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リボルバーとチャイナ服


俺とシエルはストリートで買った串焼きを頬張りながら、メディコへ向かっていた。


ちなみに味は、牛の肉を思わせるしっかりとした歯応えと高級な豚肉の油のようなジューシーさを兼ね備えた絶品だった。


ツウリュウ焼きと言う名前らしい。

国の名前がつくくらいだ。

名物なのだろう。


シエルは美味しい美味しいと連呼しながら、歩いていたが心なしか口数が少なくなっていた。


やはり先ほどの奴隷の件が心に引っかかっているのだろう。

とは言う俺も明るく振る舞ってはいたが、内心辛いものがあった。



―――数刻後



「着いたー!やっぱり長いわね。ツウリュウの商店街は。道中色んなものが売ってあって目移りしちゃった。」


俺達はメディコの裏手にある屋敷の玄関と思わしき門の前に到着していた。


「しかしこのお屋敷、オルバンクくらい大きいですね。ニコラスさんでしたっけ。お一人で住まわれているんですかね?」


「どうでしょうね。古文書マニアであり資産家でもある、、、、そうとうなお金持ちのはずよ。」


シエルと俺はその大きな門を見上げるようにして喋っていた。


「すみませーん!ニコラスさんのお宅ですか!?少しお話がしたいんですけどー!怪しいものじゃありませーん!」


「シエル!もう少し言葉を選んでください!もっと丁寧に振る舞わないと、、、、裕福な方は礼儀を重んじる可能性が、、、」


人間は初対面が肝心だ。

第一印象で9割決まるという話も聞いた事がある。

俺としてはかなり慎重にいきたかった。


しかし俺の心配は杞憂(きゆう)と化した。


『これはこれは。シエル様にトウヤ様。アリシア嬢よりお聞きしております。どうぞ中へお入りください。ニコラス様がお待ちになられております。』


これも魔術なのか。

門から直接、綺麗な女性の声が聞こえてきた。

この世界のインターホンはこの形式なのだろう。


ギイイイイイィ


重そうな大きな扉は金属音を立てながら、左右に開いた。


「話が早いわね!行きましょうトウヤ。」



―――屋敷内



「お待ちしておりました。お初にお目にかかります。わたくし、ニコラス様の秘書兼メイド長を務めております、ルーシィ・イラストリアスと申します。以後お見知り置きを。」


全身黒色のワンピース、ところどころに銀色の馬の紋章が散りばめられている。

胸には大きなリボン、艶めいた黒髪のポニーテール。


そして綺麗な顔立ちの女性には似合わない、漆黒に鈍く輝く大きなリボルバー。

腰より少し下のホルスターに丁寧に収められている。


「初めまして。いきなり押しかけてごめんなさいね。私はアトルリア王国第1王女。シエル・アトルリア。こっちは従者のトウヤ。」


ああ。なるほど。

王候補と契約騎士(キャバリエ)というのがバレないように誤魔化したのか。

しかし王女というのは知られてもいいのだろうか。


「初めまして。シエル様の従者を務めております。トウヤと申します。」


ナイスとでも言いたげにシエルは俺に目で合図を送った。


「おふたりのことはオルバンクのアリシア嬢から承っております。旦那様も自室へ通すことを許されておりますので、早速ですが参りましょう。」


ルーシィはくるりと後ろを向き、その黒いワンピースをひらめかせた。

その瞬間―


ドオオォン!


2階から何か黒いものが俺達とルーシィの間に降ってきた。

屋敷一階の玄関内が衝撃と共に巻き上げられた煙で充満する。


「キャア!」

「うわっ!」


俺とシエルはいきなりの衝撃に驚き、後ろに飛び退いた。


充満した煙がだんだん薄れていく。

降ってきた物体が何なのかわかってきた。


目の前にはルーシィと同じく黒い生地。

銀色の馬の紋章がついた衣服を纏った少女が腕を組み仁王立ちしていた。


ルーシィより幼く見える顔立ち。

黒髪の頭には団子結びで2つ。

極め付けは素材はルーシィと同じだが、メイド服ではなく中国を彷彿とさせる着物。


これはチャイナ服だ。


「およしなさいロゥリン。お客さまの前ですよ。はしたない。」


「ルーシィは黙るアル!気づかないアルか!?コイツらとんでもない魔力(マナ)量アル!明らかに普通じゃないアルね!」


ロゥリンと呼ばれた少女は明らかに俺達に敵意を向けて睨みつけている。


体がビリビリする。

これは先日、ヴェルデサーペントから感じたものと似ている。


敵意を持って魔力(マナ)を纏っているのだ。


「ロゥリン!旦那様が良いと言われたのです!下がりなさい!」


ルーシィがロゥリンに対して一括する。

ロゥリンの魔力(マナ)も痛いほど感じていたが、このルーシィという女ヤバい。

ヴェルデサーペントなんか比にならない。


俺とシエルは動けずにいた。

このふたり、俺たちより数段上の強さだ。


戦闘の経験が1度しかない俺にも感じるんだ。

シエルはもっとビリビリ感じていることだろう。


「わ、わかったアル。旦那様が許可してるならここは引き下がるアル。」


「良い子ねロゥリン。でも今あなたがお屋敷の床に穴を開けたのはまた別の話。旦那様にはちゃんと報告し、今月のお給料から天引きさせてもらいます。」


「そ、そんなぁ!ルーシィィィイ!旦那様には言わないでぇぇえ!」


先ほどまでの緊張感が嘘のように、無邪気なやりとりをしている。

ロゥリンもケロッと態度が変わり、どこにでもいる普通の女の子のようになっていた。


「はぁはぁ、シ、シエル。あの子達いったい、、、、」


「相当な使い手ということは間違いないわね。こんな子達を従えているニコラスという男、、、俄然興味が出てきたわ。」


冷や汗をかく俺とシエルにルーシィはペコリとお辞儀をすると手招きをした。


「さぁ、こちらへ。」


俺達は先導されるままに2階へ登る階段を進んで行く。


階段から下の階を覗くと、ロゥリンは一階の穴の周りをぐるぐる回りながら『やばいアルやばいアル』と連呼していた。



トウヤの記憶は思い出の部分が欠落している状態です。

日本の知識等は覚えている状態です。

なので中国だとかチャイナ服だとかは理解できます。


シエルの使用可能呪文一覧


火焔球(ボヘル)


ランク:初期呪文(スペルオブファースト)

魔術系統:放出系呪文

内容:手のひらに火球を生み出し、前方に放出する。

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