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八芒武装

火焔球(ボヘル)!」


俺は呪文を唱えた。


シエルの右手からは直径1メートルほどの火球がルーシィに向けて放たれる。


魔力操作(マナコントロール)が上手くいったようだ。

こないだの戦闘の時とは出力がかなり落ちている。

体もまだ全然平気だ。


ルーシィは放たれた火焔球(ボヘル)に対し、ゆっくりホルスターからリボルバーを取り出す。


「ロゥリン。」


銀剛弾(ダガン)!」


ルーシィの合図と同時にロゥリンが唱える。


リボルバーから(はがね)の球体が射出。

その球体はみるみる大きくなり、火焔球(ボヘル)と変わらない大きさになった。


ドガァァアン!


2つの球体は衝突し強烈な爆発を引き起こす。


相殺(そうさい)


爆発によって生まれた突風が2組に襲い掛かる。

巻き上げられた(ほこり)芝生(しばふ)で前が見えない。


「シエル危ない!」


少し後ろで離れていた俺は(かす)かな(ほこり)の動きを見逃さなかった。

手の甲が熱い。

アトルリアの加護のおかげで動体視力も底上げされているようだ。


「ヤァァア!」


シエルの上空から大きく跳躍したロゥリンが(かかと)落としを繰り出す。


シエルは俺の方にステップを使いギリギリかわす。


ドゴォオオ!


ロゥリンの足はシエルがいた場所の地面を砕き、小さなクレーターを作っていた。


「よく避けたアル!さっすがアトルリアの姫様アルね!」


「偉そうに!契約騎士(キャバリエ)のくせに前に出過ぎなんじゃない!?トウヤ!」


火焔球(ボヘル)!」


シエルの右手から放たれた火焔球(ボヘル)がロゥリンを襲う。


銀鋼弾(ダガン)!」


ドガァァア!


真横から打ち出された(はがね)の塊が火焔球(ボヘル)をまた相殺。

それと同時にロゥリンは跳躍し距離をとる。



―――風が吹き視界が良好になった。



「あんた達、結構無茶な戦い方するのね。」


シエルの言う通りだ。

視界が遮られた状態で火焔球(ボヘル)を相殺。

一歩間違えればロゥリンは呪文を食らっていたはずだ。


「ロゥリンはインファイトができる契約騎士(キャバリエ)です。そして集中して魔力(マナ)探知すれば、姿が見えなくても呪文を相殺するくらい、わたくしでもできます。」


ルーシィは着ているワンピースの(すそ)をパンパンとはたきながら語る。


前線に出て肉弾戦で戦うことのできるロゥリン。

的確な魔力 (マナ)探知、冷静に状況を分析できるルーシィ。


強い。

この短い間に相手の力量をかなり感じることができた。


「トウヤとか言ったアルか?お前、前に出てきてわたしと戦うアルよ!久しぶりに王国大戦(ワールドクラウン)の参加者と戦うからテンション上がってきたアル!」


ロゥリンはステップを踏みながら手招きをしている。


前に城でガーダンが言っていた。

契約騎士(キャバリエ)として召喚された者はなんらかの才能に秀でていることが多いと。


おそらくこのロゥリンとかいうチャイナ娘は何かの武術の達人だ。


今になって自分の境遇を呪う。

なんで俺は記憶がないんだ。

ガーダンの言う事が正しければ、俺だって何か才能があるはずなのに!


「や、やめておきます。可愛い女の子に暴力は振るいたくないですからね!」


「、、、わたしのこと女の子扱いしてくれる男、初めて会ったアル。」


ロゥリンは少し顔を赤らめてポカンとしている。


「あんたの相手は私よ!アルアル女!」


その隙をついてシエルが前進。

ロゥリンに回し蹴りを食らわせる。


ガン!


「危なっ!何するアルか!」


ロゥリンは腕でシエルの蹴りをガード。

いや、ロゥリンもすごいがシエルも負けてない。


この国の王女様ってのは強くないとなれないのか?

シエルの動きも明らかに格闘技のそれだ。


ガン!ゴン!ガン!ガン!


