14話 賭博迷宮その2
なんとか、ギリギリ五番目に滑り込めたみたいだな。
俺とアリスはバトラーに案内され、賭博宮の一室へと通された。
そこには、すでにラビリンスを突破した三人の挑戦者が待っていた。
部屋の中は薄暗く、燭台の炎が壁に長い影を揺らしている。
中央の円卓には四脚の椅子。
そのうち三つには、すでに異なる色の闘志を宿した者たちが座っていた。
軽薄そうな、金髪の男がカードを指で弾いている。
黒髪の女は脚を組み、退屈そうにこちらを一瞥した。
もう一人、黒いフードを目深にかぶり表情すら見せない。
どいつも一癖ありそうだ。――それだけで、背筋がわずかに冷える。
「キョウスケ、すごいよ! どうしてあの三つの扉に正解がないってわかったの?」
人の話は、よく聞くものだってことさ。
「どういうこと?」
国王の話を思い出したのさ。
『ここは富と名誉を求める愚者の遊戯場にあらず。』
『運は天に、策は己に。左手にダイス、右手にチップを持ち。』
つまり――富と名誉を求める選択は、愚者の選択ってことだ。
それに「左手にダイス、右手にチップ」ってのも妙だろ?
普通は右手でダイスを振る。つまり、**“常識とは逆を選べ”**って暗喩なんだ。
それに気づかなければ、誰だって「民よりは王」、「銅貨よりは金貨」を選ぶ。
――まったく、なんとも意地の悪い王様だ。
「あんな話から、そこまで分かるなんて……」
喜んでる場合でもないぞ。
俺は小声で言い、周囲をちらりと見渡す。
この意図を理解してるのが、アリスを除いても三人いるってことだからな。
その瞬間、部屋の空気が静かに張りつめた。
誰も言葉を発しないまま、ただ互いの呼吸を探るような沈黙が続く。
――この中の誰かが、次の勝負で俺たちの前に立ちはだかる。




