13話 賭博迷宮
しかし、思ったより参加者は少ないな。せいぜい五十人前後ってところか。
「キョウスケ、そりゃそうさ。なにせ参加料が大金だし、腕に覚えがないと金をドブに捨てるようなものだからね。」
なるほど。とはいえ、この五十人で勝ち抜き戦でもやるつもりなのか?
「いや、最初は多分、この五十人をふるいにかけるギャンブルが行われるはずだよ。」
そうこうしていると、初老の紳士が姿を現した。
「皆さま、賭博宮へようこそ。私はバトラーと申します。最初に挑戦していただくのはこちらになります。」
彼がパチンと指を鳴らすと、床の中央が静かに開き、地下へと続く階段が姿を現した。
「このギャンブルの名は――《ラビリンス》。
平たく言えば、迷路での勝負でございます。
勝敗は単純明快。迷路を踏破した上位八名のみが、次のギャンブルへ進むことができます。
質問は一切受け付けません。それでは皆さま、御幸運を。」
そう告げるや否や、参加者たちは我先にと階段へ殺到した。
「キョウスケ、どうしたの? 私たちも早く行かないと!」
アリスが焦ったように俺を見る。
まぁ落ち着け。ふるいにかけるギャンブルだ。単純な迷路のわけがない。早い者勝ちってのも芸がなさすぎる。
「それはそうだけど……」
じゃあ、少し落ち着いたところで行こうか。
俺とアリスは人の波が引いたのを見計らい、ゆっくりと階段を降りていった。
階段を降りきると、そこには巨大な門がそびえ立っていた。門にはこう刻まれている。
『王は日が昇る方角に。民は日が落ちる方角に。』
「どういう意味だろう?」
アリスが首を傾げる。
この世界が前の世界と同じなら、日が昇る方角は東、日が沈む方角は西ってことになるが……。
俺は少し考えたあと、西の方角へと歩き出した。
「キョウスケ、いいの? そっちは……」
まぁ、ついてこい。
アリスを促し、俺たちは西の通路へ進んだ。
次の分かれ道には、新たな文が刻まれていた。
『金貨は右手に。銅貨は左手に。』
「また二択か……。キョウスケ、今度はどうする?」
アリスは金貨と銅貨、どっちを選ぶ?
「そりゃ金貨だけど、単純に右でいいの?」
俺は少し考えたのち、左の道を選んだ。
「私はキョウスケを信じてるからね。キョウスケが左って言うなら、なにか意味があるんだろう。」
まぁ、無くもないさ。
そう言って、俺たちは進み続けた。
いくつかの分かれ道を越えた先、赤・青・黄の三つの扉が並ぶ部屋に辿り着いた。
いよいよ最後の選択ってわけか。
それぞれの扉の上には――
赤には「王」の絵。青には「騎士」の絵。黄色には「宝箱」の絵が描かれている。
「キョウスケ、どうするの? 騎士の絵はともかく、王と宝箱、どっちにする?」
俺は一瞬考えたあと、くるりと踵を返した。
アリスが驚いて声を上げる。
「キョウスケ、どこに行くの!?」
多分、この三つの扉――どれを開けても正解はない。
その瞬間だった。
「――合格でございます。」
背後から、先ほどの老紳士・バトラーの声が響いた。




