異変
「……は?」
カヅトの眉間に皺が寄る。人生? ゲームの中にそんなキーワードは出てきていない。それでは、カヅトの呟きにゲームが反応したのだろうか? 音声認識機能など、ついていなかったはずだが……。
画面が変化する雰囲気はない。どちらかの選択肢を選ばなければいけないのだろう。故障ならリセットボタンを押せば済む話だが、さっきの強敵ドラゴンをやっとの思いで倒したのだ。セーブする前にリセットしたら、今までの努力が水の泡……。
だから、カヅトは選んだ。
さらなるスリルを求めるゲーマーならば、選択肢は1つしかない。もちろん――
「はい、っと……あ?」
ウインドウが音もなく消えた。そしてゲームはそのまま沈黙。真っ黒の画面に、カヅトの輪郭がぼんやりと映り込んでいる。
「……はぁ!? ンだよおい! なにバグってんだよ……やり直しかよ、萎えるわぁ……」
電源ボタンをプッシュ。だが、ゲームは起動しない。
「もしもーし?」
神速の電源ボタン連打! だが、ゲームは起動しない。
「ないわぁ~……クソッ! これだからリアルは……マジ……」
文句を垂れながらカヅトは自室を後にした。
「腹減ったな……」
足は自然とキッチンへ。ゲームに熱中していて、ランチがまだだ。時計はすでに15時を回っているが……。
「……あ?」
リビングのドアを開けたところで、カヅトは異変に気がついた。
誰か、いた。見知らぬ誰かが、戸棚の奥を漁っていた……。
誰がどう見ても泥棒だ!




