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――……やっべえ、この二人が何を話しているのか全然分かんねえ。
最初はわたしもついていける話だったのに、魔法道具という分野の話に興奮して饒舌になったオクトール様がどんどん話を進めていくものだから、途中から何を話しているのか追い付いて行けなくなった。
なんとか適当に、分かっている風の相槌を打つことは出来ているが、自分から発言なんて、とてもじゃないが無理である。
オクトール様についていけるロルク氏もロルク氏で楽しそうに会話をしているように見える。
ちなみにナノハはオクトール様とロルク氏の会話が始まると、体感ではあるものの、五分もしないでしれっとどこかに消えていった。魔法道具には興味がないらしい。
わたしがナノハのルートを書いていたらまだ東ヶ島の文化とか理解できたんだろうか。ベルデリーンのルートにもナノハが登場しないわけじゃないから、簡単なことは分かるけれど、それでもナノハルートを書いたライターや、全ルートの調整をしたライターに比べたら知識は浅い。
東ヶ島との交流は本当に限られていて、個人でしかつながりがないんじゃないか、国レベルのやりとりは存在しないのでは、と思わせるくらい情報がないので、こちらに転生してきた後も知識を蓄えることができなかった。
ロルク氏は取引があるからともかく、そのロルク氏に匹敵するほど東ヶ島の知識があるオクトール様は凄い、と改めて思い知らされる。それが他人に認められるための努力なのか、それとも魔法道具を開発するための一環でなのか分からないが、どちらにせよ、一つのことにそれだけ夢中になれるのは凄いことだと思う。
必死に勉強してきたのに、全然追い付けない自分が歯がゆい。オクトール様をフォローしなきゃいけないような場面もないし。普通に自信なくして泣きそう。
暗い気持ちをなんとか押し殺しながら笑顔を作っていると、ふと、ロルク氏越しに、ノルテンブデン氏を見つける。誰とも話していない。丁度料理を取って食べているところだ。
少しこの場を離れてノルテンブデン氏を呼んでこようかな。話が盛り上がることだろうし、何より目的の二人との邂逅が一気に済ませられる。
既に自信喪失でメンタルをボコボコにされているので、再度同じ場面に立ち会うのは遠慮したい。まとめて済ませて閉まった方がわたしの精神にいい。
話に夢中になっているようだし、このままいなくなっても、オクトール様は気が付かないだろう。
そう思って、一歩、ノルテンブデン氏の方へ向かう為に足を踏み出したとき、パッとオクトール様に腰を抱かれた。引き寄せられたのは一瞬で、すぐに手は離れて行ってしまったけれど、確実に、オクトール様の手が腰に回っていた。
「どこへ行くんだ?」
オクトール様が、眼鏡のふちを撫でながら言う。




