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コミュ症異世界生存史  作者: GIN
仮冒険者編
85/120

仮冒険者の乙女たちには、楽しくお出かけをする時間も必要である。

本編が間に合わそうだったので、番外編です!

ユリ視点で描かれる、休日の話をお楽しみください

「よし、これで良いかな」


 そう呟きながら、髪の毛を整え終えると、身支度に使った道具を引き出しへ丁寧にしまう。

 それを終えると、机の上に準備しておいたバックを肩にかけ、浮き立つ気持ちを抑えながら、扉を開け、一階へと一気に駆け降りる。

 一階では既にカンナとグリシアさんがおり、楽しそうに雑談していた。


「ごめん二人とも、少し待たせちゃったかな?」


「いや、時間ピッタリだよ。それじゃあ……行こうか」


「うん!」


 そう答えると、私たちは足並みを揃え、宿屋を出発し、商店街へと歩みを始めた。


 ダンジョン攻略を始めた日から数日が立ったこの日。

 私とカンナとグリシアさんは三人で、商店街へ買い物に出かけていた。

 随分前から女子だけで買い物に行きたいと考えてはいたが、休みと用事の関係で、全員の予定が合う日がなく、先延ばしになっていた。

 そして今日。ついに全員の予定が合い、女子だけで買い物に行ける事になった。

  

 この町に来てから初めての女子だけでの買い物。

 自然と口角は上がっていき、心は幸せで満ち溢れていく。 

 どれだけこの日を楽しみにしていたか……。

 今日は目一杯楽しもう!


