第0話 プロローグ
「やあ、ようこそ。『NEW LIFE GAME』の世界へ」
突然聞こえた声に、俺はハッとして意識をハッキリさせるとすでに立っていた。立ちながら寝た訳ではないと思うんだけど・・・と昨日の記憶を探ってみると最後の記憶はやはりベッドで横になった記憶だった。しかし今更ながら周りの景色から自分の部屋にいないことに気付いて周りを見回してみると、俺の周囲には見知らぬ人々がいた。
・・・いや、俺の周りだけではない。見渡す限り平地のこの場所で至る所に人種男女老いも若きも関係なくたくさんの人々がいた。不安そうな顔で、怒った顔で、何があったか分からないと言った顔で、泣きそうな顔をして。
一体何が起こっているのか?それともこれから何かが始まるのか?はたまたこれは夢なのか?と、俺の頭の中に取り留めの無い想像が渦巻く。それが一番だと思っていたが、その期待ははかなく打ち破られた。
「ザザザザ・・・キーンコーン・・ザザ・・コーン・・・ザザザザザ」
ノイズ混じりのチャイムの音が鳴り響く。その音が聞こえた方向に目を向けると、いつの間にそこに現れたのか巨大なスピーカーが浮いていた。
「・・・ようこそ皆さん『NEW LIFE GAME』の世界へ」
やや若い男の声がスピーカーから流れだす。どうやら日本語のようだ・・・だが、周りを見渡すと〜語でおK的な顔が見受けられていない。日本語がわかる人には日本語で、英語がわかる人には英語で話しているのかもしれない。
「日本標準時刻で4月10日の正午。世界は生まれ変わった。この僕の作り替えたゲームの世界へね」
世界が変わった?ゲームの世界?どういうことだ、と俺は疑問を持った。だが、すぐに言うだろうと思ってそのままスピーカーの言葉を待つ。
「さて、ではゲームマスターとしてこの世界の説明をしておくべきだろう。君たち全人類70億人は、人類が汚して来た地球からこの新しき世界へと転生して来たんだ。だが生まれ変わったと言っても、赤ん坊からではなく転生前と同じ歳だ。だが、基本的なスペックは生まれたての赤ん坊から死にかけのご老人まで全く同じ。転生前にどれだけ体をいじめ抜いたアスリートであろうと、知識の限りを詰め込んだ科学者であろうと、あるいは食べ物を腹に詰め込み過ぎたものであっても、本気で走ればタイムは同じ、ものを持てば持てる量は同じだし、腹筋背筋などの回数を競おうとも同じだ。外見の変化や成長に関して言えば、成長なら育つように育つし、ダイエットをしたいなら運動をすると良い。体を鍛えることによって筋力が増したりはしないが消費したカロリー分痩せることが出来る。食べ過ぎれば、無論太るとも言っておこう。つまり、筋力持久力などは変わらない。ついでに言えば、食べなくても死なないし寝なくとも特に体調に影響を及ぼすことは無い。・・・無論、集中力が保つのであれば、だがね。・・・そして歯の強度や骨の強度、視力なども全て一定。つまり、この世界に於いて赤ん坊や子供でない限りハンデなど存在しない。あと、私が最初に言っておいたがこの世界は『ゲーム』だ。全員が同じゲームなんてつまらないだろう?当然ステータスとか色々とある。それについてはあとでNPCが行うチュートリアルで学んでもらうこととしよう。
さて、まだ話していなかったか、『ゲームクリア目標』だ。・・・最上階まで目指すことだ。最上階、飽くまで何階あるとは言わない。それはNPC達の話を聞いていくうちに判明していくことだからだ。
そして、僕から言葉を贈ろう、しかと心に刻み込みたまえ。これは、ゲームだ。しかしながらこの『ゲーム』に生まれ変わった君たちにとっては此処こそが現実だ。ゲームとは?腹が減っても死なないし、HPが0にならない限りいくら斬りつけても死なない。現実とは?一度死ねばもう戻らない。
最後に警告をしよう。先程言った通りHPが0になれば死ぬ。コンティニューなんて気のきいたものはない。それを念頭においてゲームをするといい。町の角で震えているのも良い。英雄となるべく名を挙げるのも自分次第だ。
さあ、飛び出すと良い。ここには何の差もない。縛りも無い。自由に生きる人間の姿を見せてくれ」
プツン・・・というスピーカーの電源が切られたような音がして少しすると頭の中に無機質な女性の合成音声が響いた。
「それでは、トレーニングルームに転移します。十・・・九・・・八・・・」
そのカウントダウンが0を数えた瞬間,目の前が真っ白になり体を浮遊館が襲い意識は暗い闇に飲まれていった。
というわけで小説第二作目『NEW LIFE GAME』を投稿しました。ゲーム中の設定にはいろんなゲームをもとにして作ったり、オリジナルに作ってある所があります。相も変わらず拙い文章ですがよろしくお願いします。コメントは出来る限り即座に返そうと思います。
※第一話は明日の更新になります。と、同時に<ガイア>列伝は明日の更新はありません。