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有無の騎士  作者: 七咲衣
魔神の微睡みは幾ばくか
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第四十四話 時は流れるままに

「ロスト~」

「ん?何だよクロエ」

「エルが言ってたロスト専用の銃、出来たって」

「お、遂にできたか。すぐに行くよ」

「うん」


ロストとクロエは並んで歩く。互いの存在をしっかりと確かめるように腕を絡める。


「ねえねえ、ロスト。頼んでた武器って何か違うの?」

「より俺専用にして貰ったんだよ。あと義手につけてもらいたかった機能も付けてもらったしね。これでもっと強くなれたと思うんだけど・・・」

「ロストはもう十分に強いよ~」

「そうか?」

「当たり前だよ~」

「当たり前ね~・・・」


そうこう言っているうちに二人は目的地に辿り着き足を止める。


「エル、いるか?クロエから頼んでた物一式が完成したって聞いたけど」

「お、来たね。出来てるよ~」

「早速試してみても?」

「勿論。でもその前に義手を本来の物に変えなきゃね」

「おう、頼む」

「それじゃ、奥の工房に来てね」

「分かった」

「じゃあ私は外で待ってるよ」

「おう」


ロストは奥の工房へ歩を進めていく。


「さて・・・義手義足の具合と新兵器の具合はどうかな~っと・・・」

「そこの台に寝そべってくれるかな」

「分かった」


言われるままに寝台に寝そべる。


「今回のも自信作さ~」

「今回もか、期待させてもらうよ」

「任せとけー」









「あ、お帰り~」

「ああ、ただいま」

「義手義足や新兵器はどう?」

「いまから試すさ」

「私も見てていい?」

「危ないから離れてろよ」

「は~い」


ロストはエルの工房から出て庭園の広場へと出る。


「よし・・・と」


ロストは自分の太ももにから二挺の銃を抜き出す。


「新しい銃も俺の使い慣れてるリボルバーでスイングアウト式っと・・・」


カチャカチャと弄りながら確認していく。そして納得がいったのか本格的に構えに入る。構えといってもロストは銃を持つ両手をただだらりと下げているだけで構えなどとは到底呼べないものなのだがロストはこれを構えとしていた。


「鍛錬開始だ!」


ロストがそう告げた瞬間ロストの回りから一気に人型の何かがムクりと起き上った。


「ハァ!」


バンッ!バンッ!ババンッ!


ロストが放った弾丸は4発。神速と言える速度で一斉に撃ち放ったのだ。そしてそれらは容赦なく起き上った人型の何かの眉間にクリーンヒットし人型の頭を粉々に粉砕した。


「次!」


そして再び人型が起き上る。そして人型の腕にも銃が握られていた。


「流石エルの鍛錬用ゴーレム!容赦がない!」


起き上ってきていたのは鍛錬用のゴーレムで数は十、二十ではすまない数が一斉にロストへ銃口を見せていた。そしてそれらから放たれる弾丸は鍛錬用のゴム弾、なんて甘いものではなく全て実弾・・だ。


バババババババ!!


それら全ての銃口からロストの命を食い散らかそうとする凶器が一気に吐き出された。


「ふん」


しかしロストはそれらの弾丸を視認し獰猛に笑った。


ババババババババッ!

ギギギギギギン!


ロストが両の手に握るリボルバーの引き金を一気に引いたと思えば異様な音が辺り一帯に鳴り響いた。


ガラガラガラガラ


辺りから一様に何か崩れた音が鳴り、一面には静寂が漂っていた。


「全弾跳弾・・出来たか。全て撃ったやつの眉間に跳ね返ってるな」


ロストがやったことは数々の弾丸の嵐を自分の弾丸で弾き飛ばし撃った相手に跳ね返しただけである。しかしロストの銃から放たれる弾丸は最大でも12発。しかしゴーレムから放たれた弾丸は最低でも200は下らない数である。しかしロストはそれらを自分が放った弾丸で跳弾させ、その跳弾した弾丸は更に別の弾丸に当たりまたその弾丸も跳弾するという神業をロストは引き起こしたのだ。


「近接戦の鍛錬終了・・・」


そう呟いたロストは銃を仕舞うかと思われたがロストは警戒を緩めなかった。そしてその考えは正しい、という様に一つの銃声が鳴った。


タアアァァン・・・


「ふっ」


ロストは音が鳴る前に自分の体を横へ投げ出した。その行動が正しいと証明するかのごとく数秒前にロストがいた場所には深い穴が一つ穿たれていた。


「いよっと」


しかしロストは焦るでもなく道具袋から一つの物々しいライフルを取り出した。


「MagicPenetrationRifle Drei」


かつてロストの左腕を千切り飛ばした武器をロストはどかりと地面に置き照準をつける。


「本当なら狙撃ってのは静かにやるものなんだけどな~・・・」


そういいつつロストの目は自分を狙撃した相手を探す。


自動照準オートロック起動」


ロストが呟いた途端ライフルが自分の主を狙撃した相手を探し始める。


『了解しました・・・自動照準を開始します・・・』


ロストはそのまま引き金に指をかける。相手に狙撃される恐れがあるというのにロストは何も恐怖を感じていない。


『敵影・・・・・確認出来ず。サーモグラフィにて索敵開始・・・確認出来ず。X線で索敵を開始・・・敵影確認、ロックします』


ロストは寝そべったままじっと待つ。


『ロック完了。発射手順シークエンスに入ります・・・・・準備完了。対象に向け引き金を引いてください』

「待ってたぜ、その言葉」


ロストは獰猛に笑い引き金を引いた。


ギュオッ!


そんな異様な音を響かせロストが握るライフルから一つの光線が放たれた。


「よし、狙撃完了だな」


ロストは狙撃と言ったが光線が通った場所は煙を上げて焦土と化していた。


「ふぅ、今日の鍛錬終了だ」

「ひゃ~・・・すごいね、この武器」

「そりゃどうも・・・って言ってもこれ作ったの俺じゃないんだけどね」


そう言ってロストは苦笑した。


「ねえ、ロスト」

「うん?」

「庭園散歩しよ~」

「散歩?でももう散々歩き回ったけど」

「いいからいいから」

「まあいいか・・・」


手を引かれるがままロストは手を引かれて歩き回る。

クロエはロストの手を引いてわらう。



残り少ない時間を楽しむように・・・


最後まで読んでくださってありがとうございます。

投稿前に修正しましたがクロエの部分をロロナと書いていました。他にもあるかもしれないのでそのような誤字等あれば報告よろしくお願いします。

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