笑いの絶えない晩餐会
―――夜・ニコラス邸
「だぁからぁ!その時にトウヤは言ったのよ!『シエルは女王に相応しい!俺が守るぅ』って!あの時トウヤと言ったらそりゃぁもうカッコよくて―
「ちょっと!シエル!飲み過ぎです!もうこんなにこぼして、、、口からも垂れてますよ。」
俺はシエルの口をハンカチで拭く。
ドムラとの戦いが終わり数時間が経った。
俺とシエル、テトとラトシールは屋敷に呼ばれていた。
事件解決の祝賀会をやるというので参加することになったのだ。
ニコラス邸の大きな広間。
長く大きいテーブルにはたくさんのお酒と食事。
天井には煌びやかなシャンデリア。
一番奥の椅子にニコラス。
そこから時計回りにロゥリン、シエル、俺。
向かい側にテト、ラトシール。
そしてニコラスの斜め後ろにルーシィが立っている。
どれも見たことのない料理で口に運ぶもの全てが美味しかった。
お酒も甘くて飲みやすく、シエルは俺の横でベロベロに酔っ払っていた。
「ハッハッハ!シエル殿!いける口ですな!他の皆も今宵は大いに楽しまれよ!酒と食事はまだまだあるのでな!」
ニコラスもグラスを片手に上機嫌だ。
壁の向こうからもガヤガヤと楽しげな声が聞こえてくる。
隣の大広間では、俺たちと同じように他の獣人族の人達が食事を楽しんでいるようだ。
「旦那様も少し飲み過ぎです。ちゃんとお食事もお食べください。」
ニコラスの斜め後ろに立つルーシィが慣れた手つきで食事を取り分けている。
「ルーシィも今日は無礼講だ!ワシの世話など無視して良いのだぞ?ほらロゥリンを見習いなさい!」
「ふぉうアルよルーシィ。もぐもぐもぐもぐ。こんなにふぉいしい料理。もぐもぐ。全部ふぁべなきゃもっばいないアル!」
口いっぱいに食べ物を頬張り、まるでハムスターみたいなロゥリンが口から食べ物を飛ばしながら喋る。
「まったく、、、はしたない。ロゥリン!あなたも少しは旦那様の召使いという自覚を持ってですね―むぐっ!
喋っている途中のルーシィの口にロゥリンがフォークに刺さっていたステーキを突っ込んだ。
「ルーシィも食べるアル!みんなで食べると美味しさ倍増するアルよ!」
「もぐもぐもぐもぐ、、、ごくん。」
ルーシィは目を瞑り、口に入れられたステーキを飲み込んだ。
「、、、確かに今日ぐらいハメを外してもバチは当たりませんね。」
「ハッハッハ!そうだ!その通りだぞロゥリン!」
ニコラスとロゥリンはルーシィを笑顔で見ている。
「むぅ〜。テトもお肉食べたい。」
「取ってあげる。どれがいいテト?」
「あの串についてるお肉のやつ。」
耳と尻尾がぴょこぴょこと揺れているテトにラトシールは串焼きを取ってあげている。
「うまうま。もぐもぐ。これうまうま。」
テトは串焼きを口に頬張りもぐもぐしている。
「ああ〜!その串焼き私たちも〜!食べたわよねぇ?トウヤァ?私もあれ食べたいぃぃ。」
「まだお皿に料理残ってるじゃないですか!それ食べてからです!」
酔っぱらったシエルがもぐもぐしているテトを指差しながら俺の顔を見る。
「ダメ。この串焼き全部テトが食べる。」
そう言うとテトは皿に乗っていた串焼きを全部手に取り、一気に肉を口に入れた。
「うまうま。うまうま。むふ〜。」
ほっぺたを大きく膨らませて幸せそうに食べている。
「おお!テト殿はツウリュウ焼きがお好きなようだ!料理担当の者にもっと作らせるとしよう!ハッハッハ!」
ニコラスもテトがたくさん食べるのを見て嬉しそうだ。
「ちょっとテト!それ私も食べたかったアル〜!ずるいアル!」
泣きそうな顔のロゥリンの両手にはフォークに刺さった大きな焼き魚。
「ロゥリン。あなたもまだ両手に食べ物がありますよ。旦那様、このお酒とても美味です。」
ニコラスの後ろで立ってはいるが、ルーシィもグラスでお酒を飲んでいる。
「トウヤは私の味方じゃなかったのぉ〜?あ〜!分かった!テトがぁ、ひっく、パートナーになったからテトの事庇ってるんでしょ!ダメよ!トウヤは私のぉパートナーなの!」
シエルが上目遣いで抱きついてくる。
「ちょ、ちょっと!シエル!本当に飲み過ぎですって!」
俺はシエルの肩を持ちしっかり椅子に座らせた。
「もぐもぐ。トウヤお兄ちゃんはテトとも契約した。もぐもぐ。シエルは休んでていい。これからはテトがトウヤお兄ちゃんの役に立つ。」
テトは椅子の上に仁王立ちになり腕を組んでニヤリと笑っている。
「なんですってぇぇ、、テト!あんたは2番目!トウヤの1番は私なんだからぁ!」
シエルが自分の皿に乗っていた団子のような肉料理をテトに向かって投げた。
「あっそれは、、、」
それを見たロゥリンがなにか言いかけている。
パクッ!
テトは器用にそれを口でキャッチして食べる。
「うううう!なに!これ!辛い!」
テトは顔を真っ赤にして椅子から飛び跳ねた。
「アチャ〜。それは''トウヤの前で恥かかせよう作戦''の為に私が用意したシエル専用激辛肉団子アル。」
「ロゥリンあんた!私になんて物食べさせようとしてるの!?」
「口が滑ったアル!」
「かりゃい、、、ママ。お水。」
「あらあら。たくさんお水飲みましょうね。ふふふふふ。なんて賑やかな食事。こんなに楽しいのは久しぶりだわ。」
ラトシールは笑いながらテトに水を飲ませている。
「今宵は思う存分食べて飲んで楽しむがいい!ハッハッハ!!!」
笑いの絶えない食事会は時間を忘れさせる。
その笑い声は何時間も夜の屋敷に響いていた。
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