銀灰殲滅のリボルバン
「八芒武装、、、もちろん名前は知っているわ。ただおとぎ話のようなものだと。現実に存在していたのね。」
シエルは腕を組みながら、ルーシィのリボルバーをじっくり観察していた。
先ほどの戦闘で見せたあの破壊力。
確かに相当な力を秘めた道具だ。
「名は銀灰殲滅のリボルバン。その能力は【増幅必中】。使用者の魔術出力を増幅し、その魔術は必ず命中する。単純ですが強力です。」
「強力な能力とはいえリスクもあります。八芒武装は使用者の魔力を多量に吸い取ります。ですので1回の戦闘で連続して使用するのは困難なのです。」
「使いすぎると俺みたいになるってことですね。」
俺はベッドに寝ている自分を指差しながら言った。
「はい。その通りでございます。わたくしはもともと魔力量は多くありませんので、局面でしか顕現させないようにしております。」
なるほど。
最初に屋敷でルーシィから感じた魔力はリボルバーから発されたものだったのか。
「武装の所有者を八芒星と呼ぶ。その銃はもともとルーシィの父親。わしの兄の所有物であった。八芒武装は魔術契約を用いて使用者とリンクを行う。」
ニコラスは組んでいた足を組み替える。
「わしの兄の血が流れているルーシィは、その銃を使いこなせるというわけだ。」
「血筋まで影響する魔術契約なんて、、、流石に規格外ね。」
一度契約すると血筋が絶えるまで続く。
相当強い契約のようだ。
「ということは今、その銃はルーシィさん以外が持っても効力を発揮しないということですか?」
「トウヤ様の言う通りでございます。血筋が絶えるまで、、、わたくしが死ぬまで契約は続きます。八芒武装とはそういうものなのです。」
ルーシィはリボルバーを丁寧にハンカチで拭きあげると、腰のホルスターにしまい込んだ。
「そうアル!本当にめちゃくちゃ強いアル!」
ロゥリンが頭のお団子むすびをぴょんぴょんさせて喋る。
「顕現した八芒武装、、、しかも私達の最大呪文の超量銀鋼弾。初期呪文だけでそれと相打ちできるトウヤの魔力がとんでもないアルよ!」
たしかにそれを聞くとすごい。
シエルが事あるごとに魔力量を褒めてくれていたがやっと納得できた。
「そうなの!トウヤの魔力もじゅうぶん規格外なのよ!うちのトウヤもすごいんだから!」
自慢げなシエル。
パートナーを褒められて嬉しいようだ。
正直、俺もまんざらではない。
「トウヤ殿は、魔力操作さえ覚えればもっと長く戦えるはずだろう。」
ニコラスは椅子から立ち上がり、俺とシエルの前に動いた。
「さあ!約束は約束だ!シエル殿とトウヤ殿には盗難事件の犯人を探してもらうこととしよう。」
ニコラスの大きな声がメディコに響き渡る。
―――数秒間が開く
全員が俺を見る。
「えっと、、、俺まだ動けないんですが。」
そして全員がニコラスを見る。
「ハッハッハ!まだ無理そうだな!」
夜・メディコ自室―――
俺は夕方には魔力も回復して、メディコの借りている自室に戻っていた。
正確にはシエルが借りてくれた部屋。
ベッドに腰を下ろしひと息つく。
色々あった1日だったな。
ヴェルデサーペントと出会った時ほどの恐怖はなかったけど。
オルバンクに猫耳の少女、ニコラスさん、ルーシィ、ロゥリン、、、
1日にある出来事としては多すぎるな。
「まぁ俺はユグドラシル以前の記憶がないからその分たくさん覚えられるか、、、ははは。」
記憶か、、、
記憶があれば自分の才能とやらも思い出せるのだろうか。
ユグドラシルの旅では、戦闘が避けられない場面が多々出てくるだろう。
この先魔物や王候補達を相手にするとなると、絶対的に俺の力が不足している。
最初は自分の事だけを考えていた。
早く記憶を取り戻して元の世界に帰りたいと。
しかし今は、シエルを王国大戦で勝たせてやりたいという思いが強くなってきている。
「あんなに俺を信じてくれる女の子、、、応えてやりたくなるよな、、、両親を亡くしてたなんて知らなかった。」
「元の世界で俺はどんな夢を持ってたんだろうな、、、ははは、、、。」
正直吹っ切れた。
今はこのユグドラシルにいる俺が、【今の俺】なんだ。
シエルの目標が俺の目標だ。
親を亡くし目標の為に一直線に走る女の子。
「絶対強くなってやる!シエル抜きでも敵を倒していけるくらい!俺も男だ!やってやるんだぁぁあ!」
そんな安直でカッコ悪いセリフを吐きながら、ベッドで俺は拳を上に突き上げた。
壁が薄いメディコの宿舎。
隣の部屋に丸聞こえという事を知る由もなく、俺は眠りについた。
―――隣の部屋
「トウヤ。ありがとう。」
その壁の向こうから聴こえてきた言葉は、女の子の笑顔をまたひとつ増やした。
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八芒武装
晩年のオクタ・デクスが残した8本の魔具。
使用者の魔力を大量に消費するが、それぞれの武装は天変地異を引き起こすほどの能力を備えている。
八芒武装の所有者を八芒星と呼ぶ。
シエルの使用可能呪文一覧
【火焔球】
ランク:初期呪文
魔術系統:放出系呪文
内容:手のひらに火球を生み出し、前方に放出する。




