第六十二話 動き
「動き?何があったんだよ」
キール・パラメデスがジュードに問う。
「どうやら奴ら、一斉に動いて何かの目標の元へ行こうとしているようなのだ」
「目標・・・ねぇ」
リリィは顔に手を当て考えこむ。
「彼らは私達が治める国について異議があったのよね?」
「報告書にはそう書いてあるな」
「それで、どんな動きの理由は教えて貰えるのか?」
ルーク・ランスロットは椅子の背もたれに深く腰掛ける。
「それに関してはまだ謎なのだが・・・」
「だが?」
「奴らが動いて向かってきている方角に問題がある」
「方角、ですか?」
「グルル」
アリア・ユーウェインは顔を不安げにしながら自らの相棒であるアンガラを撫でる。アンガラの方も主の不安に気づいたのか不安げな唸り声をあげる。
「奴らが向かってきているのはここ、アヴァロンだ」
「ええ!?」
アリアは更に驚く。
「アリア、落ち着きなさい」
「ローズ・・・」
「それより続きを話していただけますか?何故その組織がこの国に向かってくるのかを」
ローズ・パーシヴァルはアリアを落ち着かせ続きを促す。
「それなんだが・・・」
ジュードは言葉に詰まったように会話を止めるがやがって話し出す。
「分からないんだ」
「分からない?」
それにここまで無言だったセレナが声を出す。
「ああ。ここまで向かってくるからには俺達12魔騎士の聖剣などを目当てにしているのかと思えばそうでもないようだ」
「何か別の目的がある・・・と?」
「そう見るしかないだろうな・・・」
「・・・」
セレナも考え込むように腕を組み目を閉じた。
(何か、別の目標・・・組織・・・人員を求めて?)
「一つ、言わせてもらっていいかしら?」
セレナの一声に一同目と耳を向ける。
「私が思うに人員を求めに来たのではないかしら」
「人員?」
「優秀な人員確保なんじゃないかしら」
「それにしても、何故私達はアヴァロンの方に向かってますの?確かに私達の最終的な目標はアヴァロンの打倒ですが何も今行かなくても・・・」
ガタガタと揺れる場所の中でレアは愚痴をこぼす。
「そうは言ってもよ、上の指示なんだから、しょうがないだろ」
トールはそのレアの愚痴に苦笑しながら答える。
「そう言われても納得出来るものと出来ないものがありますわ」
「それでもいいじゃない。たまには遠出して太陽の光を浴びないと、ただの引きこもりになっちゃうわ」
「全く、アルテミスは・・・」
「それより、他のメンバーはしっかりと付いてきてるのかよ?」
トールは不安げにもう一台の馬車を見る。
「皆自由な性格してるからなぁ・・・」
「それより、トール少しいいかしら」
「どうした?」
「私、何事も見て観察するのは好きなのだけれど・・・」
「ああ」
トールは納得して顔を横に向け窓を見据える。
「確かに俺も苛立ってたんだよな」
「消しますわよ」
レアも鼻を鳴らして手から雷を迸らせる。
「レア、あなたの技はうるさいし目立つわ。これからの事も考えて目立つような行為は控えなさい」
「しかしアルテミス!」
「はぁ・・・すぐに終わらせるからそこに座ってなさい」
アルテミスの手には一つの弓が握られていた。
「勝手に覗き見るのは淑女に失礼というものよ。代償は安くないと思いなさい」
馬車で揺れている中、アルテミスはただ冷静に弓の弦を引き絞り、一点に放った。
「っ・・・!!」
間違いなく2km以上離れている場所にいた敵を射抜いてみせた。更にアルテミスは矢を弓に番える。
「ふっ」
「っ」
「っ」
「・・・」
確実に敵を射抜いて見せている。
「弓は静かに、確実に敵を消せる。素晴らしい武器だわ」
「ふん・・・私は好きにはなれませんわ」
「それは目立たないから?」
「当然ですわ!」
アルテミスは苦笑する。
「そろそろアヴァロンに到着します。皆様、ご準備を」
「分かった。さて、アヴァロン観光楽しみながら昔の同期を迎えるか」
最後まで読んでくださってありがとうございます。
いよいよ物語も後半戦です。これからも当作品をよろしくお願いいたしますm(__)m
また、恐らくこの話の最終話は新作と同時投稿になるかもです。




