第五十三話 勇者と魔神と無の騎士6
最新話、お待たせしました。
「1匹」
ロストは獰猛な笑みを顔に浮かべながら燃やし尽くした邪龍の上から飛び降りる。
「残るは感知タイプの邪龍が1匹、光を失くした首が1匹。普通に考えてみれば光を失くした方が潰しやすくはあるんだろうが・・・」
ロストは邪龍から瞬時に離れ、距離を取る。
「いくら失明した邪龍っていっても多分・・・」
距離を取った先からライフルを取り出しそのまま射撃体勢に入り引き金を引く。
ギュオッ
異様な音を鳴らしながら光線が邪龍に向かう。
「ォォ!!」
「まあ当然受けないよな」
失明したはずの邪龍はまるで光線が見えているかのように当たり前に受ける。
「感知型のがもう1匹の目の役割を果たしているのか。ならまずは感知型から潰して、そこから最後の1匹を潰すのが定石か」
邪龍はとぐろを巻き目が見えていないのにロストの方を正確に睨み付ける。
「なんて正確な嗅覚だ。目があるのと大して変わらないじゃないか」
悪態を付きながら二つのリボルバーを取り出す。
「まあ同じ箇所に十数銃弾叩き込めば少しは削れるか」
そのままロストは感知型の邪龍の方に向かい駆け出す。
「ォォォォ」
ロストはまず何か有効な武器がないか銃弾で牽制しつつ思案する。
「これといった武器はもうないし、どうしたものか」
「ォォォォォ」
邪龍は潰された1匹のことをまるで気にせずロストのことだけを狙ってくる。
「っと」
邪龍は体を鞭のように振り回してくる。
「ほっ」
ボロボロと様々な手榴弾をロストは放り出す。通常の手榴弾、タールをギッシリ詰め込んだ焼夷手榴弾、痺れ薬を器満タンに詰めた麻痺手榴弾。それらの兵器をロストは躊躇いなくばら撒く。
「少しは効果あるか?」
投げた手榴弾の全てを体に叩き込む。
「ォォ」
「何か当たったか?みたいな反応するなぁ、もう少し射掛けてみるか」
ロストは2丁の拳銃を邪龍に向け射撃する。
バンッバンッ!
瞬時に撃ち放った幾つもの銃弾は寸分違わず同じ個所に命中する。
「ォォォ」
「!」
全ての銃弾が放たれた箇所は鱗が剥がれており、肉が見えていた。
「少しは効果があっ」
バキンッ!
「え?」
ロストは自分が持っていた2丁の銃から嫌な音が鳴り響いたのをしっかりと耳にした。
「え、えーっと・・・」
恐る恐る両手に持つ銃の方に視線を向ける。するとそこには綺麗に折れたロストの元愛銃の姿があった。
「う、嘘おおおおお!!!?冗談じゃねえぞ!?今から最凶クラスの化物魔獣を相手にするってのに、相手に傷を与えられる武器がないなんて笑い話にもならん!!」
「ハァ・・・ハァ・・・、全く、君はなんて面倒な奴なんだ。この龍にここまで傷を負わせたのは君が初めてだよ。面倒だったから少し無理してでも君の武器を壊す事にさせてもらうよ」
「ちくしょうめ!無理してこいつの操作を少しやめてでも俺の攻撃手段を奪うのか・・・・」
「ォォオオオオオ!!!」
「くっ!制御が、ほんっと、制御が難しい相棒だよ!」
武器を壊されたロストはすぐさま使っていた2丁の銃の残骸をその場に捨てる。
「あーあ、相当昔から使ってた武器だったから思い入れあって壊されたくなかったってのに、容赦なく壊しやがって」
ぶつくさ言いながらロストは邪龍に向かい駆け出す。
「ォォォ・・・」
「ハッ、牙を失くした俺なんて怖くないと思ってるのか?舐めやがって。その自惚れを一瞬で壊してやる」
邪龍は内心笑っていた。小さな獲物には既に牙はない。これ以上自分に傷を負わせることは出来ないと。
慢心していた。
それが邪龍が最後に抱いた感情だった。
「な!?」
ルークは驚愕した。自分が最も恐れ、最も頼りにしていた最強の邪龍の制御が一瞬で意味を失ったからだ。何故?どうして?そんな言葉がルークの頭の中で巡り続ける。相手の武器はたった今壊したばかりだ。それなのに何故邪龍の反応がなくなった?理解出来なかった。何故ならルークはこの邪龍を制御していたのだ。どこに傷を負ったかなどは一瞬で自分に伝わる。それなのに今回は何も感じなかった。何故、何故、何故
何故自分が制御していた邪龍の2つの頭が2つとも消し飛んでいるのか。
ルークは理解出来なかった。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
いや~・・・参った。何が参ったって、あとがきに書くことが無い!!どうしよう・・・ネタが尽きた、尽きてしまった。何も思いつかない。これからはここに『有無の騎士』のキャラ誕生秘話とか書けばいいのだろうか・・・