「いやー、それにしても、商店街楽しみだね!うち忙しくて言ったことなかったんだよねー。コウキに聞いたんだけど、美味しい食べ物がいっぱいあるらしいよ!」


「アクセサリーとか、雑貨とか、他にもいろいろな物があるらしいよ!この町の商店街には大抵のものが揃っていて、一日居ても飽きないらしい!」


「それは楽しみ。珍しい道具とかもあると良いな」


 私たちは楽しいと噂の商店街に想像を膨らませながら、人が溢れる道を歩いて行った。

 すると、数分で前方に巨大な看板が掲げられている通りが見えてきた。

 私たちは顔を見合わせると、看板の方へと一気に駆けていく。


 近くで看板を見ると、そこにはデイング商店街と書かれており、その奥は様々な店が並び、人の活気で溢れていた。

 間違いない。ここが噂の商店街だ。

 私たちは財布を取り出すと、商店街へと入って行く。


 手始めに美味しそうな匂いがする近くの出店に立ち寄り、美味しそうな串刺しを購入する。

 全員が購入するのを終えると、一斉に串刺しを口に入れる。 

 それと同時に、全員が一斉に声を上げた。


『おいし~!』


「なにこれ!凄い美味しい!うちこんなの食べたことないよ!」


「うん。凄く美味しい。こんなに美味しい串刺しは初めて」


「本当に美味しいね!肉とタレが絡み合ってて、凄い!」


 それなりに美味しい食べ物は食べてきたと思っているが、ここまで美味しい串刺しは食べたことがない。

 これなら高級料理と言っても過言ではないと思うけど、子供の小遣いで買える値段だなんて……。

 デイングの町ってなんて凄いんだろう。


「……ねえ、実は私少ししかご飯食べてきてなくてさ。まだまだ食べれるんだけど、みんなはどう?」


『もちろんいける!』


「よし、それじゃあ、最初は!食べて、食べて、食べまくろう!」


 私たちはそれだけ話すと、すぐさま他の料理店を回り始めた。

 美味しそうなパンや、肉、魚などなど目に映るものは一通り食べて行った。

 中でもコウキくんから教えられていた肉まん?に似た見た目のクルパンは甘く、優しい味がして美味しかった。

 そんなこんなで食べ歩きをしていると、次第に腹は膨れ上がり、時間も数十分が立っていた。


 私たちはゴミを捨てると、付近のベンチに座り、休憩を始めた。

 大量の食べ物を食べた後に、ゆっくりと座って休むのは最高の気分だ。

 日頃の疲れも取れ、幸せな気持ちになっていく。

 しかし、そんな中。カンナが衝撃的な言葉を放った。


「いやー、たくさん食べたね!これだけ食べたら、太っちゃいそうだよー」


「うぐっ……」


 私たちは短時間で大量の食べ物を食べた。

 主食からデザートまで、それはもう大量に食べた。

 それなのに、私たちは何の対策もしていない。

 カンナの言う通り、太ってしまうかもしれない。


 一瞬そんな考えがよぎったが、即座に否定し、ゆっくりと口を開く。


「い、いや、大丈夫だよ!ほら、私たち普段から運動してるじゃん!きっとこれくらいじゃ太らないよ!」


「うーんどうかな……。いくら運動しても、太るときは太ると思うよ。実際ユリだって、最近ちょっと太ってきてるじゃん」


「……え」


 そう言われ、恐る恐る自らの腹周りを見てみる。

 確かに少し前より、お腹が出ているように見える。


 しかし、ほんの少しだ。

 本当にほんの少しだけ出ているように見えるだけで、殆ど出ていない。

 これは太っているとは言わないと思う。

 太ってるとは……言わない……はず。 


 ……あ、そうだ!

 今日の服はいつもより数センチ厚い。

 きっと少し厚いせいで、そう感じているせいで、実際は前と変わっていない。

 そうだ、きっとそうだ!


「ふ、服のせいだよ!服の材質がいつもより厚いから!」


「いや、少し厚くてもそこまで変わらないでしょー!どれどれー……」


 そう言いながら、カンナは私のお腹をつねって来た。

 それから考えるような仕草を取ると、ゆっくりと口を開いた。


「うん、間違いない!前よりも太ってる!前触った時はこんなんじゃなかったもん!」


「い、いや、気のせいだって!あ、グリシアさん!グリシアさんは変わってないと思うよね!」


「え、いや、太ってると思う。この町に来てから、少しずつお腹周りが出てきてると思うし、そろそろやばいと思う。このままじゃ、誰が見ても分かるくらいに太ると思う」


「……え」


 グリシアさんの言葉が心にぐさりと刺さった。

 確かにこの町に来てから、夕飯が美味しすぎて毎日の様にご飯のお替りをし、毎日の様に感触を行っていた。

 それがまさか、こんな形で出てくるなんて……。

 

