助けてよおじさん!!」
これ最初の台詞……。ご都合主義とは何だったのか。昆布男許すまじ。
あ、なんか昆布男戻ってきた。こっち来んな。……いや、来てください。まじで。
昆布男は無表情で俺を抱き上げると、無言のまま歩きだした。
「お、おじさん……? おーい。おっちゃん。聞こえてる? おっちゃん! おっちゃん! ねぇ、おっちゃん、コミュニケーションって知ってる? おっちゃーん!! どこ行くの? ねぇ、どこ行くの? あのさ、あのさ! おっちゃん! 無表情やめて! 笑っても良いから! 嗤っても良いから!! さぁ、笑いたまえ!! 盛大に笑いたまえ!! HA☆HA☆HA!!」
……どうやら今世も駄目だったようだよ。
昆布男はいつの間にか雪原を抜け、森の入り口に到達していた。森を少し入ったところにある集落の真ん中に俺を降ろすと、唐突に無表情で踊り出しながら雪原へと戻って行った。
俺の状況は微かに改善された。昆布男によって。