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宮之阪の見解

 一度学校まで戻りユウキと別れたあと駅へと歩みを進めつつ、俺は本物だと分かった宮之阪から聞いた話を今一度思い返していた。


 宮之阪のやつ、Kについて俺の想像より遥かに多くのことに気が付いてやがった。あまり考えたくはないがやはりあの宮之阪妹の偽者の身体で色々なことを試したのだろう。近くにKがいる状況でなければ気がつけそうにない事だったからな。


 地下鉄への改札をくぐり抜けホームまでの長い通路を歩きながら、宮之阪が大事にしていたメモの内容を一つずつ記憶に刻み込むように反芻する。


 まず一つ目、ドッペルゲンガー側にもそれぞれに個性がある、ということだ。


 これはヤツらが組織的であることを意味しているらしい。


 俺は逆にKは各個人で行動していると思ったのだが、宮之阪曰く、個性があるからこそ統率を取る必要があるそうだ。


「会社や学校だってそうでしょ?それぞれ違う個性を持った人間がひとつの箱の中で違う方向を向いていたとしたら日本なんて一週間そこらで瓦解しちゃうよ。それこそKだったら尚更、統率が取れてなければ今頃その存在は常識の域にまで達していて絶滅一歩手前にまで追い込まれていたんじゃないかな」


 逆に統率が取れているからこそ、人間サイドは今まで誰も気が付いていなかったのだと宮之阪は言う。つまり、Kには個性があるというわけだ。


 二つ目、Kの増殖方法は大きくわけて二つ。変身と複製がある。これについてはユウキも予測がついていたな。ヤツらは対象の人間に変身するだけではなく、対象の人間の他に同じ見た目のKを造ることが出来るらしい。


「日本の都市伝説の『ドッペルゲンガー』はたぶん本物と複製されたもう一つの身体をそれぞれ違う場所で見たっていううわさ話から生まれたんだろうね」


 宮之阪は少し楽しそうにそう話していたのだが、もし本当にその通りであるのならばKはもう二、三十年以上前から存在していたことになるぞ。


 そして重要な三つ目。Kはどういうわけか鏡が苦手なようだった。正確には自分の姿がうつるものだ。あまり思い出したくないのだが、宮之阪妹は鏡を見ると酷い頭痛のようなものに襲われたのか痛みを堪えるように頭を抱えていた。


「これに関しては偶然見つけたんだけどね。街でも試してみたんだけど、個人差はあれどKと思わしき人はだいたい同じような反応をしたから間違いないと思う」


 意外と言えば意外だったな。まさか日用品の中に対抗手段があるとは。


「あんまり頼りにしない方がいいと思うけどね。ただ苦手ってだけで少しだけ怯ませられる程度だから。まぁでも、一枚くらいはいざという時のために持ち歩いてもいいかもしれないね」


 お前が言うんだからそうした方が絶対にいいんだろうな。


 俺はホームで電車を待つ間、駅への道すがら宮之阪の忠告通り百均で購入した胸ポケットに忍ばせている折りたたみ鏡に手を添えた。いつ襲われてもいいように今から手に握っていても準備し過ぎということはないだろう。


 それに、心做しかさっきから誰かに見られているような気がするしな。鏡を持っているとは言えど、なるべく人通りの多いところを選んで帰るのが懸命だろう。

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