 認めたくはないけど、このままじゃ確かに大変な事になるかもしれない。

 これはやるしかない。


「分かった。……よし、私ダイエットする!二人の話を重く受け止めて、明日からダイエットします!」


「おー、頑張れ!応援してるよ!」


「カンナにグリシアさんも一緒にどう?二人も今日たくさん食べたし、やばいんじゃない?」


「ユリも知ってるでしょ。うちは食べても太らないタイプだから大丈夫!グリっちもスタイル良いし、大丈夫でしょ!一人で頑張れ!」


「もう……まあいいや!そうと決まれば、商店街でダイエット道具でも買おうかな!みんな休めたっぽいし、今度は道具とか、アクセサリーとか見に行こうよ!」


 私の言葉を聞くと、カンナとグリシアさんは同時に頷いた。

 私たちは荷物をまとめ、再び商店街の店を回り始める。


 商店街には様々な商品が売られていた。

 文房具や武器、服や日用品などそれはもう様々だ。

 私たちは順番に店を回っていき、新しい服や文房具などを楽しく話をしながら買っていく。

 ダイエット用の道具も売られていたため、勿論私は即座に買い、バックの奥へと詰め入れた。


 何やかんやは無しながら買い物をしていると、時間はあっという間に過ぎていき、気づいた時には夕方に差し掛かっていた。

 そんな時だ。一つのアクセサリーが私の目に留まった。


「ねえ、二人とも、これ見てみて!」


「ん、なにそれ、花のアクセサリー?えっと、確かその花は……」


「ローダンセね。確か春から夏にかけて咲く花だったはず」


 グリシアさんの言う通り、これはローダンセの花の形をしたアクセサリーだ。

 花弁は綺麗な銀色で出来ており、中央部分は物によって違う色で出来ている。

 ピンク、黄緑、赤と様々な色違いがあり、どれも綺麗な物ばかりだ。


「それで、このアクセサリーがどうしたの?」


「ほら、真ん中の部分が色違いだしさ。記念にそれぞれ別の色で買いたいなって」


「色違いのお揃いか……凄く良いじゃん!三人で出かけた記念に、買おうよ!グリっちも良いよね?」


「え、こっちこそ良いの?私とお揃いって……」


「何言ってんの、良いに決まってるじゃん!さて、それじゃあ、うちはやっぱりピンクかな!いやけど、赤も良いな……」


 そう言いながら、カンナはアクセサリーを手に取り、物色し始める。

 私とグリシアさんもアクセサリーを手に取り、自分に合う色を探し始める。

 種類が多いせいで、相当長い時間悩むことになったが、

 結果的に私が黄緑、カンナがピンク、グリシアさんが赤色に落ち着いた。

 私たちはアクセサリーを購入すると、それぞれ財布やバックにつけ、見せあいっこをした。

 

 それから、時間が時間だったこともあり、忘れ物がない事を確認すると、荷物を持ち、宿への帰路についた。

 たくさんの物を買ったせいでバックは重く、行きに比べて足も遅くなってしまう。


「いやー、それにしても本当に楽しかったね!商店街面白すぎた!」


「うん。ご飯も美味しくて、道具も良い物ばかりだった」


「うん!絶対に忘れられないくらい、楽しい日になったよ!……ねえ、二人はローダンセの花言葉知ってる?」


 カンナは考えるような素振りをすると、数秒黙り込んだ。

 そして、顔を上げたかと思うと、自信ありげに口を大きく開いた。


「うん、うちは知らない!」


「まあ、何となくそんな気はしてたけど、それなら自信満々に答えないの!グリシアさんは知ってる?」


「確か……終わりのない友情?」


「うん、大体そんな感じ!……実はお揃いのアクセサリーを買う前から、私はその意味を知っててさ。その……私たちの友情も終わりのない友情になれば良いなって思って、ローダンセのアクセサリーをお揃いのアクセサリーにしたんだ。一応、お揃いにした理由を言っておこうと思ってさ。まあ、そんな感じ」


「終わりのない友情か……良いね、ローダンセ!……っていうか、元からうちらの友情も終わりなんてないよ!ね、グリっち!」


「……うん!」


「……うん、そうだね!いやー、なんか言ってみたけど、今になって少し恥ずかしくなってきたかも」


「何言ってんの、恥ずかしがることなんてないよー!」


 それから、私たちは今日の事や、趣味の話。

 仮冒険者の話や、ダンジョンの話をしながら、ゆっくりと歩いて行った。


 そして、数分後。

 宿に着くと、今日は疲れているという事ですぐに解散になった。

 私は自室へ戻ると、バックを開き、今日買った物をしまい始める。

 服に筆記用具。武器にダイエット用品。


 全ての物を整理すると、部屋着に着替え、ベッドへ横になった。

 今日会った楽しい事を思い出し、少し笑い、ゆっくりと夢の世界へ落ちていく。

 明日も、楽しい一日になる事を願いながら。

 

 そして、翌日。

 私たち、女子仮冒険者はいつもの様に、冒険者用の服に着替え、仕事に出かける。

 しかし、私たちの服装にいつもと違う所があった。

 それは私たちが全員、お揃いのアクセサリーを身に着けているという所だ。


 私たちはそれぞれのアクセサリーを目にすると、笑いあい、楽しく話しながら進んで行く。

 仮冒険者として、困っている人々を助けるために。

次回は本編書きます

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