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エキストラ

 半分くらいは間違っていたが……それを知る由は当然、ない。


 ルリノとJJ――2人の前を走りながら、カヅトはこっそりと胸の様子を窺った……銃撃を喰らったはずの胸を。だが、そこに凶弾は見当たらなかった。服だって破れて穴空きになっているというのに、弾丸はどこにも見当たらない。

「どうしたの、カヅくん?」

「……なんでもない。煤がこびりついてて気持ち悪かっただけ」

 気遣ってくるルリノを適当に誤魔化し、カヅトは進行方向へと向き直った。

 見れば見るほどゾッとする光景……お世辞にも肉付きがいいとは言い難いカヅトの胸はテニスボール径ほども抉られていたのだ! ピンク色の筋肉の断面から覗く白い骨……明らかに、致命傷。生きているのが不思議で、死んでいないのが異常だった。


 普通、死ぬ。素人目にもそれは一目瞭然だった。いや、見るまでもない。聞いただけで判断できる事実だった。

 なにも「胸板を数センチ径抉られると死ぬ」なんて公式を立てているわけではない。そんなものは世界中を探せばいくらでも反例が出てくるだろう。「カヅトがそんな傷を受けて生きていられるわけがない」という話である。


 その反例は、世界中にはない。ここにしかない……そして、あるはずがなかった。だが……当のカヅトは生きているどころか、火事のど真ん中で大立ち回りをし、現在進行形で走っているというのだから、これ以上の反例はないだろう。


 見当が全く付かないわけではない。十中八九、この『ベリーハードモード』のせいであり――おかげである。


 果たして他のプレイヤーも……ルリノやJJも同じような――『ゾンビ』のような状態になり得るのか。それはわからないが、じきにわかることだろう。わかってしまうに違いない。避けては通れない……今回のような『バトル』が、今後出会うプレイヤーたちとの間にもあるとするならば。


 そして『バトル』は、きっとある……と、カヅトはその点に関しては奇妙な確信があった。



 非常に残念なことに――あるいは非常に喜ばしいことに――カヅトのその確信は、文字通り確かなものだった。

 だが、『バトル』するのはカヅトだけではない。どこかで誰かが歌っていたように、『現実』では私もあなたも皆が主人公だが……『ベリーハードなリアル』では 13 人 の プ レ イ ヤ ー た ち が 主 人 公 なのである。

 カヅトも、後ろを走るルリノも、その後ろのJJだって……らしくなくとも、主人公なのである。



 だが、しかし。





 主人公でも。











 死ぬ。














 それは『現実』でも同じである。死なない主人公とは創作の中にのみ許された存在で、しかし主人公とは創作の中から生まれた概念である……ともすれば、あの歌手は歌い間違っただけかもしれない。


『現実』では私もあなたも皆がエキストラだ。


 と。



次回更新は10/19(土)予定!

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