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順調に日々は過ぎ、婚約発表のパーティーまであと一週間となった。
ほとんど確認ばかりの最終段階になって、わたしは急遽王城へと呼び出されていた。王城に、というか、オクトール様に。
本番まで一週間、ともなれば流石に勉強をしている場合ではない。だから勉強会はしばらく休み、ということになっていたのに、急に呼び出されて、何かトラブルでもあったのか、とわたしは慌てて王城へと駆けつけた。
――のだが。
王城にたどりついて案内されたのは、オクトール様の部屋ではなく、何故か庭だった。しかも、整備された中庭ではなく、明らかに庭園というよりは畑と言ったほうのが近いような場所である。
手前こそ花なんかが咲いているが、ちらほらと野菜も見える。……なんだろう、このある意味での無法地帯。育てられている植物に規則性がない。というか、王城にこんな場所があったなんて。
なんでこんな場所に呼び出されたんだ、と混乱していると、オクトール様が姿を現した。
「すまない、急に呼び出して」
そう言ったオクトール様は眼鏡をかけていた。外だからか。
「呼び出されたのは構わないのですけれど……。何か問題が発生したのではなくて?」
わたしは聞くと、否定の言葉が返ってきた。……ますますなんで呼ばれたのか分からない。
まあでも、何か問題が起きたわけじゃなくてとりあえず一安心だ。婚約発表一週間前、というときになって、下手に何かが起きてパーティーに支障が出ても困る。
「実は完成したんだ」
「……えっ?」
完成、という言葉に、わたしは思わず無法地帯の畑を見る。まさか、これ――。
畑を一通り見てオクトール様を見ると、彼は笑っていた。自慢げに。
「言っただろう、本当に王位を目指すつもりで動く、と」
――伝説の魔女の旧魔女の魔法の再現をする魔法道具。
たった一か月と少しで作り上げてくると、誰が予想したのか。婚約発表のパーティーに間に合うなんて思っていなかったし、なんなら、もっと時間がかかると思っていた。
それなのに、こんなにも短期間で。
――本当に、この人は天才なんだ。
努力してその実力を手に入れたオクトール様を『天才』と称するのは、侮辱のようにも思えるけれど、それでも『天才』以外に言いようがない。
自信を持って笑う彼を、称賛する言葉が、わたしはそれ以外に思いつかなかった。
「か、完成したって……い、一か月でここまで育つものなんですの?」
前回の勉強会からまだ一か月弱しか経っていないのに。いや、魔法道具の製作期間も考えると、一週間とか、そのくらいで育った可能性すらある。
でも、見渡せる畑にある植物はどれもこれも短期間で育つようなものじゃない。




