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絶望の未来

 一方。スペクトルの研究所の一室に、マコトがミナミを引き立ててやってきていた。

「来たか。待っていたよ、マルチバースのミナミ・ガイア」

「あんたは・・・あの時の・・・!」

 スペクトルの姿を見るなり、ミナミはカグラからGPドライバーV2を奪った彼のことを思い出した。だがスペクトルが右手に光を宿してミナミに向けると、彼女の体は自由を奪われ、さらに宙に浮遊し始めた。

「この世界の未来のために、七人のイリスV2の力が必要となる。それぞれ異なる七つの属性、それに最も適合するイリスV2達の力が」

「そのために、わざわざ別世界からお前を連れてきた。七つの属性の最後の一つ、唯一この世界には適合する人間がいない厄介な属性・・・それが、大地(グランド)だ」

 スペクトルの言葉を引き継ぎ、マコトがミナミにそう説明した。ミナミの両手と両足に、スペクトルが術で操る枷が取り付けられる。

「意味が分かりません・・・私の属性云々と、この世界の未来に、一体どんな関係があるっていうんですか!?」

「そうか。君にはまず、これから説明せねばならなかったな」

 スペクトルが手にしたいくつかの球体を投げると、球体はミナミの目の前で静止してホログラム映像を表示させた。そこには、二つの地球の図が並び立って映されている。

「君も身をもって知った通り、マルチバースというものは実在する。本来これらは独立の存在であり、互いに干渉することはないのだが・・・この世界と君達の世界に限っては、どうもそうはいかないようでね」

 モニターに表示される二つの地球が、時折近づいて一部が重なり、また離れるといった動きを繰り返し始めた。それを見て、部屋にいたマコトの仲間達が口を開く。

「あたし達の世界とあんたらの世界は、最近時空の狭間を越えて接触することが多くなってきた。これをドクターは、リンクって呼んでる」

「小さいリンクなら、何も問題はないんだけど・・・近い将来、リンクが繰り返し起きていく中で、やがて大きなリンクが発生して・・・」

「そのリンクによって、二つの世界は完全に完全に重なり合う。そして完全に二つの世界が一つとなった時、双方の世界が跡形もなく消滅する」

 ミナミの目の前の二つの地球が、完全に一つに重なり合った。同時に一つになった地球が、粉々になって跡形もなく消滅する。

「ハッ・・・ゲーム、オーバー」

「だが、今ならまだ間に合う。七人のイリスV2の力を結集し、ドクターが最終兵器を完成させる。その兵器の力を使い・・・お前達の世界を、跡形もなく破壊する」

「な・・・!」

 マコトの衝撃的な言葉に、ミナミが思わず小さな叫び声を上げる。それと時を同じくして、人気のない荒れ果てた街を歩いていた誠人が、ついに目指していた白い建物の目の前に辿り着いた。

「あれは・・・ソルジャーロイドか?」

 建物の出入り口を、数体の人型ロボットが警護していた。それらは先ほどミコトとフェイスが使役していたドロイドと同型機のものであったが、初めて見る誠人にそれが分かるはずもない。

「とにかく中に入らないと。・・・よし・・・!」

『Start UP、Land Tiger』

『Aqua Dolphin』

『Magma Scorpion』

 誠人はプラモデロイドのカードを、手あたり次第に全てGPブレスにスキャンさせた。召喚されたプラモデロイド達が一斉にドロイドに襲い掛かり、その注意を引き付ける。

「よし・・・今だ!」

 誠人はGPブレスから光弾を発射しながら、ドロイドを破壊して建物の中に踏み入った。そんなことが起こっているとは露知らず、マコトはミナミに言葉をかけ続けていた。

「お前達の世界が消えれば、もうこの世界が滅びる心配はない。この世界の未来のために、お前達の世界には、尊い犠牲となってもらう」

「そんな・・・そんなこと、許されると思ってるんですか!?」

 両手が枷で拘束されているのも構わず、ミナミは身を乗り出して叫んだ。

「この世界に生きる、大勢の命のためだ。俺達は、それを何としても守らねばならん」

「私達の世界だって同じです!私達の世界にだって、多くの命が息づいてます。人間も、ヒューマノイドもそれ以外の生き物も、皆一日一日を懸命に生きてるんです!その命を犠牲にして・・・この世界だけ生き残ればいいなんて、そんな考えは許されませんよ!」

