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【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました  作者: かんあずき


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48 真実はどこに

「薬ってこんなにたくさんのレシピがあるの!」

私はひっくり返りそうな声をあげた。

天井につくぐらい所狭しと書き留めたものが置かれている。


「シームルグはすごく勉強熱心なんだ」

ソラリクスは驚く私の横で惚気るように、シームルグの賢さと凄さを語りだす。

あんた、本当にどうしてカラドリウスに引っかかったの?

どう考えても、あなたの元カノ凄すぎるんだけど。


もはや、シームルグの犬となったソラリクスは、神の集大成と思うスピードで家中を掃除して、いらないものを消去し、使えそうなものは原料に戻す神技を披露し続けた。


「あれ?私が一生かけて片付けたらいいって言わなかった?」

最初の話と違うじゃないの!

元カノの家を寿命が終わるまでに片付ければ良かったのでは?

「ダメだよ。君が変化を起こしたんだ。シームルグに片付けてって言わせたんだよ。シームルグの気持ちは天気より変わるのが早いんだからね。話は八掛けで聞いておかないと!残りの二割は、心変わりという特技も持ってるんだからさ。本当なら瞬きしてる間に片付けたいよ」


なんかどっかで聞いたようなセリフだわね?

わたしは記憶をたどり寄せて、ああ、シームルグのセリフだわと思わず笑いそうになる。

二人はペアの神なんだから、似たもの同士のはずだわ。


ソラリクスは、すでに片付けをするためにねじり鉢巻、作業着になり、神の威厳はどこにもない。


これでは、タイトルの「異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら」が「異世界で神が元カノのゴミ屋敷を片付ける」に変更になるわ。


ま、いいか。


「とにかくね、もういいわとかもっとソラリクスなら早くできると思ってたのに残念だわっていわれるのは、わたしにとっては最大級の屈辱なんだ。君の寿命を待ってなんていられないよ」

「ああ、そこは待たなくて片付けて正解だと思います」


別に、片付けたくてたまらないから老後の楽しみに取っておいてほしいなんて頼んだ気はさらさらない。

500年かけて痴話喧嘩した成れの果てなんだから、本当なら二人で片付けたらいいのだ。


「ああそうだ。ソラリクス様!エーテリオン様から、合鍵返してもらえたんですよ」


ーーー


翌朝、いつものように食堂でガルーダを待っていた。

朝から、フェニックスがニヤニヤしながらやってくる。

「聞いたぞ。飛鳥とガルーダ、付き合ってるんだってな。あの出会いからどう恋に落ちたのか知らないが、やるじゃないか?」

まだ恋に落ちてなければ、付き合ってもなければ、フェニックスの視察のために必要なものを買頭に付き添ってもらっただけだ。

つまり、どうもこうもフェニックス!あなたが元凶よ!!


そう叫びたいが、わたしは一口コーヒーを飲んで、

「二人で街に出たのは事実だけど、付き合っているわけではないわ。ガルーダに申し訳ないから違うってみんなに言ってちょうだい」

と、交際情報についてのみ訂正する。


「飛鳥さん、それは流石に無理かも。」

振り向けば、エーテリオン様。

昨日のこともあり気まずい。


「合鍵無くさないように頼みますよ。ガルーダにあれだけ恋人として深い付き合いをしていると言われたら、流石にわたしも動揺してしまいました」

そう言いながら合鍵を渡してくる。


「ふ、深い付き合い!!そうなのか?ちょっと待て!ああ、わかった。珍しくピンキー様の件で、口を出してきたからどうしたのかと思ったが、ははーーーん!飛鳥の前でいいところを見せたかったってわけか」


フェニックスは、嬉しそうに楽しそうに目を爛々とさせている。

だから、あんたたち二人がその噂の元凶なんだってば!

わたしは、フェニックスとエーテリオンをじと目で睨む。

「フェニックス、あなたちょっと娯楽が足りてないんじゃないかしら?」

「なんだ?その娯楽ってのは?」

娯楽が少なすぎるから、そんなどうでもいいガゼネタをつかまされるのよ。全く!


わたしがため息つく様子を、フェニックスは目をぱちぱちさせながら、ああそうだと思い出したように話す。


「そういえば聖女課って今休みだよな。いよいよ、ピンキー様との視察が近づいてきたんだよ。これが今俺にとって娯楽なんかより一番のビッグイベントなんだけどよ」


フェニックスが困ったような顔する。

「やっぱり聖女様って馬車だろ?困ったことに、馬が空を飛べる高さに限りがあるんだよ。」

「そうなんだ」

あの時でも結構高かったけど、もっと高いところを飛ぶのね。

「なんせ、空部隊に聖女様をお迎えするのは初なんだよ。気合い入るじゃん」

「馬車じゃないんなら、ジズたちも納得しないと思うが」

エーテリオンは、また面倒くさいことになりそうだという顔をした。

「そうなんですか?」

あの馬車は馬車で嫌なんだけどな。ブンブンキャビンが振り回されたのに、もっと上空でだなんて...

「まあ、伝統だからね。ジズに相談してみないといけないだろうが、とりあえず怒り狂うところをなだめるところから始めないといけない。ああ、飛鳥さん、君も他人事のように聞いてるけど、ジズの機嫌が悪くなったら君も当然煽りをくらうと思うよ。」


エーテリオンが、顔をしかめる先でわたしは、そうだったと身震いする。

多めにお茶菓子準備しとこうかしら?

