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【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました  作者: かんあずき


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45/59

45 知らなかった世界

「じゃあ、二人仲良くね。シームルグも感情的になっちゃダメよ。ソラリクス様も、無理やり色々会話しようとしたらダメだからね。あと..,..」


大丈夫かしら?

この二人を残して行って、大喧嘩しなければいいんだけど。

ソラリクスは、悪意はないけど一言多いか少ないかだし、シームルグはツンデレだし。


「いいから早くガルーダとデートしてきなさいよ」

シームルグが真っ赤な顔のまままで私を家から追い出そうとする、

「おや、二人はそういう関係なのかい?」

ソラリクスは、わかっていて驚いたような顔をする。

本当にこの男は!!


「違います。街に降りたことがないから、無理を言ってガルーダに連れて行ってもらうだけです」


全く何を言ってるんだか?

時渡りセットには、必要最低限のものはあるが、足りないものも多い。一応当面の生活費も入っているので、必要なものと、今度の視察の服を探しにいくのだ。


「ああ、確かにここは浮いているから降りにくいよね。今後、街に降りたいなら、時渡りの世話はエーテリオンにさせているし、ついて行かせようか?」


ソラリクスは再び地雷を踏む。

エーテリオンに行ってもらうわけには行かないから、ガルーダに頼んだのに。

どうして、手のひらで転がすようなことをするくせに、気づかないんだ。


「いえ、今後も俺がついていきます」

ガルーダが、エーテリオンのことを心配してくれたのだろう。私の代わりに強く返答する。

「ソラリクス、あなたどうして空気を読まないの!初めてのデートを二人がしようとしているのに、どうして別の男の名前を出しちゃうのよっ!」

「そっか!そうだね。まさか二人がそんな関係とは!」

ソラリクスがシームルグとラブラブに話すので、これははっきり伝えておこうと釘を刺した。


「そんなわけないでしょう。ソラリクス様、エーテリオン様は聖女ピンキーと結婚したいと考えているんです。そして、私がピンキーと知ってて知らないふりをしている気がするんです。今は、接触は避けるためにガルーダが協力してくれているんです。」

「へえ、モテモテだね。エーテリオンも君を...」

「ソラリクス様、せっかく仲直りしたソラリクス様とシームルグの前だから言いたくありませんが、エーテリオン様の一族はベンヌの時から代々、聖女と結婚しているじゃないですか?」


ソラリクスが、えっ?という驚きの顔をする。

と同時に、突然頭を抑え始める。

どうしたの?


「ソラリクス、どうしたの?」

「ソラリクス様!!」

ガルーダとシームルグが駆け寄る。

しかし、シームルグは触れられない体のため、ソラリクスの中をエアーで通り過ぎ、呆然としてしまう。

「あ...あ...」

シームルグは触れられないことに動揺してしまうし、ソラリクスは頭を抱えているし...なんなのこれ?


「すま...な..い。激しい頭痛で。ベンヌが...聖女..と?」

「えっ?知らなかったの?」

「うん......シームルグのことがあってしばらくは引きこもっていたし、人の色恋にはあまり関心がなかったというか、触れたくなかったんだ。シームルグ...触れられなくてもそばにいてくれるだけでいい。大丈夫だ」


シームルグが、目に涙を溜めてポロポロと涙をこぼしている。


「君もつらいかもしれないが、泣いている君を抱きしめられない私も同じくらいつらい。だから、気持ちは一緒だ。」


シームルグはうんうんと頷いている。


「どうやら.....時渡りの効果かな?新しく何か変化が起こると思うよ。一つづつ知らなかったことに気づき始めて、動き始めている。

そうだね。エーテリオンの一族は、むしろ、聖女とは一線をひいているように見えたんだ。だから、君の世話も頼んだんだが......残りの臣下はみんな聖女を、敬愛していたからね」


意外だったわ。

私は唖然とした。いつも手のひらで、私たちの動きを知っていて転がしているように見えたのに。

誰もが知っていて、ソラリクスがしらないこともある。


シームルグもだけど、やっぱり神である二人は、ずっと共に支え合う仲間のように見えて、他の人たちとは一線引いた存在だったんだわ。

誰も知らないことを知っていて、誰もが噂したり、知っていることは教えられないと知ることがない。


「知らなかったんですね。てっきり知っていた上で、エーテリオン様に私を頼まれていたのだと思っていました」

私は、少し申し訳ない気持ちになった。

そこまで激しい衝撃を受けると知っていたら、もう少し言い方を考えたわよ。


「知らなかったというより、疑問に思わなかったという感じかな。500年の間に、ベンヌにしてもガルーダにしても、当然結婚したから、次の世代の後継がいるんだろうけどね。最初こそ交流をしていたが、段々、次の世代、次の世代と紹介されて、それを受け入れ続けていた」


ガルーダと私は思わず顔を見合わせる。


知らないというよりも、疑問に思わなかったーー


これはかつて聖女たちやガルーダが体験したことと同じじゃないの!


