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熱を出してから、わたしは日々の生活を見直すようになった。グレーリアやカリス、オクトール様など、周りの人間に心配をかけてしまったことに、これでも反省しているのだ。
そんなわけで、わたしは睡眠時間を見直すだけでなく、完全な休日をもうけることになった。といっても、そんなに多く取れるわけではないが。
でも、こうして友人とお茶会を、なんていうのは、本当に久々な気がする。ここ最近は、お茶も家での勉強中か、オクトール様との勉強会の休憩時間にしか飲んでいない。前までは、こうして友人と飲むことの方が多かったはずなのに。
――まあ、その友人がシルヴィアで、話題がこの間の夜会の話では、完全に休めているか、と言うと微妙なラインではあるが。
でも、仕方がない。わたしにも友人はいるが、アインアルド王子をハーレムエンドに導くため、悪役ムーブに近いことをし続けていたし、そもそも原作通りに動こうとすると自分の時間がなかなか取れなかったりで、友人が少ないのだ。今思うと、よくもまあ、ゲーム内で『ベルメ・ルビロス』はあそこまで動けていたものである。スケジュール術を教えて欲しい。……まあ、実際は制作陣が、わたし含め、実際の時間を深く考えずに行動させていた結果だとは思うけど。
少ない友人では、急に予定を聞いても空いていることが少なくて、結局はいつも同じような顔ぶれになってしまうのである。
まあ、仮に友人が多かったとしても、一番に声をかけるのはどうせシルヴィアであることにかわりはないだろうから、友人の数なんかに意味はないけれど。
「――それにしても、びっくしりたわ。ベルちゃんがアインアルド殿下に興味がないことは知ってたけど、オクトール殿下と仲良しだったなんて」
その言葉に、わたしは曖昧に笑顔を返す。仲がいいのは事実だと思うが、別にアインアルド王子との婚約が時期からの仲ではない。
「でも、アインアルド殿下より、オクトール殿下の方がいいんじゃない? アタシたち貴族令嬢は自分で相手を選べることなんて滅多にないから悪い言い方になっちゃうけど、『当たり』だったと思うよ、オクトール殿下は」
「……そう?」
現王はご健在だし、代替わりはまだ先になりそうで、王子も王女も大体横並び。その中で、少しアインアルド王子が前に出ているくらい。誰が決定的な有力候補、ということは決まっていない。水面下で動きはあるかもしれないが、少なくとも、表立って、誰が次期国王、ないし女王だ、と言われることはない。
だから、王、もしくは女王の配偶者を目指す、という点では誰につこうが似たり寄ったりなのだ。
「国内では一夫多妻が正義! みたいな価値観だから、ベルちゃんの順番が下がっていくごとにベルちゃんの評価も下がっていったけど、国外はそうでもないみたいなんだよね」
国内の貴族とばかりつながりがあるわたしと違って、国外との人脈も広いオルゴンド家の令嬢であるシルヴィアの言葉に、わたしは目を瞬かせた。




