ニコラスの思惑
「それです!」
俺は椅子から衝動的に立ち上がり叫んでしまった。
思ったより大きな声が出てしまったせいで、食堂で朝食を食べている他の人達が一瞬俺の方を見る。
「す、すみません。」
そそくさと椅子に腰を落とした。
「な、なによ。大きな声出しちゃって。奴隷輪がどうかしたの?」
シエルは目をパチパチさせてこちらを見ている。
結構驚いたみたいだ。
「奴隷輪、、、奴隷輪ですよ、、、ストリートで魔術書が盗まれそうになった話しましたよね?」
ハッとした表情を浮かべるシエル。
どうやら彼女も気づいたようだ。
「そう。あの時、猫耳の少女が魔術書を盗んで行きました、、、その子の首には奴隷輪、、、常人離れした身体能力、、、」
「確かに調べる価値はありそうね。」
2人で手を合わせてご馳走様を言うと、俺達はメディコの食堂を後にした。
―――ニコラス邸 屋敷内
「旦那様も人が悪いです。」
ルーシィがニコラスのカップに紅茶を注ぐ。
「まぁ、良い余興になったじゃないか。ロゥリンも楽しげであったろう?」
「『難癖をつけて模擬試合をやってみてくれ』などと仰られて、、、シエル様達を傷つけたらどうするおつもりだったんですか?」
「ハッハッハ!そんなやわな娘ではないよ。生前アレスに言われていたのだ。面倒を見てくれとな。それにトウヤ殿もまだまだ経験不足ではあるが、磨けば光る原石ではないか。」
ニコラスは微笑みながらカップを手に取り口に持っていく。
「盗難事件、任せられて良かったのですか?」
ルーシィの声色が凛とする。
「犯人の目星はついております。ストリートの生みの親、大商人ザムザ・ストラウス。その莫大な富で悪虐の限りを尽くす一人息子、奴隷商人ドムラ・ストラウス。」
「聞くに堪えない噂ばかり耳にします、、、ザムザ様はあんなに優しいお方ですのに。なぜあのような息子が。」
ルーシィは眉間にシワを寄せて頭を振る。
「ザムザはわしの兄のことを慕っておった。兄が亡くなってからもわしとルーシィのことを気にかけてくれていた。それはそれは心優しい男だ。」
「まぁ、息子の教育には大失敗したようだがな。奴には商才はあったが、、、天は二物を与えずとはまさにこのことだな。ハッハッハ!」
「笑い事ではありません!あの方は獣人族を多く奴隷として連れています。」
「万が一、シエル様達が巻き込まれるようなことがあれば、今度は命の危険があります。わたくし達との模擬戦とは違うのです!」
語気を強めるルーシィ。
「わかっておる。しかしなルーシィ。国の小さな問題すら解決できぬ器であれば、到底大陸の王などなれはせぬ。王を目指す者にとって必要な試練だと、わしは解釈しているのだ。」
ニコラスは眼鏡を通して、真剣な眼差しでルーシィを見つめる。
「ですが、、、このような危険な問題でなくとも、、、」
「ハッハッハ。安心せい。優秀な護衛を1人つけてある。何かあったらすぐに知らせが届くはずだ。」
「わたくしはそれも心配の要因になっておりますのに、、、」
肩をすくめるルーシィを見て陽気に笑うニコラス
―――ツウリュウストリート
シエルとトウヤを後ろの陰から密かに見つめるチャイナ服の姿がそこにはあった。
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八芒武装
晩年のオクタ・デクスが残した8本の魔具。
使用者の魔力を大量に消費するが、それぞれの武装は天変地異を引き起こすほどの能力を備えている。
八芒武装の所有者を八芒星と呼ぶ。
シエルの使用可能呪文一覧
【火焔球】
ランク:初期呪文
魔術系統:放出系呪文
内容:手のひらに火球を生み出し、前方に放出する。




