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銀色の魔術書

―――ニコラス屋敷内


「実は昨日の夜、わしの屋敷から本が一冊盗まれたのだ。ちょうど就寝中を狙われてな。もちろん警備は万全だった。しかし犯人は音もなく、警備をくぐり抜け見事に盗んでいった。」


「わしの屋敷にはルーシィを(おさ)とした召使いが数十人おる。交代制で見張りを行なっているが、魔力の残穢は毛ほども残されていなかったと言う。」


ニコラスはメガネをクイっと上にあげる。


「じゃあ犯人は魔術を使ったのではなく、純粋な身体能力で逃げ去ったということね、、、というかおじさん、、、」


「ん?なんだ?」


「ルーシィって子一応、(めい)にあたるのよね?なぜおじさんの召使いをやってるの?まさか、、、そういう趣味じゃないでしょうね?」


シエルの顔が怖い。

確かに俺も気になってはいた。

兄の(めかけ)の子らしいがなぜ召使いなのか。


「ああ。それはな―


バタン!


後ろの扉が大きな音を立てて開いた。


「旦那様。それは私の口からお話しさせていただいても構いませんね?」


背筋をピンと伸ばしたルーシィが、ニコラスと同じ色の黒みがかった銀色の瞳を見開いて立っていた。


「おお。ルーシィ。もちろんだとも。話しておやり。」


「ではお言葉に甘えて。、、、わたくしが生まれた時もう既に父上はこの世を去っておりました。」


(めかけ)だった母上はニコラス家の身の回りのお世話を仕事にしていました。幼いながらも私はその仕事を手伝っておりました。」


「しかし王権(おうけん)の放棄を境にニコラス家は、次第に一定層の過激派から目の(かたき)にされるようになったのです。」


「城内外で罵倒されることもありました。母上はもともと体も弱く、過労もあり寝たきりに。そんなわたくし達親子を養ってくれていたのが旦那様なのです。」


「母上が息を引き取る時に心に決めました。旦那様に仇なす敵はわたくしが全て排除しようと。一生をかけて旦那様を守る事を。」


「い、いやいや、ルーシィ。わしはもう十分世話になった。自分の幸せを考えなさいといつも言って―


「旦那様は黙っていてください!」


これはニコラスにルーシィが従っているというより、尻に敷かれているという表現の方が適切そうだ。


「ですので。いくら旦那様のご友人のご子息だろうと、旦那様を変態趣味を持つ変人だと愚弄することは許しません。」


ルーシィはシエルの顔に指を指す。


「い、いや、ルーシィ、そこまでシエル殿は言ってないと思うが、、、」


「旦那様。盗難の犯人探しをこの方達に依頼されるおつもりでしょうが、それは必要ありません。」


「どーいう意味よ。」


シエルも言いたい放題言われてだんだん、怒りが湧いてきているようだ。

明らかに語気が強くなっている。


「わたくしとロゥリンが犯人をすぐに捕まえると言っているのです。」


「私たちじゃ力不足って言いたいわけ!?」


「ロゥリンの威嚇程度で冷や汗をかいていた様子を見るに、、、期待薄(きたいうす)だと考えました。臨戦体制になるのも遅すぎます。あらゆる面で隙だらけです。」


威嚇程度、、、。

あの時は確かにビビった。


「あんた初対面で言いたい放題言ってくれるじゃない。」


「シ、シエル。ちょっと落ち着いてくださ、、い。」


2人の魔力(マナ)で肌がビリビリする。

ニコラスと出会った時のような緊張感。


―――数秒


「わかった!わかった!そこまで言うのなら試験をしようではないか!」


ニコラスが静寂を(やぶ)るように喋り出した。


「屋敷の庭で模擬試合を執り行う。先に魔力切れもしくは戦闘不能になった方が敗者!」


「シエル殿とトウヤ殿はルーシィ達に一撃入れることが出来れば勝ちと見なそう、、、どうだ?」


一撃入れれば勝ち。

ニコラスから見てそこまでの実力差があると言う事だ。


「はっ!そんなの余裕に決まってるでしょ!後でルール変更なんて言っても遅いんだから!」


「旦那様がお決めになられたのであれば、それでいきましょう。」


2人はやる気満々みたいだ。

俺は正直、話の急展開についていけなくなっていた。

でもまぁヴェルデサーペントよりいくらかマシか。


「ああ、そうだ言い忘れておったがニコラス家の血筋はルーシィが最後。つまり王位継承権(おういけいしょうけん)第一位ということだ。」


ダダダダダ!


廊下を走ってロゥリンが部屋に転がり込んできた。

ぐるぐる前転したかと思ったら跳躍し、ルーシィの横に着地する。


「話は全部聞いてたアル!」


「改めて自己紹介を。わたくし名前をルーシィ。王国大戦(ワールドクラウン)参加者であり、ニコラス家王女。ルーシィ・イラストリアスと申します。」


そういうことか。

イラストリアスは母方の性。

ということはやはり、、、


ルーシィのホルスターに収まっているリボルバーから強烈な銀色の魔力が噴き出す。


「私はロゥリン!ニコラス家メイド長補佐にして、契約騎士(キャバリエ)!ルーシィを王女に導く女アル!」


ロゥリンは背中から銀色の魔術書(ブック)を取り出すと、指先でくるくる回転させた。


ルーシィのリボルバー。

ロゥリンの魔術書(ブック)


双方からバチバチと音を立て、銀色のオーラが放たれた。



ニコラス家詳細


〇王【ケイン・ニコラス】(兄)死

〇妻【アリシャ・ニコラス】 死

〇子【カムイ・ニコラス】 死


〇妾【ルルス・イラストリアス】死

〇子【ルーシィ・イラストリアス】


〇【ドローズ・ニコラス】(弟)


作中で出てくるかわかりませんがドローズはルルスに片思いしていた時期がありました。


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