「大切なものを守るために、他のものを切り捨てる。それができる者こそが、真のヒーローだ。お前が大好きなもう一人の俺だって、俺の立場になればきっと同じ決断を下す」

「いいえ・・・下しませんよ。私の知る誠人さんなら、両方の世界を救う方法を探します!」

 叫ぶようにそう言うと、ミナミはマコトに軽蔑の視線を向けて続けた。

「やっぱり、あんたは誠人さんとは全然違います。・・・ほんの少しでも、あんたに同情した私が馬鹿でしたよ!」

「黙れ!」

 怒りに声を荒げると、マコトは近くにあった椅子を蹴飛ばした。椅子は勢いよく飛んで壁に激突し、その時生じた大きな音に、モニカが怯えたような声を上げて耳を塞ぐ。

「お前に何が分かる?俺だって・・・お前の世界を犠牲にするのは心苦しい。見たことも会ったこともない、たくさんの命を犠牲にするんだ。それが・・・それが苦しくない人間なんているもんか!」

「カームダウン。カーム・・・ダウン」

 フェイスがマコトのもとに歩み寄り、その体に腕を絡ませながら声をかけた。その声ではっと我に返ると、マコトは呼吸を整えてミナミに再度視線を向けた。

「まあいい。お前にも、すぐに変身してもらう。それで全ての方がつく」

 そう言うと、マコトは背後に控えていたエルダに目配せした。エルダはそれにうなずくと、GPドライバーV2とブランクカードを持ってミナミのもとに向かう。

「暴れるな。すぐに終わる」

『Authentication start、please wait a moment.』

 逃れようと必死にもがくミナミの左腕にはめられたGPブレスに、エルダはブランクカードをスキャンさせた。マコトやその仲間達が見守る中、程無くカードの認証は完了した。

『Authentication complete』

「完了した。すぐにでも、始められるぞ」

「よし・・・皆、イリスV2に変身せよ。いよいよ、計画を前に進める時が来たのだ・・・!」

 スペクトルの言葉にうなずくと、マコト達はGPドライバーV2を腰に装着した。ミナミの腰にも、エルダが押し当てたドライバーが装着される。

「さあ、いよいよこの世界を救う時。ミナミ・・・覚悟を決めろ。俺達とお前の力で、この世界を・・・」

「待った!その話、一回保留ってわけにはいかないか?」

 その時、ミナミの耳に聞きなれた声が飛び込んできた。そして声が聞こえた方向から、誠人がその姿を現した。

「・・・!誠人さん・・・!」

 信じられないといった表情を浮かべながらも、ミナミは思わず歓喜の声を漏らした。誠人は彼女に一瞬微笑みかけると、表情を引き締めてマコト達に向き直った。

「お前、どうやってこの世界に?」

「君の仲間・・・そこにいるスペクトルさんの装置を使わせてもらった。スペクトルさん、あなたは元々、僕達の世界の人ですね?」

「・・・!そうなのか、ドクター?」

 驚きと共に問いかけたマコトに、スペクトルは肩をすくませながら答えた。

「すまないね。だが、だからこそ私には見えるのだ。この世界ともう一つの世界が、いずれ迎える結末を」


☆☆☆


 その頃。ブレビアのスペクトルの研究所跡では、レイ達がなんとか接続装置を再び動かそうとしていた。

「レイ、あんまりフィーリングで機械触らない方がいいって。さっきもあんた、それで装置を作動させちゃっただろ?」

「それはそうだけど・・・でも、何もしないってわけにはいかないし・・・」

 何とか装置を再起動させようとあくせくするレイに、カグラが思わず苦言を呈する。その一方で、シルフィはソフィアやファルコと共に、装置に関する記載を求めてスペクトルの資料を漁っていた。

「くっ、ないな・・・せめて、装置の設計図だけでも残っていないものか・・・」

「とにかく今は探すしかねえ。ミュウ、そっちの方頼む」

「あ、はい!」

 ディアナに声をかけられたミュウが、近くにあった一冊のノートを手に取る。それを開いて読み進むうちに、彼女はあることに気づいた。

「これ・・・スペクトルの、日記・・・?」

 ミュウが広げた一冊のノートには、日付や研究時の出来事を記したと思われる宇宙文字がぎっしりと書き込まれていた。ミュウはGPブレスの翻訳機能を使い、その宇宙文字を解読し始めたが・・・

「嘘・・・!皆さん、大変です!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 何か裏がありそうでなさそうな…… はたしてどうなるか、スペクトルはどっちなのか…
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