ラヴィという兎
『ゲーマーNo.13、カヅト。ゲームマスターはアナタを歓迎致します……』
女性が恭しくお辞儀した。カヅトの足元が照らされ、闇の中に光の道が伸びる。
『さぁ、こちらへ……さぁ』
狼狽は覚めるようにして消えた。躊躇したのも一瞬、カヅトはすぐに歩みを進めた。なにが起こっているのか……相変わらず、まったくわからない。わからないが……その女性の声は、蒼炎の剣が出現した時の声と同じだったのだ。ならば答えはそこにあるはず!
「……おまえが仕組んだのか? 泥棒も、妙な剣も、火事も、放火魔も……?」
歩きながら訊ねるカヅト。対する女性は小さく首を振った。
『ワタクシのことはラヴィとお呼びくださいませ』
「わかった、ラヴィ。で、この一連の出来事はあんたの仕業?」
『半分正解、半分不正解でございます』
「……どういうことだよ?」
近づくにつれ、ラヴィの姿がはっきりと見えてくる……なぜかバニーガール姿だった。上には燕尾服を羽織っている。ショートヘアは雪のような白だが、先端だけは見事なショッキングピンクだ。ご丁寧にウサ耳カチューシャまでつけている。右手にはステッキ、左手にはシルクハットを携えていた。コスプレ?
『仕組んだのはたしかにワタクシ。しかし……お選びになられたのはプレイヤー・カヅト、アナタです!』
ズビシ! ステッキを突き付けるラヴィ。カヅト、呆然。
「選んだ……?」
『アナタはたしかにベリーハードモードを選択なさいました』
「ベリーハードモード……って、アレか!?」
カヅトの脳裏に思い出されたのは、昼間にやっていたRPG『ファイナル†ファンタジアン17』――そのプレイ画面。突如現れた謎のウインドウ。そこには確かに書かれていた……。
【人生をベリーハードモードに切り替えますか?……はい/いいえ】
「俺が選んだ、って……! じゃ、じゃあ、あのウインドウに『はい』って答えたから、今俺はこんな目に遭ってるのか!?」
『その通りでございます』
「っざけんなッ!!」
カヅトはラヴィのステッキを乱暴に掴んだ。本当は胸ぐらを捻り上げてやりたかったのだが、いかんせん相手は女性であり、加えて豊満な胸の持ち主だった。さすがに胸ぐらを掴むのはためらわれる……紳士カヅト!
「危うく殺されるところだったんだぞ!? しかも2回も! 家だって消し炭だ! けしずみ……そう、それに俺は……俺は……!」
『お言葉ですが、プレイヤー・カヅト……』
そ
れ
が
ど
う
し
た
と
い
う
の
で
ご
ざ
い
ま
す
か
?
ギョロリ! ピンクの瞳でカヅトを覗きこむラヴィ。まったくもって配慮の欠けた物言い! 口元には挑発するような笑みまで浮かんでいるではないか! さすがに怒っていいと思ったが、カヅトは気圧された拍子に言葉を飲み込んでしまった。情けなし!
つぎは2/28(木)に更新したい(願望




