空輸用2番倉庫
―――ツウリュウ西
ロゥリンの案内で俺達はオルバンクから西にある、もう使われていない貿易船用の大きな倉庫に辿り着いた。
倉庫は俺が思っていたよりも大きく、正面の入り口には''空輸用2番倉庫''と書かれている。
「あれアル。あの巨大な倉庫。一昔前までは空輸に使われていたらしいアル。転送魔術が主流になってからはコストがかかりすぎるという理由で、飛行船での運搬は段々と廃止になったアル。」
「ロゥリン。あんたよくそんな事知ってるわね。」
「旦那様に教えてもらったアル。これでも私は勉強熱心な方アルよ。ただ、数字を使う勉強はめちゃくちゃ苦手アル。」
「あら?演算術は苦手なの?私は城でありとあらゆる学問を一通りは学んだわ。演算術と胸の大きさは私の方が上みたいね。」
「何言ってるアルか?女の魅力は胸の大きさじゃないアルよ。そんなただ邪魔なだけな脂肪ぶら下げて、自慢する事じゃないアルね。」
「これだからお子様は困るわね。トウヤだって大きい方が好みなんだから。ねえ、トウヤ?」
シエルは俺の腕に胸を押し当てる。
「、、、あの2人とも、、、いい加減離れてもらえます?」
俺達は倉庫から少し離れた茂みの中に身を潜めていた。
倉庫前に厳重な見張りが数人立っているからである。
道中の言い争いをキッカケに2人は俺にくっついたままである。
男の俺としては腕に当たる感触を楽しみたいところではあるが、目の前はもうすでに敵の牙城。
2人のように肝が据わってない俺にとっては冷や汗モノだ。
「そうなのアルか!?やっぱりトウヤもおっきいおっぱいが好きなのアルか!?」
「しー!ロゥリン!声が大きいです!おっぱいの話は終わった後しますから、とりあえず集中してください!」
声ひそめて隠れているのに声が大きい。
「いいのよトウヤ。気を使わなくて。そのアルアル娘にしっかり言ってあげるといいわ。」
シエルは完全にロゥリンを挑発している。
女性はライバルの存在で急に恋愛に積極的になることがあると言うが、まさにそれだ。
今朝の態度といい、明らかに俺に対して好意を寄せている気がする。
ロゥリンの登場で吹っ切れたようだ。
しかしそれもこれも全てこの事件を解決するまで後回しだ。
というかなぜこの2人はこんなに呑気なんだ!
俺はいつ見つかるかとヒヤヒヤしているというのに。
「ううう、トウヤ、、、私胸に自信はないけど、足は綺麗アルよ?ほら、、、」
チャイナ服のスリットからすべすべの白い太ももが露わになる。
右の太ももには銀の馬の紋章。
「もう2人とも!いい加減にしてください!ちゃんと隠れてないと見つかりますよ!」
俺は2人を引き剥がし立ち上がり叫んでしまった。
倉庫の前の数人の警備兵とばっちり目が合う。
「あ、、、こ、こんにちは〜。ははは。」
数秒の沈黙―――
「な、なんだお前は!!」
「中に知らせろ!不審な男がいるぞ!」
「捕らえろ!」
数人の警備兵が俺に向かって声を上げる。
俺はしゃがんでいるロゥリンとシエルを睨んだ。
2人とも口を尖らせて、目を合わせようとしない。
「2人のせいですからね。」
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