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有無の騎士  作者: 七咲衣
魔神の食堂編
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第十話 魔神の食堂の生き物の生態

とても長くなってしまい申し訳ありません。そして・・・ツッコミはなしでお願いします。

魔神の食堂とは人間界、獣人界、魔人界でももはや手に負えなく、どこの国にも手に入れられずどの国にも属さない空白帯だ。その理由は単純。そこにいる魔物や動物、植物、環境全てがあまりに異常だからだ。そこにいる魔物はそこの魔物同士喰らい合い、植物は地面の栄養全てを吸い尽くす勢いで土の栄養を喰らい尽くす。環境は毒霧、人間の赤子の頭程あるひょう、鉄すら溶かすような酸性雨。そんな異常現象が日常茶飯事に起きるある意味魔界より遥かに危険な場所である。そしてこのような場所をこの世界では神域を呼ばれている。そんな物騒な所に転移したロストは・・・


「ゲホッゲホッ・・・いっつぅ・・・」


転移の魔法陣からいきなり空中に放り出され着地に失敗し思いっきり腹から地面に飛び込み悶絶していた。


「ここ・・・」


辺りは歪な形をした木々に囲まれ道は泥でぬかるみロクに歩けるかどうか。そんな悪路に放り出されつつもロストは先程言われたことを反芻する。


「魔人の食堂って・・・」


聞いたことがある。誰も近寄らない、いや、近寄れない空白地帯。それが・・・


「ここか・・・」


まず暗い。前10m先も見えないくらいに暗い。今が夜だからなのか元々暗いのか今は分からないが・・・


「とりあえず行動しないと・・・まず持ち物の確認からか」


そして彼は背中から先程もらったばかりのボウガンという武器をチェックする。


「ええっと・・・確かこれが飛ばすやつで、こっちがこれを撃つ本体ボウガンって言ったかな。それで飛ばすやつの残りが3発・・・うわぁ」


ボウガンの矢は3発。正直こんな不気味な場所にいると不安な気持ちがドッと押し寄せてくる。


「でもやるしかないかな・・・」


そう思い直しボウガンを背負い直す。


「さて、行動開始だな・・・」


そういい歩き始める。


「さっきローブの男はここで生き残ることが修行って言ってた・・・」


歩いてる内に落ち着いてきたのか更に答えを導き出す。


「男は8年たったら先生って呼んでいいみたいなことを言ってた・・ということは8年間生き残ればいいのか・・・よし」


そして彼は決意する。ここで絶対8年生きてみせると。


「ふぅ。目的決まったのはいいけど、どうしよう、お腹空いた・・・あの砦でちゃんと食べておけばよかった・・・」


ここでロストは空腹という人間故にしょうがない事態に直面する。しかし今更後悔してももう遅い。


「何か食べられる木の実とかないかな・・・」


そしてロストは辺りを見回す。すると・・・


「あ、赤色の木の実がある。おいしそうだな」


見た感じ赤色の木の実はとても熟れておりとても甘そうな見た目をしていた。


「取れるかな」


そう思いロストはその木に近寄ろうとした瞬間だった。その時一陣の風が吹いたのだ。


「うわっ」


風は中々強かったがなんとか耐えた。


「そうだ。今の風で木ノ実、落ちたんじゃないかな」


そう期待を込め赤色の木の実の方に視線を向ける。するとどうやら本当に風で落ちていた。


「やった。なんとか食べ物を確保できそうだぞ」


そして風でポトッと実が落ちていく。あのままでは地面にぶつかり潰れそうなので急いで取りに行く。


「うわっ」


しかし石に足を引っ掛けてしまい躓く。


「うわぁ、まずい!折角見つけた僕の食料がダメになる!」


急いでロストは立ち上がり再び駆け出そうとするが物が落ちるのは中々早く、当然追いつけるわけもなくそのまま木の実は地面に落ちた、


パァン!!!


瞬間木の実は盛大な音を発して爆発した。


「は?」


ロストは当然驚いた。木の実が落ちたと思った瞬間赤色の実が爆発したのだ。それも落ちた地面はぶつかった場所にすさまじいクレーターを残している。


「な、なんで・・・?」


そこでロストは気付くべきだった。今この危険な森で盛大な音がなってしまったのだ。当然それに反応する無数の魔獣や動物が数多くいる。しかしロストは驚いて硬直してしまっていた。


ズズン・・・ズズン・・・


辺りに腹から響くような音がする。


「な、何が・・・」


とにかく何かマズイとは気づけたようで辺りを見回し適当な茂みを見つける。


「と、とにかくあそこへ隠れよう」


そしてロストはそこに身を潜めることを決め茂みに隠れ息を潜めた。そして息を潜めてから10秒程たってからあの大きな音の正体が遂に明らかになった。


ズズン・・・ズズン・・・


「グルルルル・・・」

「な・・・あ・・・」


大きさは6m程だろうか。毛が全て逆立っておりそして真っ赤だった。そしてなにより目を引くのがその異常に大きい犬歯だ。あんな歯で噛み付かれればまず命はない。そして何を思ったのか熊は鼻を鳴らし始めた。


(まさか匂いで探っているのか!?)


考えてみればその場にロストの匂いは当然残っているだろう。熊も鼻が効く。そしてこのままでは当然・・・


「グルルルゥ・・・」


そして熊はおもむろに手を挙げガチンと合わせた。すると・・・爪が異常に発達した。


「っ!!!」

(まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい!!!!!あんな爪、受けたとして生きられるはずがない!!なんだ、あれ!?)


