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かりん党  作者: 相上音
前編 告白
16/44

16

 はてさて、なんだかんだで翌日。

 昨晩、彼女たちのことを少し考えてはみた。

 結果、考えて分かるようなことじゃないことが分かった。

 こーゆー時はサクッとあきらめましょ。

 「しっかし気持ちのいい朝だなぁ~」

 春の陽気を体で感じながらの登校とは何てすがすがしいのだろう。体の調子もすこぶる快調、あんなこと(窓からの飛翔)があったにもかかわらず体の調子はむしろいつも以上にいい。今なら空だって飛べる気がする~なんてね!

 意気揚々と学校到着だ。思えばこんな余裕を持っての登校は初めて……かもしれないし、前にもあったかもしれない。まぁどっちでもいいや! 靴箱オープン!

 ストン。

 「へ?」

 靴箱を開けて上履きを取り出したら、一緒にクシャクシャになった紙が出てきた。

 「……ゴミ、か?」

 何気なく拾って手に取った俺はそこで気が付いた。

 それは、ただの紙なんかじゃない、便せんだ。

 しかも二通。

 おまけに女の子が使っていそうな。

 「ま、まさか」

 こ、これがあのうわさに聞く名前は書いてなくただ日時、時刻、場所だけが記入されていて、それを受け取った生徒は否応なしにそれに従わなければならず、もし逃避しようものなら残りの学校生活を他生徒から後ろ指さされながら送らなければならないと聞くあの……

 「果たし状ってやつか?」

 ――ってちがう! こ、これはもしかしてもしかすると……

 「ラ、ラブレター?」

 人生には男として逃すことができないチャンスが三度巡ってくるというが……とうとう、いよいよ、まさしく、今回こそ、俺のターンってわけか!

 あぁ、なんか、感激です。生きているって、こんなにも素晴らしい。

 「いいぜ、かかってきな!」

 意を決して中身を拝見だ!

 

 『本日のお昼休み、学生食堂でお待ちしております』

 『今日の昼休み、学食で待つ』

 

 二通の便せんから出てきた二枚の手紙には、それぞれそう書かれていた。

 一枚は教科書のような字で。

 一枚はずいぶん達筆な字で。

 ………………………………あ、これのことを言っていたのか。

 「やっぱり、果たし状の方だったか」

 そう独り言ちて、二枚の紙をポケットに突っ込んで教室に向かった。

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