第三十二話 過去話 1
短い話になり申し訳ありません。
「ん・・・ここは?」
ロストは気がつけばベットの上で眠っていた。起き上がり辺りを見渡し先程までの事を思い出す。
「あ、そうだ。俺、手術されて寝てたんだっけ・・・」
「おはよう。気分はどう?」
横から声をかけられ振り向けばそこにはクロエが座っておりこちらを慈しむように見ていた。
「悪くはないかな。目覚めはいいよ」
「そう。両手と右足の調子は大丈夫?」
「え・・・?ああ、そうか」
ロストは一瞬何を言われているのか分からなかったがすぐに思い出す。
「・・・すごいな。随分しっくり来る。元の腕と遜色がないくらいに。それに感触もしっかりと伝わってくるよ」
「ふふ、それはよかったわ。じゃあそろそろご飯にしましょ。お腹すいてるでしょ?」
「そういえば昨日も何も食べてなかったな」
言われた途端に猛烈な空腹感に襲われた。
「食堂に行きましょ。案内するわ」
「頼む」
ロストはベットから立ち上がろうとして自分の格好に気付く。
「何で全裸なんだよ!?」
「そりゃさっきまで手術してたんだもの当然じゃない?」
「それは・・・そうだけど・・・」
「ふふ、それに中々魅力的な体してたわよ?うふふ・・・」
「な!?」
そこでクロエは雰囲気を一瞬妖艶な物に変えるがすぐに元に戻る。
「じゃ、行きましょ」
「待て!俺の体に何をした!それに俺の服!」
「内緒よ♪」
「おい!せめて何をしたかは言え!あと服!」
「うふふ♪」
その後このようなやり取りが数回繰り返されたのは余談である。
「やあ、おはよう。義手と義足の調子はどうだい?」
「・・・大分いい感じだ。以前の腕と同じ感覚で使えそうだ」
「それはよかった。しかし何でそんな仏頂面なんだい?」
「・・・気にするな」
「ふふっ、さあ食べましょ!」
「ああ・・・成る程」
そこでエルは悟ったような顔をした事でロストは更に仏頂面を深める。
「ちっ・・・なんだ、その顔は」
「いやあ、青春してるなぁ、と思って」
そう言ってエルはとても楽しそうにロストとクロエを見る。
「ふん・・・」
「さ、食べましょ」
「そうだね」
食堂のテーブルには誰が用意したのかは知らないが豪華な料理が並べられていた。
「この料理は誰が作ったんだ?」
「ああ、この料理は僕のゴーレム達だよ。ほら」
エルが指を指した方を見ると確かにロストが戦ったゴーレムとは少々外見が異なるが若干似ているゴーレムが6体ほどいた。
「あれ全部お前の自作か?」
「そうだよ。結構苦労したけどね」
そう言ってエルは苦笑いをする。
「まあいい。早く食べよう。折角の料理が冷めちゃうからね」
「そうだな・・・」
「それじゃ、頂きます」
そこで3人の食事は始まった。
そしてある程度食事が進んだ所でロストは手術の時にエルと行った約束を思い出す。
「なあエル」
「なんだい?」
「お前、俺の手術の時に約束したよな?お前とクロエの正体を教えるって」
「ああ、したね」
「丁度いい機会だ。教えてくれよ」
「そうだね・・・そろそろ話しておこうか。僕とクロエの話を」
そこでエルは自分の過去について語り始めた。
「さて、何から話したものかなぁ・・・」
最後まで読んでくださってありがとうございます。
今回の話を短くしたのは次回の話はエル視点の話になるためです。くっつけるとややこしくなってしまうと思うのでこのようにしました。次回こそ二人の正体に触れます。 何回やってるんだろう、この詐欺・・・ 申し訳ありません