「ええっ!聖女様ってもっと包み込む寛容な優しさがあるんじゃないのかよ?」

フェニックスが目を見開いて、詰め寄る。

そんなわけがない。ああ、でも関わりがないなら知らないのね。可愛い芸能人が、裏の顔持ってるのと一緒よ。

しっかり聖女の洗礼を受けたらいいわ

わたしはふーっと息を吐く。

そこに、

「朝から、何騒いでるんだ?飛鳥、ちゃんと合鍵返してもらったか?」

ガルーダが、ぬっと現れて、エーテリオンとフェニックスを一瞥する。

「今渡したところだよ。そんな怖い顔するなよ」

エーテリオンは、これ以上絡まれたくないよといいながら立ち去ろうとする。

「聞いたぞ。お前たちそう言う仲なんだってな。なんだよ。飛鳥の前でいい格好したかったなら、口裏を合わせてやったのに」

フェニックスがニヤニヤするのをガルーダはふうとため息をついた。

「今聞こえたんだが、聖女を乗せるのに馬車じゃないのか?それは大変だな」

「えっ?そうなのかよ」

フェニックスが真顔になる。

「聖女に祈祷にきてもらう場合、1回につきその打ち合わせだけで1週間、全ての要望を叶えるために動いて、その場でその通りになったことはなし。怒鳴られるのは当たり前。さあ、馬車が準備できないなんて、聖女たちに伝えたらどうなるかな」


ふっとガルーダは笑う。

フェニックスとわたしはドン引きだ。

そこまでの準備をして、今回、目的地に目的通り辿り着けたのが三分の一だったんだよね??

さすが聖女シスターズだわ。


「お、おい、飛鳥!お前も口添えしてくれよ」

「わたしは下っ端、それも聖女じゃありません。怒鳴られることはあっても褒められることはないわ」

私もツンとして伝えてみる。

少し聖女の洗礼を受けてみるがいいわ。

「じゃあ無事に、安定した乗り物酔いない代わりのものを準備できるように祈っていて上げるわ」


そう言って、私は祈祷の真似をした。



ーーーー


「おやおや、無事にエーテリオンから合鍵を返せたとは良かったが、確かに馬は浮くことができるのであって長距離飛ぶのには向いてないからね」


ソラリクスは私から今朝の話を聞いて、唸っている。

「だから、ガルーダは結局休みを切り上げて、今日は神獣たちに私を乗せることが出来ないか検討してるみたいです」

「鳳凰は気位が高いから、へそを曲げると上に乗っているものを蹴落とすからなあ」

はいっ??

今なんて言った?

じゃあ、鳳凰はなしでしょ。

「グリフォンはガルーダが地上で使う時に使用するが、フェニックスは苦手だろう。それに、鳳凰を飛ばさずグリフォンを飛ばしたら、二度と鳳凰は飛んでくれないだろうね」

「気むずかしすぎません?」

「早くて強い子ほど、扱いは優しくデリケートにだよ。シームルグと同じだね」

ソラリクスは微笑んだ。

「そのシームルグは今どこに?」

私はキョロキョロする。あんなに昨日は張り切っていたシームルグがいない。

「上の彼女の研究室だ。自分ができるところまで準備するって不眠不休だ。過去、ここでこの世界を救う多くの薬が作られていた。今回の変化は、世界中にやっと病をなおしたり、怪我を治すための薬や治療が復活することだね」

ソラリクスは嬉しそうに視線を上にあげた。

「彼女は、誰よりも優しくて、努力家で弱いものに優しい人なんだよ」


そう惚気るのを聞き、迷ったが、今ならシームルグもいないし、ソラリクスに聞けるかもしれないと思った。


「ソラリクス様、ソラリクス様は本当にカラドリウスを愛していたのですか?シームルグは、ベンヌとカラドリウスからそう聞かされて、あなたがカラドリウスに贈る指輪を買っているところまで見せられています。そして、それを身につけたカラドリウスも。」

「なんだって??」

ソラリクスの顔色が変わる。

「あの指輪を?そんなはずはない。」

「いいえ、普段外に出ないシームルグは、信じたくなくて、無理をおして日中、宝石店を見ていたそうです。ですが、お店で二人が笑いながら買ってそれを受け取っている姿も見ていると。そして、ベンヌやカラドリウスからもソラリクス様と別れてほしいといわれていたようです。」


ソラリクスは、少し考えている様子だった。

いや...でも...

しばらくぶつぶつ独り言を言っている。


「ちょっと頭を整理させてくれ。彼女の死とも関係してくるからこの件は迂闊に彼女にも伝えられない。いいね。シームルグの前では、この話は出さないでほしい。世界の蓋が完全に取れて変化した時にちゃんと話す」


ソラリクスの表情は、今までに見たことがないぐらい冷たく澄んでいた。

先ほどとは違う神を思わせるぞくっとした空気と圧力が私の体を支配する。

動けなくなる。手足が冷えて、感覚がなくなる。

わたしはぞっとした。これが神だ。


「いいね」


ソラリクスはもう一度私に確認する。

わたしは頷くことしか出来なかった。


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