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異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました  作者: かんあずき


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17 恋する乙女

「シームルグ!頭で騒ぐようなら、このぬいぐるみ洗ってあげないからね!」


あまりにもキンキン頭の中で騒ぐので、軽く脅すと

「嫌よぉ!飛鳥!!」

シームルグが涙目で飛び出てきた。

「ここって、お風呂はあるんですか?」

「あるわよ!あるんだけど、さっき荷物を詰め込んだ廊下の左側だわ」

あの詰め込みすぎて隙間すら無くなった奥かーー


「なんであんなにたくさんのものが散らばってるんですか?」

「だって、ソラリクスが家に入ってこようとするんですもの」

「えーっ!好きなんですよね。ご飯も作ってもらってたのにどうしてたんですか?」

「一階だけは綺麗にしてたのよ。でも、わたしがいなくなってソラリクスが入ってこようとするんですもの。見られると困るものとか、見られたくないものとかあるじゃない!とにかくバリケードを作ってたら、500年経つ内にこんなことになったの。ぬいぐるみはいつも持ち歩いてるの。汚れているのは時間が500年も経ってしまったからよ。今日だって、みんなが押し入ろうとしなかったら、ぬいぐるみをあそこに置きっぱなしになんてしなかったわ。大切にしているのに、ソラリクスに誤解されちゃった」


ぐすんとシームルグは見るからに落ち込んでいく。

落ちていたのを拾っておいたのは私だし、ちょっと責任を感じる。

「綺麗に洗ってあげるわよ。仕方ないから早速作ってもらったシンクで洗おうかしらね。洗濯機だとやぶれたら困るし。」

「本当!あのね、ソラリクスがキスしたところだけ洗わないこと出来る??」

キラキラとした恋する乙女が眩しすぎる笑顔で聞いてくる。

本当に可愛いのに、満足できなかったのかねえ。

ソラリクスに憎しみすら湧いてくるわ。

こんな可愛い子が世界中から恨まれるなんて、絶対おかしいわよ。

なんか陥れられたんじゃないのって疑っちゃう。

「キスしたところだけ洗わなかったら、一部分だけ黒いのが残るじゃないですか。まるでわたしがそれを望んだみたいに見えるし、やっぱり綺麗にしておいたほうがいいですよ」

「そうかしら?そうよね。飛鳥って言ったわよね?あなた、ソラリクスをみて心がドキドキいったり、ときめいたりしないの?」

「すいません、全く皆無です」


思わず三白眼で答えてしまう。

母が男と蒸発したというのもあるが、浮気性の男は何度もやる。それはいろんな話を耳年増にしているからわかる。

付き合うなら一途で真面目な方がいい。


「どっちかというとエーテリオン様の方が好みよね」

「エーテリオン?ああ!さっき来てたもう一人の人よね。あの人は初めて見たんだけど...」

「500年前にいた執政大総監のベンヌの子孫だって言ってましたよ」

それを聞いてシームルグは、目をぱちぱちさせる。

「えーっ!ベンヌの!!ってことは誰かと結婚したのね。ベンヌは私にもとてもいい人だったわ。」

シームルグはニコニコする。

どうやら敵ではないと安心したようだ。


結局、応接間に住まわせてもらえるはずが、シームルグと同居になっている。

わたしが、城の風呂に入っている間にシンクにお湯を作って漬け込み洗いをしていても、じーっとシンクから離れない。

押し洗いをしたら、一緒に押されるような顔をして、脱水のために絞ったら苦しそうな顔を一緒にする。


「あまりに真っ黒なので何回も漬け込み洗いが必要です。

明日の朝干しますから、お部屋に戻って大丈夫ですよ」

そう声をかけたが、首を振って結局朝までぬいぐるみが綺麗になる様子を見続けていたらしい。


朝日が登り、わたしはそれを日差しが良くあたる方向に向けて干し始める。


「帰ったら、取り入れますから。ここにいたら、ソラリクスかエーテリオン様が来て鉢合わせするかもしれませんよ。」


そう脅かすと、

「わかったわ!飛鳥!早く帰ってきてよね!」

と昨日包丁を10本以上向けてきたとは思えない美少女の微笑みと言葉に思わずくらりとするのだった。


◆◆◆


お城のシームルグの部屋の扉の鍵をカチッと掛けて、食堂の朝ごはんに向かう。


「おっ!今日は魔獣鶏の卵から作る卵サンド。これだな」


人の顔ほどある大きさの卵から、ふわふわ卵ペーストを作り上げました。パンに挟んだら最高の美味しさ!


人の顔ほどある卵は、成長したらどんな鶏になるんでしょうね。くわばらくわばら…

そんなことを考えながら卵サンドを食べていると、エーテリオンが心配して声をかけてきた


「ご無事だったのですね?夜、おかしなことはありませんでしたか?」


おかしなことだらけだったが、それを言うわけにもいかない。


「いえ、多分大丈夫です」

「そうですか。それなら良かった。聖女課に洗濯機を早めにお届けしますね。他に欲しいものはありませんか?」

わたしはうーんと、考える。


「アイロンってありますか?ええと、鉄が火傷するほど熱くなって、それを布に乗せるとシワが伸びるんですけど」


聖女の服を大量に洗ったので、アイロンをかけないといけない。だが、そんなものはない。


「うーん、シワ抜きですか?兵が最後に真空にしてシワを伸ばすアレのことかな?」

「真空は使ったことがないんですけど...」

うーん、しわあり制服は聖女たちの機嫌を損ねるだろうか?

「大丈夫です。しわありでも彼女たちは気づきもしないと思いますけどね。ソラリクス様に言っておきますよ。昨日みたいにこっそり準備してくれるかもしれませんしね」


たしかに......

カラドリウスのために物干し竿から準備した男だ。

浮気男はマメっていうけど、本当だな。


「ああ、あと急ぎませんが分別のゴミ箱をたくさんいただけると嬉しいです」

私は思いついたように追加する。

聖女シスターズ!彼女たちには、ゴミの捨て方の指導が必要よね。


今日はおそらく昨日できなかったゴミ捨てだ。

私は大きくため息をついた。




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