ロゥリンとシエルは互いに一撃ももらっていない。

凄まじい肉弾戦の応酬だ。

2人とも殴打や蹴りに合わせて、しっかりガードを固めている。


金属音のような音がするのは両者とも魔力(マナ)で肉体を強化しているからだろう。

それにしてもあんなにシエルは強かったのか。


今後あまり怒らせるのはやめといた方がいいな。


強烈な格闘を繰り広げながら、少しずつ俺とルーシィから距離が離れ始めた。


ルーシィがシエル達の方を向いた隙に俺は飛び出した。


戦闘経験ではまだまだ俺は未熟。

だからできることをやろう。

そう腹を括っていた。


狙うのはルーシィの利き腕であろうリボルバーを握っている右腕。

俺は全体重をかけてルーシィの右腕にしがみついた。


「なっ何をしているのですか!?離れなさい!」


ルーシィは左腕で俺を何度もビンタする。


「ぶ!べ!痛っ!」


流石に魔力(マナ)で強化したビンタは強烈だ。


「絶対に、、離れませんよ!」


リボルバーの照準さえ合わないようにしてやれば、シエルの邪魔はされない。


「今のうちにシエル!その子を倒しちゃってください!」


「ナイスよトウヤ!」


「なっ!ルーシィに何してるアルか!」


ロゥリンがこちらに視線を向ける。


「隙ありぃ!」


シエルがその瞬間に飛び蹴りを繰り出すが、ギリギリのところでロゥリンは避ける。


ロゥリンが怒りを露わにして、しがみついている俺に突っ込んできた。


「ルーシィから離れるアル!」


ロゥリンの拳を受ける前に俺の手の力が緩み、真横に吹き飛ばされる。


「シエル!手を前に!」


吹き飛ばされながら空中で俺は叫ぶ。

その言葉と同時にシエルは右手をルーシィとロゥリンに向ける。


「ッ!」

「やばいアル!」


火焔球(ボヘル)!」


シエルの右手から特大の火焔球(ボヘル)が放たれる。


これが俺の囮作戦だ。

2人を一箇所に集めて呪文を打ち込む。

俺のカードはアトルリアの加護と火焔球(ボヘル)のみ。


数少ない手札を有効に使うには、俺自身が囮になること。

これが今俺にできる一番有効な戦略だ。


さらに不意をついた魔力(マナ)全開の火焔球(ボヘル)

スピードも威力も先ほどとは段違いのはず。

避けられるわけがない。


ドサッ


俺は地面に落ち、うつ伏せにその光景を見ていた。

威力を抑えて2発。

魔力(マナ)全開で1発。


我ながら魔力操作(マナコントロール)は頑張った方だ。

もう立ち上がる力も入らない。


頼む。これで勝たせてくれ。


「これは想像以上に強大な魔力(マナ)、、、、仕方ありませんね。」


「ロゥリン。こちらも全力です。」


ルーシィはリボルバーに左手をかざす。


八芒武装(オクタシリーズ)使うアルか!?ル、ルーシィそれはいくら何でも、、、、」


ルーシィのリボルバーから屋敷で見たように、銀色の魔力(マナ)が噴き出す。


「我が魔力(マナ)を喰らいて、(なんじ)真なる姿を現さん。」


ルーシィの足元に巨大な魔法陣と銀の馬の紋章が浮かび上がる。


右手のリボルバーが足元の魔法陣に吸い込まれるように落ちていく。


顕現(けんげん)せよ!銀灰殲滅(ぎんかいせんめつ)のリボルバン!」


叫ぶと同時にガチャガチャと音を立てて、銀色の機械でできた鎧がルーシィの右半身に装備される。


右の手は大きなライフルの銃身に包まれ、右目は透明なスコープのようなものが連続して装着されている。


「素晴らしい。八芒武装(オクタシリーズ)、、、この世に8つのみ生み出された、錬金魔具師オルタ・デクスの傑作(けっさく)。」

 

ニコラスは腕を組みながら語る。


「ロゥリン。唱えるのです。」


ガチャリと音を立てて、眼前に迫る火焔球(ボヘル)に右手の銃身を合わせるルーシィ。


「あんた達運がなかったアル。ルーシィが本気を出すなんて滅多にないアルよ。」


俺とシエルに苦笑いするとロゥリンは続けた。


超量銀鋼弾(テラガ・ダガン)!」


超密度の銀の魔力弾がルーシィの右手の銃口から放たれる。


ゴシャァァアア!!


特大の呪文が2つぶつかり大爆発と突風を巻き起こす。



数秒間、凄まじい魔力が飛び散る―――



相打ち。


全身全霊を込めた呪文が相殺された。

俺はもう一歩も動けない。


シエルを見るとやはり予想外だったのか、目を丸くしてその場に座り込んでいる。


「あの質量の魔力(マナ)の呪文と相殺?、、、あり得ない、、、」


シエルはブツブツと喋っている。


「、、、わたくし達の負けですわね。」


ルーシィがそう呟くと右半身の武装が光と共に消えていく。

その後、リボルバーが光の中から姿を現した。

それを右手で掴むとホルスターにしまい込んだ。


「な、なんでアルか!あいつらはもう動けないアル!どう考えても私たちの勝―


ロゥリンが黙る。


目線の先にはルーシィのワンピースの裾が少し焦げている。


相殺(そうさい)しきれなかったということです。」


ルーシィは手でロゥリンの頭を撫でた。


「そんなの一撃に認められるアルか!?」


そんなやりとりをうつ伏せの俺は聴きながら、そのまま意識が遠のいた。


シエルが駆け寄ってきて何か叫んでいる。


ああ。とりあえず勝ったんだな。

俺は眠るように気絶した。


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シエルの使用可能呪文一覧


火焔球(ボヘル)


ランク:初期呪文スペルオブファースト

魔術系統:放出系呪文

内容:手のひらに火球を生み出し、前方に放出する。

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