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旧魔女の魔法とは、いわゆるロストテクノロジーになりつつある魔法の総称だ。
今でこそ、本や魔法道具で文献を簡単に残せるようになったので、魔法の使い方は調べれば簡単に出てくるし、なんなら学校も存在する。より高難度の魔法を学ぶ専門の学校もあるけれど、初歩的なものは大体の学校で学ぶことができる。
でも、大昔では、魔法というのは一部の人間しか使えない特別な技術で、しかも、女しか扱えない力だと信じられていた時代があったのだ。
まあ、それは単純に、男は仕事、女は家庭、という考えが、どの階級でも当たり前だったからでしかない。家事をする女性がいかに時短で済ませられるか、と魔法を駆使したことが技術の発展になっただけで、家事をする男が、もしもいたのなら、その人も使えたと思う。
その時代の魔法使いのことを『魔女』と呼び、女の血筋で受け継がれてきた魔法は、門外不出になりやすかった。記録が取れるようになった現代になっても、旧魔女の魔法を使える数少ない人間は、文献に残すのを嫌がっているそうだ。この魔法は口伝で代々受け継いできたのだから、自分がその慣習を壊すことはできない、と。
ちなみに旧魔女の魔法は、メインヒロインであるエルレナのルートでかなり深堀される。彼女自身が、旧魔女の魔法を受け継ぐ血筋の一つの一族の出身で、旧魔女の魔法を使うことができるからだ。
だからこそ、普通の旧魔女の魔法では意味がない、とオクトール様は言ったのだろう。
――それに、ぶっちゃけ、旧魔女の魔法って、攻撃に特化した普通の魔法と違い、生活を楽にすることに特化した魔法のことだから、おおよそ、今、流通している魔法道具で事足りる部分もあるのだ。当然、魔法道具ではカバーしきれない、旧魔女の魔法だけが得られる効果もあるんだけど。
例えば、洗濯、とか。前世の洗濯機に似た魔法道具では、汚れを綺麗に落とすことができるが、旧魔女の魔法だと、呪いや病原菌まで全てさっぱり消し去ることができる。でも、一般人がそこまで必要かって言われると、微妙なところ。
あればそりゃあ便利かもしれないけど、過剰な性能ではない、とは言えない。
「……でも、旧魔女の魔法って、文献がほとんどないですわよね? どうするんですの?」
国内で一番の蔵書数を誇る貴族学院にすら、旧魔女の魔法についての詳細な本は存在しなかった。授業でも、そういう魔法があるだけ、ということしか習うことができなかったくらい。先生方も内容を知らないのだから、当然である。
だからこそ、形に残し、さらには使えるようにすれば、それこそ歴史に名が残るレベル。ましてや王族ともなれば、王になれるに違いない。
でも、それはあくまで実現できたら、の話。
原作ゲームでも、旧魔女の魔法はともかく、伝説の魔女については名前しかでてこなかったので、その詳しい内容は制作陣の一人であるわたしにも分からない。メインライターやディレクターの頭の中には設定としてあったのかもしれないけど。
しかし、オクトール様は「問題ない」とあっさり言い切った。
「伝説の魔女の、旧魔女の魔法はいくつか知っている。……流石の僕でも、魔法道具による再現は時間がかかると思うが」
伝説の魔女って、旧魔女の魔法の中でも、最も難しいと言われているやつ、だよね……。……て、天才とか、魔法道具研究が好きとか、そういう範疇を軽く超えているのでは……?




