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かりん党  作者: 相上音
前編 告白
13/44

13

 さて本日は日曜日、時刻は午後零時、健全な十代ならそろそろ一日を始めていなくてはいけないんじゃないかな? と思われる時間帯ですが、不健全ではない十代の俺はまだ布団に入らせていただいております。理由は単純明快眠いから、ならなぜ眠いのか? それはだね、昨晩うちの台所のほうで異空間が発生中でさ、入ったら最後、決して生きて戻ってくることはできないわけだよ、そうなるとね、晩飯を作ることはおろか、買い物に行こうと近くを通ることすら危険なわけ。どうしようもないことを悟った俺は、この異空間がなくなるまで寝て待とうと思ったのよ、でも、人間空腹だと気が散って全然寝れないのね、結局夜はほとんど寝れなくて今に至るのです。今は空腹より眠気が優っているのよ。

 「なんだそりゃ」

 まぁ西川の反応がそうなるのも仕方がない。あれだけの出来事を説明しようと思ってもできない……なんてことは特になく、しようと思えばできるけど面倒だからしようとは思はない。

 「とにかくそういうことだから、今日はゆっくり寝かしてくれ」

 そう言って一方的に電話を切った。普段はこんな大胆なことはしないし絶対できないが、相手が西川で、なおかつ今日のような状況なら話は別になる。そう、最後の休息はまだ残っていたのだ。

 そろそろ流しのほうも少しは匂いも引いてきているだろうが、今は飯より何より寝たい。ましてや遊びに行くなんてムリムリムリムリ。

 さ~て思う存分二度寝するぞぉ。

 ピンポーン。

 …………。

 ピンポーン。

 …………。

 ピポピンポーン。

 あ、連続で押しやがった。

 ピポピポピンポーン。

 しかも増えてやがる。

 ピーン……ポーン。

 お、今度は溜めか。

 ドンドン!

 おいおいそれノックってレベルじゃないぞ。うちの扉壊す気か?

 ドンドンドンドン!

 あーもう……無理だって言ってるのに、普通家まで来るか? しかもあんなに強く叩きやがって。仕方のないやつだ。

 よっこいせと重い重い腰を上げて、俺は玄関に向かった。途中台所の流しの排水管の深淵からの刺激臭に鼻がツーンってなった。なんて持続力だよ全く。

 「あ、ちゃうよ? 全部食べたよ捨ててないよいやホント」

 ……誰に言ってんだよ。

 ドアノブに手をかけ、ひねる。

 ガチャ。

 開け方は丁寧、それがたとえ西川相手であっても。同じ失敗を繰り返すような俺でないぜ。

 「あっ!?」

 「…………」

 ガチャン。

 そしてゆっくり閉める、指挟んだらいけないからね。

 ……変だな。

 確かあそこには西川がいるんじゃなかったか? どう見てもこぶしを振り上げた女の子にしか見えなかったな。そうだ、もう一度確認してみよう。

 ガチャ。

 「……あ、あの……」

 「…………」

 ガチャン。

 ………………やばい。やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい!

 西川じゃない! いやそうじゃなくて女の子! いやいやそれも違う!

 あれは、確か、いや確実に、いやでも、なんで? なんで知ってんの? そんなことより! どうしよ? 逃げるか? また窓から飛ぶか? いやそれはさすがにいただけないだろ。しかも逃げたら後が余計に怖い。よく分かんないけど一度深呼吸しよう。

 ふぅ。

 やっぱ……出るしかないよね……はぁ、何でこうなるかな。

 神よ! あなたはたった一日の休息も与えてはくださらんのか!

 ガチャ。


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