「それは、困ったな。ここに自由に行き来できる権利を与えてしまっているからね。」

ソラリクスはふうっとため息をついて考えているようだった。頭痛はおさまったようだ。

どうやら一時的なものらしい。


「かといって、あからさまに鍵を返せと言ったら、タイミング的にピンキーですと言っているようなものなので避けたいです。」


昨日、それっぽい話をして、今日から出禁なんて。

しかも、聖女課はエーテリオン様と仕事で関わりが多い。

そーっと距離を取りたい。


「そうだね。今日からこの屋敷のお風呂は使えるように頑張るから、城の浴槽を使うことは無くなるだろう。そうすれば、風呂から出たところを狙われることは無くなるか」

ソラリクスが、左側のお風呂に続く廊下を眺める。

「な!!なっ!」

ガルーダが真っ赤になって慌てている。

「城の部屋は、風呂上がりに攻撃を受ける危険もあるのか!それはダメだ!というか、聖女かどうかとか以前に男性に鍵を持たせるのはダメでしょう。」

ガルーダは、考えてなかったと真っ赤になってつぶやいている。

その慌てた反応を見て、どういうことかしら?と一瞬考え、私も確かにやばいわと慌てる。


城のシームルグの部屋の鍵を持たれていて、その部屋に設置された風呂に入ってるんだから、狙われるならそこで狙われる可能性もあるのか。


誘拐、拉致、その他諸々何でも可能だわ。

いや、でも待てよ?


「なんでそんなに飛鳥落ち着いてるのよ!」

シームルグの焦りの声が聞こえる。

「うーん、エーテリオン様がしようと思えば出来るけどしないのは、そんな気がないからでしょうね。

ただ、これからピンキーを表舞台に出していくなら、要注意でしょうけど」

「当たり前だ!毎日、職場から家まで送るからな!」


ガルーダは、真面目に心配してくれている。

だけど、昨日の訓練を見ても、どうやっても職場に遅くまで残ってるのはガルーダでしょうに。

聖女課なんて、定時ぴったりよ。


「何言ってるの?ガルーダは訓練があるでしょう。そんなの、ソラリクス様にしてもらうわよ。ここまで迂闊なことをしたのはソラリクス様なんだから。」

「は!!わたし??」


慌てたように金色の髪の毛が揺れている。

思わずソラリクスは自分の顔を指さしているが、エーテリオンに迂闊に鍵を渡したのはソラリクスなんだから、当たり前じゃないの。


「そうです。ちゃんとシームルグの部屋で私の安全を守るために待機しててくださいね」

「えーーーっ!嫌だよ!少しでもシームルグから離れたくないよ!」

ソラリクスは嫌だ嫌だと駄々っ子のように首を振る。

そんな悲鳴は無視をして......まあ、でもやっとソラリクスとシームルグが通常運転に戻ったようでホッとする。


「じゃあ、今度こそ私はガルーダはデートではなく、一緒にただ外に出ます。いいですね、二人は帰るまでに喧嘩はダメですよ。もし喧嘩したら、どっちが泣いても、ドアを締め切りますからね。」

「喧嘩しないわ。だって、ソラリクスは体調を崩したのよ」


泣きそうな顔をしたシームルグを見て安心する。

喧嘩をふっかけるのはシームルグだからね。


まあ、少し二人っきりにしてあげましょう。


私はふふっと微笑んだのだった。


◆◆◆


「空部隊で動く服装か...そしてある程度威厳があり、攻撃対象にならないようにしたいな」

「月光をイメージするなら、黒かなあ?」

「もしくは、前回と同じようなグレー、ピンクからきたピンキーなら、いっそピンク。」

「わざと言ってるでしょ。やめてちょうだい。」


私は、思わず聖女ピンクの顔を浮かべて、嫌なものを思い出しちゃったわと顔をしかめた。


「フェニックスは例外で真紅の炎を際立たせる服を着ているが、あれは乗る神獣が鳳凰だからな。」

「鳳凰...なんか眩しそうなものに乗るのね」

「鳳凰が飛ぶと目立つんだ。その輝きがソラリクス様の加護に見えてみんな安心する」

そう言って微笑んでいる。

そうか、神獣の世話は、ガルーダの一族だものね。自分の可愛がる神獣がみんなの心を支えるなんて、それは誇らしいはずだわ。


私が変えたいのはそういうことなのよね。

影の支えや努力は必要よ。

でも、影でもちゃんと報われたと感じられることなのよね。


「そうだわ!鳳凰って何色なのかしら?」

「金色がベースで、色が飛ぶ感じだろうか。一言では表現しにくいが...」


それを聞いて、わたしは決心した。

それなら、やっぱり漆黒の黒ね。鳳凰を、映えさせて尚且つ目立つならそれがいいわ。


ただ、鳳凰の金に、私の黒、フェニックスの紅って目がチカチカしそうだけど...

仕方ないわ、色のセンスはないんだもの!


でも、顔はシームルグだし、きっとあの可愛さを黒は最大限に引き出してくれるでしょう...私はそう思うことにした。









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