決着の鐘
コォオオオオオォオオ
俺とテトを包む光がだんだん小さくなる。
やっと強い光が収まり目が慣れた。
手の甲が熱い。
目線を落とすと左の手袋から光が漏れている。
手袋を外すとそこには紋章が刻まれていた。
宝石のように煌めく翡翠色の獅子の紋章。
まるでテトの瞳の色のようなその紋章は優しい光を放っている。
「もうひとつの紋章、、、?いったい何が起こって、、、
ゴォォオオオオオ
魔法陣から緑色の魔術書が現れる。
その本は俺の目線で浮きながら翡翠色の光に変わった。
その光の球は俺の魔術書に吸い込まれていく。
真っ赤な表紙が一瞬金色に輝き、上半分は赤色に下半分は緑色に染まった。
「魔術書の色が、、、」
「トウヤお兄ちゃん、、、テト身体、、、なんか変、、、」
状況が理解できていない俺にテトは喋りかけた。
テトを見ると身体に凄まじい量の魔力が溢れている。
足元の魔法陣が消えていく。
全員がその状況を目の当たりにする。
「やっぱり、、、その子!王候補なんだわ!その証拠に召喚契約がたった今行われた、、、しかも契約騎士はトウヤ!あなたが選ばれた!」
シエルが興奮して叫んでいる。
「ふ、2人の王候補に同じ契約騎士が契約できるアルか!?」
「わからない、、、でも!現に今私たちの目の前で契約は結ばれたじゃない!、、、テト!あなたは王国大戦の参加者に選ばれたのよ!」
「トウヤお兄ちゃんの魔力を感じる、、、あったかい、、、」
さらにテトの魔力出力が上がる。
バキィィィン!
テトの首にあった奴隷輪が粉々になった。
「なにぃぃぃぃ!?俺様の奴隷輪が!そんな!嘘だ!魔力を抑えるはずなのに!」
ドムラが半狂乱になりながら叫んでいる。
「おそらく奴隷輪の許容魔力量をテトの魔力量が追い越したのよ、、、なんて優しくて力強い魔力、、、」
シエルの髪の毛がテトから放出される魔力で揺れる。
テトの周りには翡翠色のオーラがふわふわと風のように漂っている。
無意識に俺の手が魔術書のページを開く。
そこには真紅の文字の呪文ともうひとつ。
翡翠色の呪文が刻まれていた。
「テト、、、君は、、、君の想いは俺が形にする、、、だからもう暗闇から解放されていいんだ。」
「初期呪文、、、露命治癒!」
テトの足元に獅子の紋章の魔法陣が出現。
そこから小さな半透明の猫が1匹飛び出してきた。
猫は空中を駆けながらテトの周りを回る。
「、、、そう、、、ううん。テトはいい。トウヤお兄ちゃんを治してあげて、、、」
どうやら召喚された猫とテトは喋っているようだ。
その猫は小さく鳴き声をあげると俺の周りをくるくると周り出した。
猫からキラキラと緑色の光が俺の体に降り注ぐ。
痛みが引いていく。
テトに引き裂かれた傷がみるみる内に治っていく。
「すごい、、、ははは。ありがとうございます。君はすごいですね。」
俺は猫にお礼を言いながら腹部を触った。
少しだけ痛みは残るものの見た目は完全に治癒している。
猫はまたもや小さく鳴くと空中に消えていった。
「こんなにも、、、優しい力を持ってるんです。テト、、、あなたの力は人を助けることができる力です。」
俺はテトの手をしっかり握り目を合わせながら笑った。
「、、、うん。ありがとう。トウヤお兄ちゃん。」
テトもニッコリ笑いながら涙を流していた。
「テト、、、その方なら必ずあなたを導いてくれるわ、、、その方とならガルニアの闇を必ず、、、」
ラトシールも涙を流しながらテトを見つめている。
「うおおおお!ふざけるな!ふざけるなよぉ!どうしてこうも上手くいかねぇ!はぁ、、はぁ、、テトぉ!はぁはぁ、、、お前の母親はまだ俺様の手の中だ!それでも歯向かうってのかよぉ!!!」
俺はドムラを見る。
「ドムラ、、、お前は心を知らない、、、人には心があるんだ。たとえ恐怖や力で押さえつけても、、、人の心が闇に囚われ続けることは決して無い!」
テトは跳躍しドムラとラトシールの間に立ち塞がる。
ドムラを見るその瞳にはもう影は無くしっかりと光が宿っている。
「もうママを傷つけさせない!」
テトから翡翠色の魔力の風が吹く。
手に持つ魔術書のページがめくれる。
「闇はいつか光に照らされる、、、悪という闇は永遠に続きはしないんだ!」
「知るかよそんなのぉ!死ねぇぇ!」
バチバチバチバチ!!
ドムラが魔力を込めると電撃が鎖を伝ってラトシールの首輪に向かう。
「弍頁呪文、、、守護堅円!」
テトを中心に六角形の防御膜が連続して連なり瞬時に展開される。
あっという間にテトとラトシールを囲む球体ができた。
ガギィイイイイイン!
鎖の電撃は防御膜に阻まれ拡散する。
同時に拡散した箇所の鎖が弾け飛ぶ。
「俺様の鎖がぁぁあ!このぉ、、、くそったれぇぇぇえ!」
ドムラは捨て身でテト達を殴ろうと身を乗り出した。
「シエル!」
俺はドムラを見据えながらシエルの名を呼ぶ。
後ろまで走ってきていたシエルは大きく跳躍し、俺の頭を飛び越え眼前にドムラを捉える。
「これでおわりよ!」
「これでおわりだ!」
「火焔球!!!」
ドガァァァァァアア!
「ぎゃああああああああ!」
ドムラの身体は巨大な火炎に巻き込まれ後ろの壁に叩きつけられる。
そのドムラの叫び声が戦いの終わりを告げる鐘となった。
少しでも面白いなぁと感じた方はブックマークや↓評価☆☆☆☆☆↓をなにとぞお願いいたします。作者の励みになります(*‘∀‘)




