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異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました  作者: かんあずき


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28 【サイド】ガルーダ2

ガルーダという名で続いてきたが、自分はここで終わりか。

後継も残せなかった。

弟がこの後は継ぐのだろうか。


そんなことを死に向かいながら、ぼんやり思っていたような気がする。

だが、急速に体の血が沸騰するような、磁石でぐいっと意識を持ち上げられるようなそんな逆らえないような感覚がある。


眩しい!

温かい!


天国か?

いや、明らかにヴェールを被って、俺の名前を叫んでいる飛鳥がいる。

ぐいぐいと首元を押し付けて、

「ガルーダ、しっかり!!」

と思いっきり飛鳥の声で、頸動脈を止めるか首の骨を折るかという勢いで俺はぐいぐい首元に布を押し込まれている。


どうやら止血をされている。

布の血を見る限り助からないだろう。

だが、痛みすら感じない。

もう死ぬ寸前だからだろうか?


なんだ!!

俺はカッと目を開いた。

目を開いた時に、広がる空にまばゆいばかりのシールドが張られて、アンデッドヴェノムバットがどんどん滑り落ちている。


夢??

指を動かしてみる。

動くぞ。

息を吸ってみる。

首を押さえ込まれて息は吸いにくいが、特段不便はない。

これは.......なんだ?何が起きている?


「すまない、もう大丈夫だ」

俺の傷を押さえてくれていた飛鳥の手に触れると、震えているようだった。

ゆっくり起き上がり、もう一度聖女姿の飛鳥を見た。


(どう見たって飛鳥だろう。なんで時渡りの彼女がここに?)


今までの聖女らしくない行動がすべて腑に落ちた。

そして、聖女課の人間の動きを思い出し、リスクの高い祈祷を押し付けられたかと妙に納得した。


今まで聖女が絶対だと思っていた。

それなのに、俺は今何を思った?

聖女が仕事を押し付ける奴らだと知っていたよな。

心の何かがパリンと音を立てて、割れた。


足元に転がる見慣れない薬瓶を見て、ますますその思いが明確だと気づく。


俺はアンデッドヴェノムバットに噛みつかれて死ぬと思ったよな?

聖女の薬では治らないと思っていたから死ぬと思ったのだよな。それなのにどうして助かった?


普段全く気持ち程度の効き目しかない聖女の薬は、信じるものほど効果が高いと言われている。

それなら、この見慣れない薬はなんだ?

聖女の薬を信じていない自分がなぜ回復した?

なぜ噛まれたのに解毒された?


まあいい。とにかく今はチャンスだ。


「お前たち、聖女様が作ってくださったシールドが効いている間に全てを撲滅させるぞ」

「はいっ!」


一気に兵たちの士気が上がる。

アンデッドヴェノムバットが俺たちに攻撃できないなら、こっちのもんだ。


「聖女様、申し訳ありませんが、もしよろしければ毒を負うた他のものにもその薬を分けてやっていただけませんか?」


飛鳥は、うなずいて俺の血を浴びたまま、他の兵たちを助け始めた。

だが、少し様子を見ると、薬だけではなく、俺と同じように傷口を押さえていくと傷が消えて兵が復活している。


飛鳥は聖女だったのか?


時渡りのカラドリウスは大聖女なのだから、時渡りの飛鳥が力を持った聖女でもおかしくはない。

事情を把握しなければいけないが、仮に結果的に聖女だったとしても、こんな状況で偽聖女を語ってしまえばその罪は重罪だぞ。


知らないふりをした方がいいのか?

だが、俺以外のものにバレたらどうなる?


アンデッドヴェノムバットを無事討伐し終えると、飛鳥は兵から囲まれ、名前を聞かれている。

なんとか声を出さないように頑張っているが、兵の喜びが大きすぎて名前を聞かれて無視もできないようだ。


名前は......聖女ピンキー...

なんだ?その変な名前は!


思わず吹き出しそうになる。

そろそろ助け舟を出してやるか。


「聖女殿ありがとうございました。みんなに代わってお礼を伝えさせてください。」


俺は、お礼を伝えた。そして、飛鳥なら馬車にこだわらないと思い、空間移動を提案すると、案の定断ることも、怒ることもなかった。


いや、今までが異常だったんだ。

兵の命よりも、伝統や聖女を常に優先してきた。

怒鳴られたら申し訳ないと思っていた。


飛鳥は準備に入った兵たちを見て、オロオロしている。

自分が他の兵たちの血を浴びて、汚れたままで、それを怒鳴ることも叫ぶこともない。


俺を、そして兵たちを助けてくれた

今度は俺が飛鳥を必ず庇い守ろう。

なんだか心が温かくなり、ほっとした。


「兵の魔法部隊が緊急用の空間移動を展開させます。きちんと城まで無事に届けますから安心してください。」


飛鳥は、目が挙動不審になりながら頷いている。


「落ち着きましたら...」


俺は周囲を見てそっと飛鳥に顔を近づけた。

飛鳥は、ヴェールをしていても顔が赤く、たじろいでしまうのがみえた。

何を期待している。このバカ!

もう、反応がおかしくてたまらない。


「どういうことか?ゆっくり聞かせてもらうぞ。飛鳥」

そういって離れた。

愕然として明らかに落ち込んでいる飛鳥の姿は見えたが、これから何があっても庇うのはこっちだ。

少しは反省しておけ!!


俺は空間移動をして城に戻ると、後日、飛鳥と話をする時間をもつ約束を取り付けて、ソラリクス様のもとに急いで向かうのだった。


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