某所倉庫内
―――数分後
「そろそろ本題に入ってもいいですか?ニコラスさん。」
ある程度思い出話に花が咲いたところで、俺はオルバンクでの一件を聞くことにした。
「ああ!そうだったな!アリシアから話は伺っておる。歴史書を探しておるそうだな?わしの趣味はもう聞いているだろう。そのコレクションの中に幾つかあったはずだ。」
「できればその歴史書の閲覧許可証をもらうことってできますか?アリシアさんはたぶんそれがないと通してくれないみたいで。」
「はっはっは!そうだろうそうだろう。アリシアはわしよりも頑固で真面目だからな。」
確かにニコラスさんよりよっぽど頑固そうな性格だった。
「許可証は書いてやろう。しかしその前に頼み事をひとつ聞いてはくれんかの?」
「ええいいわよ。ニコラスおじさんの頼みならなんでも聞いてあげるわ!」
この数分でシエルはニコラスのことをいたく気に入った様子だ。
両親を知らないシエルにとって唯一の親戚みたいなものだからな。
「だそうだ。トウヤ殿はいかがかな?」
「シエルがやるならもちろん俺もやります。」
ここで即答しないと後でシエルに確実に怒られる。
「あたりまえよ。トウヤは私のパートナーなんだから!」
「よし!では簡単に依頼を話そう―
―――ツウリュウ某所 倉庫内
「ったく使えねえ奴隷だなぁ!」
ガシャァ!
積まれたコンクリートブロックに少女が背中からぶつかる。
「うぅ、、、、ちゃんとテトはお金になるようなもの盗って、、、きた、、、」
「おい、おいおいおい!テトよぉ。俺はいっつも口を酸っぱくして言ってるよなぁ。魔力が込められた本を!盗ってくるんだよぉ!」
丸々と太った男はぜぇぜぇと息を切らしながら、怒りを露わにしている。
ボロボロの布をまとっている少女とは対照的に男は、宝石のついた指輪や首飾りを身に着けている。
「早く探してこいっつってんだよぉ!!」
男は少女の首輪に繋がった鎖を勢いよく引き戻し、浮いた体に蹴りを加えた。
「ぅぁああ!」
積まれたコンクリートの横にある、たくさんの本が並べられた棚に少女の体は打ち付けられ、悲鳴をあげる。
「てめぇら獣人族は頑丈で魔力も多い!奴隷にはうってつけの種族なんだよ!」
暗く埃っぽい倉庫の中には他にも首輪をつけられた数人の獣人族の少女達。
彼女達は震えながら寄り添いあっている。
「絶対に俺様も王国大戦に参加してやる。貴族じゃなくても世界を手に入れてやるんだ、、、」
ジャラジャラと鎖の音だけが倉庫内に響く。
猫耳の少女は歯を食いしばり座り込む。
「自由に、、、なりたいよ、、、」
ガラスの様な翡翠色の瞳からは大粒の涙が一滴こぼれた。
シエルの使用可能呪文一覧
【火焔球】
ランク:初期呪文
魔術系統:放出系呪文
内容:手のひらに火球を生み出し、前方に放出する。




