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有無の騎士  作者: 七咲衣
鴉の巣窟
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第五十八話 続八人の鴉

遅くなり申し訳ありませんでした

ある草原に一人の女性が立っていた。女性の手には女性の伸長の倍以上はあるハンマーが握られていた。


「ギチギチギチ」


女性の回りから大型の昆虫が何匹も地面から這い出てくる。


「ん~・・・あたし、昆虫とか虫系統、あんま好きじゃないんだけど・・・」

「ギチギチ」


女性の回りの虫型の魔獣はカブトムシの形をしたものやクワガタの形をしたもの、蝶のような魔獣など実に多種多様な種類の魔獣がいた。


「しょうがない!!」


女性は一つ声を上げると女性の体が一瞬白い光に包まれる。


「ふっ!」

「ギチギチ」


女性はとてつもない跳躍を見せる。それに周囲の昆虫型の魔獣達は驚いたような声を見せる。しかし昆虫達も負けじと自分達の羽を震わせる。


ヴヴヴヴヴヴ・・・


そんな羽音が大量に鳴り始める。


「どぉぉぉっせえええええい!!」


少女は上空でクルリと一回転した後自分の持つハンマーを思いっきり振り上げる、そして・・・


ドゴォォォォン!!


辺りに隕石が落下したような爆音が鳴り響く。


「まだまだぁ!!」


カシュッ!バゴンッ!!


そんな異音が一つした後更に爆音が鳴り響く。


「うんうん、やっぱこの火薬ってのを使ったハンマーは楽しいしスッキリするねぇ」


女性が一つハンマーを振るえばその度に昆虫型の魔獣達は粉々になっていった。


「ふぅ・・・あ、そういえば集合かけられてたんだっけ。なんの用だろ」


女性は回りの魔獣を全て粉々にした後草原の奥にある扉を潜り、広場に足を向ける。




「お、ティア。来たか」

「うん、皆集められて、何の用なのかな?」

「さてな、それはまだ俺達も分からないんだ」

「ふぅん」


ティアは自分の席に腰かける。


六人は誰も座っていない三つの椅子を眺めた。






カァーカァー


彼女がいた場所には無数のカラスの鳴き声と無数の十字架が立っていた。


「やっぱここが落ち着く・・・」


彼女は無数の十字架の中にあった一つの椅子に腰かけていた。


「あうあうあ・・・」

「ひっ」


彼女の周囲から人型の魔物が何匹も現れる。


「アァァァァァ」

「ひいいい」


彼女は怯えて後ずさる。


「アァァァ」


彼女が後ずさる間にもアンデットの数は増え続ける。


「ひぃぃ」

「ァァァ」


遂に彼女の周囲はアンデッドに囲まれてしまった。


「・・・・」

「アアアアァ」


彼女は沈黙する。それをアンデット達は諦めと思ったのか更に前進してくる。


「・・・どんな生き物にも等しく死が存在する。人間、動物、魔物、魔獣、全てに死が存在している。それが例え・・・一度死んだ者であっても」

「アアアア」


彼女は来ていたローブの袖から一つの杖を取り出す。杖は簡易の木製の杖だったがどこか神々しさを感じる杖であった。杖の先にはブラックダイヤモンドが埋め込まれていた。


「敵対する存在に・・・・・死を」


彼女は杖の先で床を一つ叩くと周りにいた全てのアンデッドの魔物が塵になった。


「・・・・はぁ」


彼女はそのままため息を一つく。


「そういえば・・・集合がかけられてたっけ」


そのまま彼女は無数の十字架の奥にある扉を潜り廊下に出てそのまま広場へ向かう。




「お、タナトスも来たのか」

「うん、上からの集合だし逆らう訳にはいかないもの」

「そうだな」


タナトスは自分の席に腰かける。


七人は誰も座っていない二つの椅子を眺めた。






「・・・・」


彼がいた場所には様々な人種がいた。人間、魔族、獣人。様々な種族が存在していた。


「よし!スリーカードだ!!」

「俺はストレート」

「残念、フルハウスです」


彼らは総じて一つのゲームに興じていた。その中に紛れる彼もそのゲームに参加していた。


「・・・」

「お前はどうなんだよ?」

「手を見せろよ」

「・・・」


彼は何も言わず無言で手札を露わにして放り投げる」


「な・・・」

「まさか!?」


彼が放ったカードはスペードのA、K、Q、J、10。


「・・・ロイヤルストレートフラッシュだ」


そこで彼は席を立つ。


「おい、行くのかよ?」

「もうやめるのですか?」


扉へ向かう足を止め彼は振り返り言い放つ。


「ああ。退屈だからな。最近何もかもが色褪せて見える。つまるところ・・・退屈なんだ」


そのまま扉を開け放ち外に出る。


「こんな所に遊びに来ていたのか、ロキ・・


外に出た途端全身黒一色に着込んだ人物が立っていた。ロキと呼ばれた青年は少し驚いたような顔をする。


「あんた自ら出てくるなんて、どういう風の吹き回しだ?」

「少し重要な案件が出来たのでな」

「へぇ」


ロキは眉を上げる。


「それは・・・少し面白いかもしれないな。案内しろ」

「いいだろう、砦へ行くぞ」

「分かった」


そんな会話を交わした後、その場には誰も残っていなかった。





広場には八人の人物が集まっていた。


「さて、諸君。君達に集合をかけたのは一つ面白い知らせが入ったからだ」

「へぇ。俺達に集合をかけるほどなのか?」


トールが不思議そうに声を上げる。


「無論だ。詳しい説明は、彼女に行ってもらうとしよう」


そう黒一色に着込んだ男が言った後奥から一人の女性が歩いてきた。


「ナナか。久しぶりだな」


トール達は意外そうに声を上げる。彼女はこの広場にかつて・・・いた同胞がいなくなった後あまりこの砦に寄らずとある場所に足を運んでいた。


「それで、何があったんだよ」

「ああ。君たちは今八人全員集まっているな」

「そうね」


アルテミスが相槌をうつ。


「かつて、この場所には九人の少年少女が集まっていたということを覚えているか?」

「ああ、そういえば・・・」

「ロストってのがいたな」

わたくしはとっくに死んだと思っていたのだけれど?」

「それで、なんでそんな懐かしいやつの名前を出すんだ?もうそいつはこの世にいないんだろ?」

「ああ。我々もそう思っていた・・・・・



「つい先程、ロストが生きている事が判明した」

最後まで読んでくださってありがとうございます。

ようやくこの章が動き始めました。

最近寒暖の差が激しいですね。作者も風邪を最近引いちゃいました。皆さんもお気をつけて。

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