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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
仮冒険者編
98/120

コミュ症たちは要塞都市へ行く。②

「嫌だあああああああ!誰か……誰か助けろやあああああ!ひひゅああああああああ!」


 馬車中に悲鳴が響き渡る。

 まさに限界を迎えている者の、地獄の様な悲鳴。

 最初は当然心配し、悲鳴の原因となるものを解決しようとした。

 しかし、十数分も悲鳴を上げ続けていれば、対応も変わってくる。

 ついに限界が来たのか、カンナが大きく声上げた。


「あー……もうっ……いい加減にうるさい!もう少しで着くんだし、もっと静かに出来ないの!?」


「うん、カンナの言う通りだ。もっと静かに出来ないか?……スターチス」


「いや、無茶言うなやああああ!俺様はもう限界なんやああああ!もう馬車酔いが限界超えて限界なんやああああ!早く馬車を止めてくれええええええ!」


 十数分前から、ずっとこの調子だ。

 本人曰く、どうやらスターチスは乗り物に弱いらしい。

 弱いと言っても、乗り物に乗って、すぐさま酔うという訳ではない。

 数十分なら大丈夫らしいが、臨界点に達した瞬間、全てが爆発する。

 一気に気持ちが悪くなり、信じられないほどの吐き気を催すらしい。

 とは言っても魔剣だから吐いたりは出来ないらしいがな。


「あー……もうやばい!このままじゃ俺様大変な事になっちゃうで!本当に大変な事になっちゃうで!早く……早く馬車止めてええええ!」


「もう少しなんだから落ち着いてください。というか、瞬間移動できるんですから、一人で瞬間移動すればいいじゃないですか」


「それは駄目だ!ここで一人離れて、その間お前らに何かあったら大変やろ!俺様の身にもなってみろ!モモの奴にボコされるだろうが!」


「ボコされるって……自分の保身なのかよ……ん?あれは…………」


 ふと外を見ると、一面の草原の中に一つの建造物が建てられているのが見えた。

 石造りの長い塔のように見えるが、一体何なのだろうか。


「お、あれは見た事あるぞ。確かあれは試練の塔だな!となると……あ!おいコウキ、塔の向こうを見てみろよ」


 アリウムに言われるがまま目をやると、そこには巨大な壁が並んでいるのが見えた。

 その壁は学園のあった街を囲っていたものよりも巨大で、随分と長く続いている。

 その圧巻の景色に思わず息をのみ、これからそこで日々を送ることを想像し、胸を膨らませる。

 そんな時。隣から微かな声が聞こえた。


「もう……無理や……」


「……え?」


「もう限界やああああああああ!お前らあああああ!なんかもう……ちゃんとしろよ!俺様は外の空気吸ってくるううううううううう!」


 突如としてそう叫ぶと同時に、スターチスはどこかへと消え去った。

 ついに酔いが限界だったのだろう。

 

「……スターチス行っちゃったな」


「ああ……そんなに辛いのなら、もっと早くに行けばよかったのにな」


「その通りだな。全く……スターチスは……」


「アア、ニンゲン……カ?」


『!?』


 余りにも突然だった。

 突如、馬車内に冷たい声が響いた。

 全員前を見ていたこともあり、その姿を見てはいないが、それでもその場の全員が理解した。

 その声主が俺たちの格上の存在である、魔族であるという事を。

 

 その存在に気づいたのか、馬車を引っ張っていた鳥はキャベツを追うのをやめ、凍り付いたかのようにその場に完全に停止した。

 運転手も同じように完全に停止し、全く動こうとしない。

 彼も魔族の存在に気づき、動いてはならない事を理解したのだろう。

 その場の全員が沈黙していると、再び後ろの魔族は声をかけた。


「ニンゲンカト、キイテイル……」


 答えなければならない。

 答えなければ、殺されてしまう。

 かと言って、答えたとしても、殺される可能性は高い。

 どうしようもない。絶望的状況と言っても過言ではない。

 それなら……。


「やられる前に……影!」


 酷く怯えながらも、勇気を振り絞り、影を操る。

 勝ち目はないと理解はしている。

 しかし、師匠の時の様に、もう大切な人を失う訳にはいかない。

 その一心で、勇気をもって立ち向かおうとする。


「シャドウハン……」


「モウイイ、シネ」


 影で武器を作り終える直前。

 魔族はその腕を俺の首元へと振った。

 当然反応することは出来ず、本能的に自らの死を悟った。

 その時、魔族の腕が吹き飛んだ。

 それと同時に、俺たちの目の前に誰かが現れた。

 

 その男は上の服は着ておらず、見た事がないほどの筋肉で身を包んでいる。

 尖ったような橙色の髪をし、背中には巨大な傷跡がある。

 男は振り向くと、一人一人の顔を確認する。

 そして、それを終えたかと思うと、顔を戻し、動揺する魔族の顔目掛けて、拳を炸裂させた。

 次の瞬間。魔族は突風と共に数十メートル先へ殴り飛ばされた。

 その勢いから察するに、間違いなく即死だろう。


「いやー、悪かったな。一体魔族をやり損ねてしまってな。みんな怪我は無いようで安心した!」


「は……い……えっと……あなたは……」


「オレはゲッケイ!最強の異名を持つ、人類最強の男だ!」


 彼はそう叫ぶと、ニッコリと笑った。

突如現れた男の実力は……?

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