Where is ignition point?
猛火に破壊されるカヅトの家! 近隣住民の人たちが避難する中、カヅトは自分の住居が燃え落ちていくその光景を呆然と眺めていた。
「どうなってんだよ、さっきから……おかしいだろ……」
震える声……。無理もない、ショッキングな非常事態が2つも立て続けに起こったのだから……。
パリン! 二階部分の窓ガラスが弾けた。あれは自分の部屋だったか……。カヅトは止まりかけた思考でそんなことを考える。
火の粉がパチパチと爆ぜている。
頬に感じる熱。
煙が立ち上り、灰が舞う……。
消防車は見当たらないが、きっと誰かが呼んでいるだろう。カヅトではない、他の誰かが……。
「ヒヒヒ……よぉく燃えてんなぁ、こりゃ」
周りの騒動の中、なぜその声だけがはっきりと聞こえたのだろうか?
カヅトが振り返ると、野次馬に紛れて一人の若い男が立っていた。ハタチくらいの年齢だろうか? オレンジ色の長い髪をカチューシャでまとめ、ツンツンにセットしている。シルエットだけなら毒々しいパイナップルだ。男はカーゴパンツを履いていたが、上半身はダウンジャケットだけだった。裸ジャケット! 変態である!
だが、カヅトはそれよりも気になることがあった。驚愕の眼差しで火事を見つめる野次馬の中、その男の口元だけが緩んでいたのだ! カヅトは確信した――先ほどの声は、この男のものだと!
「おい、あんた……」
カヅトは自分がわからなかった。気づいたら、その男に向かって足が動いていた。胸に渦巻く感情は怒りか、それとも悲しみか……。立て続けに起こったハプニングに、心が疲れてしまっていたのかもしれない……。誰かに話を聞いて欲しかった? ……そうかもしれない。
「あ? なんだボウズ?」
男がカヅトに気づいた。途端に引っ込むニヤニヤ笑い。見下すような視線に、カヅトは静かな声で応えた。
「あんた、なに笑ってんだ……? 人の不幸がそんなに楽しいか?」
「目が死んでるぜ、ボウズ……ヒヒッ! もしかしてこれ、お前ン家?」
ピンポン! ご名答!
「だったらなんだよ……? 俺のことだったら笑っていいってか?」
カヅトの中の鬱憤は、明確な敵意に変わりつつあった。同情の余地がないわけではないが……これは八つ当たりだ。カヅトも頭の片隅で理解していた。だが、その乱暴な感情を制御できるかどうかはまた別の問題である。
詰め寄るカヅト。男の顔に再びニヤニヤ笑いが浮かぶ。
「それはチコッと笑っちまうなぁ……ヒヒヒッ! 知ってるか? この火事、放火なんだぜ?」
「……は?」
放火? 放火なら、どうして笑えるのだろう? 文脈が理解不能……いや、それ以前に――
「なんであんたがそんなこと知ってる……?」
「そりゃボウズ、見てたからさぁ」
男の目がわざとらしく見開かれる。ギョロギョロ、ニヤニヤ。
「見てたなら止めてくれよ! 見過ごしたのか!?」
「そういうわけじゃねぇんだがよ……ヒヒヒッ」
「犯人の姿は見たんだろ? どんなだった?」
「そうだなぁ、たしか……」
ピンと伸びた人差し指が向けられた先は――
「こんなヤツ……ってか、オレ様なんだけどな! キヒヒッ!」
醜悪に歪んだ男の顔! カヅトの顔面に突き付けられたのは――拳銃!?
パァン!!