ロストは内心パニックに陥っていた。見た感じ爪は30cmはある爪を熊は横に薙ぎ払った。すると・・・


ズズゥゥン・・・


熊は木を薙ぎ倒したのだ。木の太さはどう見ても3m以上はあった。なのにその木を薙ぎ倒したのだ。


(な、なんだあれ!?)


「グルル・・・グルァ!!!」

「ヒッ・・・」


熊は急に咆哮を上げて再び爪を横に薙ぎ払った。


「アオオンッ!」


するとそこには今度は狼がいた。しかしこちらも一目でヤバイと分かる動物だった。まずその以上に膨らんだ背中。人間の赤子一人入りそうなほどに膨らんでいたのだ。そしてこちらは牙の大きさは普通だが色が真っ黒だった。そんな狼が6匹もいた。


(何するつもりだ・・・)



「グルルゥ・・・」

「ふっ・・フッー!!」


(お互い睨み合っている。牽制し合っているのだろうか?)


そんなことを思いながらも眺める。そして硬直は破られた。破ったのは熊の方だった。


「グラァ!!」

「フッ!!」


熊自慢の爪を振り上げ狼に向かい振り下ろす!


ズンッ!


「フーッ!!」


しかし狼はそれを軽々避け、他の狼も一斉に動き始めた。まずは狼の一匹が熊の横腹に噛み付く。


(ダメだろう・・・あの熊はどう見ても毛皮がとても分厚い。あんな小さな牙じゃ本体に届かない)


ロストの予想通り熊は噛み付いた狼を煩わしい虫を振り払うような動きで狼を吹き飛ばす。


「キャンッ!!」

「グルァ!!」


グサッ!!


吹き飛ばした狼が地上に着く前にその巨体からは想像もできないような素早さで熊はその狼に飛びかかりその狼に向かい爪を振り下ろし突き刺した!


「グ・・・」

「フーーッ!!」


しかし他の5匹は仲間が殺されたというのに同様一つ見せずに更に追い詰めようとする。そこで更に熊は驚愕に値する行動に出る。


「グルルゥ」


何を思ったのか熊は先ほど殺した狼に近寄りその狼の腹を裂いた。当然中からは血が吹き出る。


「グル・・・グルルル・・・グルァ!!!!!」

「アウッ!!」


辺りの緊張感が更に跳ね上がる。当然だろう。熊はまず先程裂いた狼の死骸から出た血を少し飲み、残りを全て全身に浴びせたのだ。するとその瞬間熊の目が赤く発光し始め、最初は鈍色だった爪が徐々に徐々に赤くなり始めたのだ。そして血を浴び、興奮したのかさらに殺気を発し始める。


(あんな事する魔獣、聞いたことがないっ!!)


ロストはもはや体が言うことを聞いてくれない。しかし必死に力を込める。ここで倒れたりするともう動ける自信がない。


「グルルッ!」

「アオオオンッ!!」


(今度は何だ!?)


狼も狼で何かしようとしているのか一斉に5匹が赤色熊(ロスト命名)を取り囲み始め、狼の特徴的だったあの以上に膨らんだ背中が振動し始めた。


「アオオオンッ!!」

「アオオオンッ!!」

「アオオオンッ!!」

「アオオオンッ!!」

「アオオオンッ!!」


5匹が一斉に鳴いた瞬間に狼は熊に向かって口を大きく開き何かを放った!


バシュンッ


「グルァァ!!」


(!!)


するとどうだろうか。あの赤色熊の右腕が吹き飛んでいた。


(一体何をやったんだ!?あの狼は!?)


人間界では起きない事だらけで本当に驚愕しっぱなしのロストだったが更に驚愕する事態が起きた。


「グルル・・・ ウッ・・・」


ズズゥン・・・


(膝をついた!?)


熊は何故か横腹を押さえて倒れたのだ。当然その隙を見逃す5匹の狼ではない。再び狼は一斉に背中を膨らまし始めた。その時ロストは奇妙な音を聞いた。


スゥゥゥゥゥ


(何の音だ?)


しかしその音をかき消すような轟音が再びこの森に鳴り響く。


「アオオオンッ!!」

「アオオオンッ!!」

「アオオオンッ!!」

「アオオオンッ!!」

「アオオオンッ!!」


パァン!!


(くぅ!!)


ロストは必死に目を瞑り、耳を抑えて蹲る。そして音が止み、再び目を開けると今度は熊の左手が吹き飛んでいた。


(もしかして敵の攻撃手段を奪っているのか?)


そうだとしたらなんと知恵の回る魔獣だろうか。この世界の魔獣は知恵というものはあまりなく本能のままに行動する、というのが通常なのだが、あの狼の魔獣は今の攻撃手段を全て吹き飛ばすという行為を故意でやったように思えてならない。そして攻撃手段を失った熊は当然狼達にとってはただの動く獲物でしかない。狼はここぞとばかりに熊へ特攻する。


「アオオン!」

「フッフー!!」

「フー!!」


狼達は嬉々として赤色熊に群がり容赦なく噛み付いて肉を引きちぎる。


(これがここの魔獣達の生活か・・・)


正直ロストには生き残る自信がなかった。本当にこんなところで生き残れるのか?そう自問してばかりいた。


(とにかくここから離れないと・・・)


そう思いロストはこの場から離れることを決意した。瞬間ロストは自分の注意力のなさを悔いる事になる。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

さて、今回は大分話が進んだ?感じですね。これからは6歳としてはおかしい事になるかもしれないのですが、そこはツッコミ無しでお願いします。

今回は長くなってしまったのでどこかに文節がおかしかったり、誤字や脱字があるかもしれないので誤字脱字がありましたらお手数ですが報告よろしくお願いします。

応援、感想、アドバイス、お待ちしています。

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