2. 広漠たる闇の中へ
これは、現実と創作、そして人間とAIの共同作業によって生まれた、境界線を彷徨う記録です。
どれくらい歩いただろうか。時間感覚は完全に麻痺していた。
海はただ、目的地を目指す機械のように足を進めていた。彼女の意識は、彼に拒絶された記憶と、彼を求める痛みに囚われたままだ。周囲の環境がどうあれ、もう彼女にとってはどうでもよかった。世界の終わりすら、今の心境に比べれば取るに足らないことのように思えた。
遠くに見えるはずの車のヘッドライトは一つもなく、聞こえるのは自分の荒い息遣いと、時折遠くから微かに聞こえる、この世のものとは思えない奇妙な風の音だけ。道は次第に広がり、見渡す限り何もない、無限に広がるような空漠とした闇へと続いていた。この空間では、空気が静止しているかのようだった。
そして、ついに目の前に立ちはだかったのは、高く錆びついた鉄条網のフェンスだった。行く手を完全に阻まれている。
その向こう側は、言葉では言い表せないほどの深い闇と荒涼とした空間が広がっていた。本来、この場所にそんな場所は存在しないはずだ。
しかし、その圧倒的な闇の中で、たった一つだけ、強烈な光を見つけた。遠い、遠い彼方。それは、まるで冷たく澄んだ月そのものが形を変えたように、手の届かない、それでいて狂おしいほど美しい、彼の存在を象徴する窓の光だった。
――あの光の先に、彼がいる?
窓明かりかもしれないし、そうでなくてもいい。その光の先には彼がいる、そう信じた瞬間、感情の堰が切れた。
全五話。どうぞ最後までお読みください。
ご愛読、心より感謝申し上げます。




