表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/45

正当な防衛


「なんで? なんでだってェ? ……キヒッ! 簡単なことだぜ? だってよォ~……アイツはオレ様のダチだったんだからなァ~!」

 JJがナイフの腹を撫でる。その側面に燃えさかる街並みが映っていた――このナイフのかつての持ち主は、サラリーマン風の男性だったはず……果たして、無法者の権化のようなJJとはいったいどこで接点を持ったのだろうか。それとも、一見何の変哲もないサラリーマンが泥棒をはたらいたように、やはり人は見た目によらないということなのかもしれない。


 もっとも、JJの言う「ダチ」が一般的な意味とは――悪質で皮肉なジョークのように――異なっている可能性も否定できない……事実、カヅトは無意識のうちに「舎弟」とか「下僕」とか、そんな意味へと補完していた。


「なァ~……? ボウズが殺したんだろォ? こいつが落ちてたトコによォ……燃えカスがあったんだよなァ! てめぇはやっぱり『境界線』を越えちまってんだよォ~~……どうしようもなく! てめぇは人殺しなんだよォ……!」

 ゆっくりと言い聞かせるように、かすれた声を絞り出すJJ……まるで骸骨が呪詛を吐いているかのようだ。カヅトはブンブンと首を振った。


「ちがう……ちがうちがう、違う! 俺は、あいつに――あの泥棒に殺されそうになって、それで、仕方なく……!」

 途端、ナイフを眺めていたJJがその動きを止めた。三白眼がカヅトの方へとジロリと向く。


「……ア~……てめぇ、まさか『自分が殺されそうだったなら、相手を殺しても許される』とか『正当防衛』とか……言うつもりじゃあねェだろうなァ……?」

「そ、そうだろ……? 殺されそうになったら……だって、そうじゃないと、自分が殺されるんだぞ!? そりゃ、殺すのは……やりすぎかもしれないけど……けど――」


「うっぜぇええええええええええッッッ!!」


 JJ、またしても怒号! しかも今度は、周囲の空気が震えんばかりの大音声だ! カヅトは思わず剣を構え直してしまった! が……JJは直後にガックリとうなだれた……?


「……アア~……てめぇ、ホント……っていうか、世の中? の脳味噌お花畑人間? マジさァ……マジでェ……ア~……」

 額に手を当てたまま、なにごとかブツブツと呟いているJJ。これは……攻撃してくれと言わんばかりに隙だらけ! だが、肝心のカヅトは……突拍子のないJJの仕草に完全に呑まれていた。せっかくのチャンスに気づきもしない!


 やがてJJが顔を上げた。ガバッと天を仰ぐ――白目を剥いていた双眸!

「ア~ァ……まァ、いいか……喋るのもめんどくせェしな。わざわざ説明してやる義理もねェ……」

「は、はぁ……?」

 相変わらず困惑気味のカヅトに対し、JJはゆるゆると首を振る。黒目がグルンと戻ってきた!


「どうせ……てめぇはここで死ぬんだしなァ!」

 一直線に投げられたナイフ! カヅトはほとんど条件反射で蒼炎の剣を振るっていた……投げられたものは、ナイフだけではなかったのに。

 剣を振るった、その刹那……カヅトは確かに視認した。


 こちらに向かって飛んでくるナイフ――その後ろ、放物線を描いて落下する物体――


 ――赤色の四角いポリタンクを。



次回更新は9/7(土)予定!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