ゲームマスターズルーム
ルリノの家は、カヅト宅から500mも離れていない。同じ住宅街の中にある、モダンな雰囲気の一軒家だ。
「おじゃまします」
「はいどうぞー……って、カヅくん、靴は?」
玄関でさっそく指摘された。さて、どうしたものか……。カヅトは悩んだ。いっそのこと、起こったことのすべてをルリノに話してしまおうか? しかし、信じてもらえるとも限らない。カヅト自身、未だに信じられないのだから……。
それに、カヅトは泥棒の男を……。いくら気が置けない幼馴染みだからといっても、さすがに言えない。殺人を犯したとは、さすがに……。
「靴は……ほら、慌てて出てきたから」
「そっか。そうだよね」
結局、カヅトは無難な答えを返した。ルリノも特に疑うことなく、納得した様子だ。
「その、ごめんね? 月並みなことしか言えないけど、大変だったね……」
「いや……なんていうか、心配してくれてありがとな」
「いっ、いいよぅ、別にこれくらい……えへへ、リビングで待ってて? お茶いれてくるから」
そう告げて、ルリノはキッチンへと消えていった。持つべきものは友、というものか。汚れた靴下を脱ぎ捨て、カヅトはルリノ宅へとあがる。
リビングに通されるや否や、カヅトはソファに遠慮なく沈んだ。途端、漠然とした不安がその胸に湧き上がる。ルリノの提案に従うまま、リビングでくつろいでしまっているが……自宅が燃えていたのに、ここにいていいのだろうか? 消火活動を手伝うべきだったのでは? 警察の調査もあるだろう。そもそもあれは火事ではなく放火……事情聴取もされそうだ。いつ? どのタイミングで? 警察から連絡がくるのだろうか? それとも出頭しなければ? それに泥棒の件については……どうなるのだろう? あぁ……不安が色を濃くしていく……。
「……わかんねぇ……っていうか、一介の高校生がどうこうできる問題じゃねぇだろ、これ……はぁ~……」
深いため息とともに、天井を仰いだ。真っ黒だ。暗闇がどこまでも続いている……? くらやみ?
『ようこそ、ゲームマスターズルームへ』
「ホァッ!?」
カヅトの耳に届いたのは、か細い女性の声。驚いて視線を前に戻す、と……そこはもうルリノ宅のリビングではなかった! 無限に続く暗闇の空間……キリリと冷たい空気がカヅトの頬を撫でる。唯一の光源は、前方の床を煌々と照らす一本の太いスポットライトのみ……。その中心に一つ、人の姿があった。シルエットから女性だとわかるが……彼女はいったい?
次は2/23に更新できたらいいな(願望




