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狐の男と鎖の巨人


「……オレ様が放火犯? キヒッ……なに言ってんだ? 証拠は?」

 JJは不敵に笑った。絶対的な確信からくる余裕の笑みである。

 実のところ、証拠は……ある。なぜなら、住宅街にガソリンを撒くにあたり、JJは手袋などの装備を一切しなかった。当然、ポリタンクに指紋はしっかりと残っている。目撃者も多からず存在する。


 だがしかし……そのどれもが、JJに繋がることはない。どれだけ好き勝手をやっても、足がつくことはない。指名手配にはならない。現行犯でなければ犯罪者として認識されない……それが彼のジャンル――『クライムシミュレーション』の効果なのである!


 アラシベは指さしたまま言葉を続ける。

「証拠はない」

「ない? キヒヒ! おいおいおい~? 証拠もないのにオレ様を犯罪者呼ばわりかァ~? ムカつく野郎だなてめぇ~」

 そう言うものの、JJはひどく愉快そうだが。


「不快にさせたのなら謝ろう……ではでは、キミは放火犯ではないと主張するのかい?」

「当たり前だろ。バカか? 自分で自分のことを放火犯です、なんて言う奴はいな――」

 瞬間、JJの足が止まった――やはり、彼の胸に鎖が突き刺さっている!


「……て、てめぇ……! なにを――」

「質問をしているのは私だよ。もう一度訊こうか……キミは放火犯だね?」

 JJの言葉を遮り、アラシベは再び質問を口にする。懐からポケット手帳を取り出しながら。


「それだけじゃあないね。銃刀法違反に始まり、器物破損、窃盗、強盗、傷害、強姦、殺人……上げ始めればキリがない。ここ数日の間に多発している『奇妙な事件』のほとんどは、キミの仕業だね?」

「な、なんだよてめぇ!? なんでそんなこと――」

「質問に答えてほしいな。それとも、身に覚えがないのかい?」

「ね、ねぇよ――ッ!」

 途端、JJの顔がひきつった。それはカヅトも、後ろに控えるルリノも同じ。

 大きな飛沫の音。鉄橋の外、暗い川の中から……巨大な人影が現れたのだ!


 巨人はダークグレーのマントにすっぽりと身を包んでいた。首筋にのぞく肌は血の気の失せた灰色。赤い双眸を光らせる顔は、牛か馬か、あるいは羊か――草食動物の頭蓋骨に隠されている。

 カヅトとJJの胸に刺さる鎖の一端は、その巨人のマントの中へと繋がっていた。そして今……新しい鎖がJJの方へと高速で飛んでいく!


「ぅ、ぐ……!」

 身構える暇もなく、JJの胸に2本目の鎖が突き刺さった。パキパキと音を立て、瞬く間にその接合部が凍り付いていく……カヅトはその様子を唖然として見つめるしかない。


「残念だけど、キミはクロだ。署までご同行願うよ」

「しょ……署だと!? ま、待て……てめ、てめぇ、まさかサツなのか!?」

「おや? 言ってなかったかい? これは失礼」

 アラシベはわざとらしく襟を正して見せた――もちろん、ポーカーフェイスのままで。


「私の名前はアラシベ。これでも一応、刑事だよ」

「な、んだと……!」

 驚愕を顔に浮かべるJJ。カヅトとルリノも驚きこそすれ、取り乱すほどではなかった。「警察はゲームをしてはならない」などという決まりはないし、ゲーマーとして選ばれた中に警察がいたとしてもなんら不思議ではない。確率的には低いかもしれないが……所詮、確率である。


 いや……この場合は「意図的に警察をゲーマーに選んだ」と言った方が正しいのかもしれない。あの白兎――ラヴィが人選に関わっているとしたら、その可能性は大いに考えられる。


次回更新は11/30(土)予定!

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