速毒即死のサイシックル
「ねぇ道案内は頼んだけど、どうしてそんなにトウヤにくっついて歩くのかしら?」
俺達はオルバンクから西にある、ドムラがいるであろう倉庫へ向けて歩いていた。
現在はオルバンクを過ぎて30分ほど歩いたあたりだ。
ロゥリンは俺の腕にピッタリくっついて離れようとしない。
「私はただ''友達''としてトウヤが転ばないように支えてあげてるだけアル!決して下心なんてないアルよ!」
心の声がダダ漏れだぞロゥリン。
好いてくれるのは嬉しいがこんなに積極的にくるとは。
メディコではルーシィの後ろに隠れていたくせに。
「なーにが友達よ!それなら私も支えなさいよ!トウヤだって困ってるじゃない!」
「シエルは私と同じくらい強いから必要ないアル。それに比べてトウヤはか弱い男の子。わたしが守ってあげなきゃダメアル!」
「ぐぐぐぐぐ、トウヤ!あんたも鼻の下伸ばしてないで、何か言ったらどうなの!?」
ここは慎重に答えろ俺。
鈍感な主人公なら『まぁまぁ2人とも仲良く』なんてセリフを吐いて、ヒロインにキレられるのがオチだ。
それだけは何としても避けたい。
一か八かやるしかない。
「それなら俺はシエルを支えます!」
そう言ってロゥリンが抱きついている反対の手でシエルの腕にくっついた。
「ええっ!ちょちょちょっと!トトトトウヤ!?」
シエルは真っ赤になって動揺はしているが振り解くそぶりは見せない。
シエルを支えると心に決めたがこんな風に物理的だとは思ってなかったんだけどな。
「あー!ずるいアル!私もトウヤにくっつかれたいアル!」
「し、仕方ないわね!トウヤがどうしてもって言うならそれを受け入れるのはパートナーである私の務めだわ。女王を目指す者は器が広くなくっちゃ。」
とてつもなく顔がニヤけてますよシエル。
心の中でそう呟いた。
「そこまでトウヤは言ってないアル、、、それに毎日シエルはトウヤと一緒にいるアル!今日くらい独り占めさせて欲しいアルー!」
そう叫ぶとロゥリンはシエルの腕にしがみつく俺を引き剥がした。
「ちょ!何するのよ!トウヤを返しなさい!」
両方の腕に2人が抱きついてしまった。
どちらからも柔らかい感触が、、、
「ふ、2人とも当たってますって!」
俺の声なんて聞く耳を持ってない。
ギャーギャー言い合いながら俺は揉みくちゃにされる。
次の瞬間―
畦道の陰から細身の男が姿を現し俺たちの前に立ち塞がった。
「ヒッヒッヒ。そこまでだお前たち。ドムラ様の命令でな。無理矢理にでもついてきてもらうよ。」
「誰ですかあなた!?シエル!ロゥリン!敵です!」
俺は臨戦体制に入る。
いや、入りたかった。
両腕が塞がっているのだ。
魔術書を取り出そうにも取り出せない。
というか2人は前方の男に気づいていない。
まだ言い争いをしている。
「いいから離れるアル!」
「あんたが離れなさいよ!」
「ちょっと!2人とも!敵ですって!」
「舐めたガキどもだ、、、こっちは生死問わずの命令を受けてるんだぜ。」
そう言うと男は黒いマントを翻し、懐から大きい鎌のような武器を出してきた。
「コイツの名前は速毒即死のサイシックル!ゲラル山脈に住むと言われる伝説の化け物。毒竜サイスドルの翼から作られたと言われ、その能力は―
「今、取り込み中アル!」
「今、取り込み中よ!」
2人の強烈な魔力を込めた鉄拳が持っていた武器をかち割り、男の頬にめり込む。
ドガァァァアアン!
「ぎゃあああああぁぁぁ!」
鎌は粉々になり男は彼方に吹っ飛んでいく。
叫び声は次第に聞こえなくなっていった。
どうやらこの2人を怒らせると伝説の竜でもぶっ飛ばされるらしい。
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八芒武装
晩年のオクタ・デクスが残した8本の魔具。
使用者の魔力を大量に消費するが、それぞれの武装は天変地異を引き起こすほどの能力を備えている。
八芒武装の所有者を八芒星と呼ぶ。
シエルの使用可能呪文一覧
【火焔球】
ランク:初期呪文
魔術系統:放出系呪文
内容:手のひらに火球を生み出し、前方に放出する。




