第十五話 残された思い
今回短めです。
「さてと・・・では、いただきます」
毒蛇との死闘を演じ終わったロストは毒蛇を食べる事にした。猛毒地帯に生きている生物なので肉にはまず間違いなく毒が入っているが、ロストは肉ならば大丈夫だろう、という判断を下し食すことにした。しかし先程自分の耐性を過信したためにあんな目にあったのを思い出し、今度はちゃんと痺れても大丈夫なように一旦拠点に戻る事を決める。
「距離は言うほど離れてないから道順はバッチリ。さて、この蛇どんな味するんだろ」
そして無事洞穴に帰還したロスト。早速食べようとまずは調理する場所へ移動する。
「火を起こして、焼いて、食べる。うん、すぐ出来ていいね」
そう言いつつも蛇との死闘での止めに使った風の刃を再び腕に纏わせ蛇の皮を剥いでいく。
「蛇は骨が一本しかなくていいなぁ。でもデカイんだよなぁ、こいつ」
そして10mはある巨体から骨を引きずり出す。
「うわっ、こいつ骨まで色が紫色だ。どれだけ毒で出来てるんだ?」
10mもの長さを誇る毒蛇の骨は濃い紫色の骨だった。
「・・・!そうだ。多分これも猛毒含んでるだろうな。ていうことはこれをこういう形に切り取って・・・」
ロストは魔法を駆使し、蛇の骨の形を変形させていく・・・
「それで最後にここを尖らせれば・・・出来た!」
ロストが作っていたのはボウガンの矢である。
「毒矢完成~」
しかも麻痺毒素たっぷりで刺さった瞬間痙攣間違いなしの凶悪品である。
「さっそく性能を試すか。当然あの猛毒地帯の魔獣だと効かないんだろうな。ってことは・・・」
そしてロストは拠点に置いておいたボウガンを持ち、森に繰り出す。
「今日の飯は蛇肉とうまくいけば熊肉だな」
標的は当然青色熊である。ロストと熊には切っても切れない関係にあるようだ。
「せいっ!」
王城内訓練所内所に少女の声が響き渡る。
「はぁ!」
「精が出ているな。セレナ」
「・・・お父様」
今期の子供達の中でも1、2を争うと言われる実力者、セレナ・アーサー。彼女は訓練所内の的にひたすら剣を振り下ろし続けている。そんな中彼女に話しかけたのはセレナの父親ジュード・アーサー。次期国王の権利を持つ男だ。
「お前は俺だけじゃなく親父すらも簡単に超えると言われている神童、アーサー家の誇りだよ」
「そうですか」
6歳とは思えない大人びた態度である。しかし彼女は一向に晴れない顔をしていた。
「そういえば今日ランスロット家のルーク君が遊びに来るって言ってたぞ。それにお前の許嫁でもあるしな」
「っ・・・」
「まあルーク君もお前に負けず劣らずの神童だ。性格もいいし頭もいい。おまけに剣と魔法の才能だってある。お前の許嫁にもってこいじゃないか」
「・・・そう、ですね」
「・・・お前、まだあの忌子を慕っているのか?」
「いえ、そのようなことは」
「そうか、ならいい。ルーク君とは10年後に結婚するんだ。今の内に結婚生活を考えておくんだな。はっはっは!」
そう言ってジュードは笑いながら去ってゆく。そしてセレナ一人となった訓練所に一つの呟きが漏れる。
「私は・・・あいつをルークなんて認めない・・・私の騎士になるって言ってくれたルーク・ランスロットはこの世に唯一人なんだから・・・ねぇ、ルーク。今あなたはどこで何をしているの?」
そんな呟きは訓練所に吹いた一陣の風がかき消した。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
今回はキリがよかったので短めにしました。
なるべく適度な長さにできるように頑張ります。
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