ep.6 - 脱出への雪路 -
ハッと目を覚ます浩司。
自宅で寝ていてたはずだが…。
確か…陽子が話があると家に来て…
美味しいワインが手に入ったとか…
何時間前か分からない過去を思い返すが、
モヤがかかったように曖昧だ…。
しかし、現実は目を覚ますと全く知らない部屋にいる。
どこかの建物の地下っぽい。
入り口のドアは頑丈な鉄扉。
窓があるが小さく、分厚いガラスで塞がれている。
外を見ると雪に埋もれ、周囲の木々も雪枯れている。
打ちっぱなしのコンクリート壁はひび割れ、一部はカビが生えている…。
天井には裸電球が一つぶら下がっているが用を足していない。
部屋は真っ暗だが、外からの微かな雪明かりが部屋を少し照らしてくれる。
監禁…されたのか?
多分…深夜、家から車で高速に乗り4,5時間かかった。
山梨か、群馬か…長野か…一体どこなんだ…。
そして、ここには誰かいるのか?
食事は…?見渡しても部屋の中には何もなさそうだ…。
いつ、だれが自分を殺しに来るか…。
ガスや毒を部屋に入れられたら…?
このまま放置されたら…どうなるんだ?
そんな残酷なシーンが頭をグルグル回る。
1時間、2時間…恐怖に震えながら音を立てずに座り込む。
数時間経つが物音一つしない。
本当に放置…されたのか?
怖くて物音を立てないようにしていたが、
意を決して鉄扉に手をかけてみる。
ギギギッ…開いた。
なぜ鍵をかけていないんだ???
部屋から出ても真っ暗な廊下と何もない部屋が並んでる。
何かの施設なのか…わからないがグルグルと回っていると、
外に出られそうな扉を見つけ開けてみる。
一面の雪、雪…帰れる…のか?
【 ep.6 end 】
※この物語は作者の想像に基づいており、登場する設定や人物はすべて架空のものです。現実の世界とは切り離してお楽しみください。