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しかし、スッと差し出された設計図を見て、わたしは考えを改めた。パッと見て設計図を読み取れるくらいには成長したはずなのに、それがあっているか自信がないくらいにコスパが悪い魔法道具がそこには描かれていた。
こんな馬鹿みたいに魔力を食う魔法道具、確かにそうそう使えない。
これだけの魔力を持っている人がいないわけじゃないけど、このクラスになると既に仕事に就いてその職場で重宝されているだろうから引き抜いてくるのは難しいし、まだ職が決まっていなくてもいろんなところから引っ張りだこだろう。
仮に一般人にやらせたら命に関わってくるレベルだし、多少余裕があったとしても法律に触れるくらいの労働時間を課さなきゃいけなくなる。
それに、重そうなジョウロだ。こんなので水やりなんてとてもじゃないが無理だろう。中身が空っぽの状態でも運ぶのに一苦労しそうだし、水が入ったら持ち上げるのにすら体力が奪われそう。
「あ……でも、無理にジョウロにする必要はないんじゃありませんの?」
わたしはオクトール様に設計図を返しながら言う。
前世で、学校の授業の一環として、近所のビニールハウス農家に職業体験をしに行ったときのことをわたしは思い出していた。前世も今世も合わせると、何十年前、ということになるから詳しくは思い出せないのだが、確か水やりをジョウロではなく、ホースのようなものと水道でやっていた記憶がある。
特別な道具なのか分からないけど、水道にホースが繋がって、そのホースが作物の間や上を通り、水道をひねるとそのホースの中に水が通って、ホースに空いている穴から水が噴霧されるのだ。
そのシステムの名前は全く思い出せないし、原理もいまいち分かっていないが、なんとなくの絵なら描くことができる。
最初のうちは、貴重な種であれば、一つ、二つから始めるだろうからジョウロの方が適しているのかもしれないけど、貴重な薬草を量産しようとしたら最終的にはそういう、農家のように、一気に水やりをできるようにした方が効率はいいと思う。
そう思って、わたしはオクトール様に絵を描きながら説明した。……わたしの絵心がなくて、随分のへにょへにょの図になってしまったが、説明しながらだったので伝わっていると思う。伝わっているはず。うん。
最初は不思議そうな表情をしながらわたしの言葉を聞いていたオクトール様だったが、だんだんとわたしの言いたいことが理解できてきたのか、表情が明るくなっていく。




