5. 境界線の向こう側
実際の体験談を原案に、AIが描写を補助して完成した小説です。現実と非現実の狭間を彷徨う記録としてお読みください。
海は茫然としたまま、元の道を引き返した。足取りは虚ろで、力が入らない。
どれくらい時間が経ったのか。気がつけば、彼女は黄竹坑バス総駅の、見慣れたベンチに座り込んでいた。息も絶え絶えに喘ぎながら、ようやく我に返る。
「あれは、夢だったのか…?」
海は震える手でスマートフォンを取り出し、地図アプリを開いた。自分が歩いたはずのルートをなぞろうとする。しかし、どう操作しても、あの鉄条網に阻まれた「荒涼とした闇の空間」は、現実世界の地図上のどこにも存在しなかった。そこにあるのは、開発された道路と建物だけだ。
全身に冷たい悪寒が走った。
先ほどまでの体験――あの漆黒の道、地図にない荒地、そして、あの平凡だが神秘的な声。
あれは、もしかしたら、この世のものではない「見えない存在」だったのかもしれない。それは最も日常的な形で、彼女を時間と空間の境界線、死の淵から引き戻してくれたのだ。
海はもう、あの場所を探そうとはしなかった。
やがて到着した市内行きの深夜バスに乗り込み、失恋の痛みとは別に、得体の知れない、見えない存在に対する深い畏敬の念を抱きながら、闇夜を見つめ続けた。
(完)
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