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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
仮冒険者編
99/120

コミュ症たちは最強を知る。①

「ここがオレの部屋だ!ほら、入ってくれ!」


 言われるがままに、俺達は部屋へと入った。

 部屋を見渡すと、至る所に筋トレ道具が置かれている。

 腕を鍛える物から足を鍛えるものまで様々だ。


 ゲッケイに助けられた後、俺達は無事に街に到着した。

 そして、アーズリバイスらの話をするべく、冒険者ギルドへと訪れていた。


「あれ、付き添いで剣がついてくるって聞いたんだが、剣はどこにいるんだ?」


「あ……えっと……あ、スターチスはその……乗り物酔いしちゃったみたいで……どこかに行ってしましました……」


「乗り物酔いかー。それならしゃーないな!あ、疲れてるだろうし飲み物でも飲むか?お茶に熱湯にバクチャとか色々あるぞ!」


 そう話しながら、席を立ち、飲み物を取りに行く。


 何と言うか……思ってたのと違う。

 最強って言うからには、もっとこう凄い圧力があると思ってた。

 想像以上に普通の人っぽい。

 いやまあ、筋肉凄いし、強いってのは分かるけど……。


「なあ、コウキ。……ゲッケイさんすげえな。なんかもう雰囲気とか、筋肉とか……もうやばいな」


「え、そうか……って、え!?」


 ふとアリウムの方に目をやると、信じられないほどに目が輝いていた。

 尊敬の目と言うのだろうか。こんなアリウムは初めて見る。

 前世で見た推しを見るオタクと似たような感じだ。

 なんか……楽しそうで何よりだ。


「さて……モモの奴から大体の話は聞いてるアーズリバイスの件だろ。本当ならすぐにでも情報を伝えたい所なんだが……実はそうもいかなくなった」


「えっと、そうもいかなくなったって言うのはどいう事ですか?もしかして、私たちが何かやったり……」


「え、いやいや、別にそう言う事じゃねえよ。実はな、みんながここに来る数日前。先行してアーズリバイスの幹部の確保に向かった騎士団と冒険者が返り討ちに合ってな。奴らが今どこにいるのか分からなくなってしまったんだ」


 分からなくなってしまったって……やばくないか?

 せっかく幹部を捕まえるチャンスだったのに、逃がしちゃったのか?

 

「あー、心配はしなくていいぞ!どうやらアーズリバイスはここグリトアに目的がある事が判明したんだ!時間は掛かるだろうが、必ず居場所を見つけて見せるさ!それより……だ。お前らの実力が知りたい。モモから任されてる以上、適当にやるわけにはいかないからな!……ってことで、お前らオレについて来い!」


 ゲッケイは席を立つと、窓を開け、建物の一階へと飛び降りた。

 唖然としていると、階段で良いから下りてこいと言われ、驚きながらもゲッケイの元へと向かって行く。

 ゲッケイの元に着いた頃には、彼は余分な服を脱ぎ、軽く準備運動を行っていた。

 訳も分からず立ち尽くしていると、ゲッケイはニッコリと笑い、大きく口を開ける。


「今から、お前らの実力を判断する!全員同時で良い、オレにかかって来い!殺す気で来いよ!」


「いや……その……こ、殺す気で来いって……きゅ、急に言われましても……」


「良いから来いって!そうだな……これだったら来てくれるかな?」


 そう聞こえた次の瞬間。

 体中に悪寒が走った。

 それと同時に体中を恐怖が覆いこんだ。

 それは魔族と対峙した時と同様の恐怖。

 その恐怖に一度完全に停止しながらも、すぐに対抗するべく戦闘態勢へと入る。

 アリウムたちも同じように反応し、戦闘態勢へと入る。

 

「んー……反射速度はいまいちだな!数秒恐怖に怯えてるし、精神面も強化が必要だな!……あ!今の殺意はオレだから、怯えなくても良いぞ!」


「え、殺意が俺って……俺たちが感じた怖さはゲッケイさんがやったんですか?」


「まあな!こうでもしないと、戦おうとしないだろ!……さて、来いよ!未来の冒険者共!最強の実力ってのを教えてやる!」


「教えてやるって……アリウム、ユリ……ど、どうする?」


「分かんねえけど……あの最強と戦えるチャンスなんて、一生で一回あるかないかだ!やるしかないだろ!行くぞ!」


 そう叫び、アリウムはカエデを片手に、ゲッケイへと駆け出した。

 それに続くように、俺達もゲッケイへと向かって行く。

 

 アリウムはカエデを大きく振り下ろし、ゲッケイの上半身に斬りかかる。

 カエデは防がれることなく向かって行き、間違いなくゲッケイに直撃した。

 しかし、ゲッケイは痛がる様子を見せない。

 それどころか、攻撃を仕掛けたアリウムの様子がおかしい。

 不思議に思いながらも、シャドウハンマーを使い、ゲッケイへ殴り掛かる。

 

 そして、ハンマーがゲッケイに直撃した瞬間。

 瞬時に、アリウムの様子がおかしい理由が分かった。

 

「か……かたい……!」


 硬い。尋常じゃなく硬い。

 それに加えて、全くビクともしない。

 人間を殴ったとは思えない。

 街を囲んでいる壁を殴ったような感覚だ。

 筋肉が凄いとは思っていたが、ここまで硬いなんて……。


「うおりゃあああああああ!……って、え!?岩盤!?……って、いっっったい!」


 馬鹿みたいに叫びながら向かって行ったカンナは、殴ると同時にその硬さに驚き、その場に倒れこんだ。


 カンナの攻撃は相当な攻撃力を持っている。

 それなのにも関わらず、ゲッケイを動かす事すら出来ず、逆にダメージを受けてしまう。

 一体どれだけの硬さを持っているんだ……?

 

「いや……どれだけ硬くても、連続で攻撃すれば何とかなるはずだ!行くぞみんな!」


 アリウムの掛け声とともに、全員で攻撃を仕掛け続ける。

 今日まで鍛え続けた全ての技術を使い、全力で攻撃し続ける。

 しかし、どんな攻撃を仕掛けようとも、ゲッケイの足はその場から動かない。

 それどころか、かすり傷の一つも与えられない。


「畜生……傷一つつけられないなんて……」


「……よし!……はっ!」


 突如叫んだかと思うと、ゲッケイは真正面目掛けて軽く拳を振るった。

 傍から見ればただの素振り。

 そんな素振りをした次の瞬間、俺達を強風が襲った。

 その強風に耐えることが出来ず、俺達は一斉に吹き飛ばされた。

 勢いよく吹き飛ばされたせいか、壁に叩きつけられた俺達は誰一人として立ち上がることが出来ない。


「うそ……だろ……素振り……だけで……」


 俺達の全力の攻撃をもろともせず、素振りだけで全員を吹き飛ばす。

 これが……最強の男。

 これが……モモ校長と並ぶ力を持つ男。

 余りにも圧倒的な力だ。


「よし、大体分かった!お前ら……強いな!その歳でここまで強い奴はそういないぞ!……ただ、お前らはまだまだ強くなれる!これから、オレたちがお前らを強くしてやろう!」


 そう叫ぶと、ゲッケイさんは再びニッコリと笑った。

圧倒的な最強の力

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