コミュ症たちは、初めてダンジョンを冒険する。②
「おい、見てみろよ!これなんか凄そうじゃね!?」
「確かになんか凄そうだな!なんか……古くて貴重そうだ!」
そう話しながら、俺とアリウムは手に取った古びれた箱をバックへとしまった。
ダンジョン攻略を始めてから既に十数分は経過した。
運が良い事に、俺たちはモンスターと一体も出会うことなく、ダンジョンを進むことに成功していた。
時々、道に迷ったり、昔の人が侵入者対策として作ったであろうトラップに引っかかることはあったが、誰一人として怪我もしていないし、体力もそこまで削られていない。
全くもって順調だ。
そして、ここまでダンジョンを進んではっきりしたことがある。
やはり、ダンジョンは凄い所だ!
見たこともない昔の物が転がっていたり、不思議な鉱石が埋まっていたりする。
昔の人が使っていたであろう隠し部屋や、武器などをしまっていた武器庫のような部屋。
他にも、様々な部屋がダンジョン内には用意されている。
まるで初めてのゲームをしている時の様な楽しさがある。
「よし、この部屋はこれくらいで良いかな!次は向かいの部屋に入ってみようよ!」
「そうだね!よし、うちが一番のり!」
そう言いながら、カンナは向かいの部屋の扉を破壊し、楽しそうに部屋へと入って行った。
それと同時に、突如カンナの大声が廊下に響き渡った。
何事かと、カンナのいる部屋へと入って行くと、カンナの目の前には一つの箱が置かれていた。
全体的に赤色で、金色で装飾されている。
RPGで出てくるような、高級感が漂う宝箱だ。
「た、宝箱だ!みんなみてよ、宝箱だよ!絶対すんごい宝が入ってる奴だよ!」
「確かに宝箱だな。……だけど、なんか変じゃねえか?何でこんな大きな部屋に、宝箱が一つ置かれてるんだよ」
確かに、アリウムの言う通り変だ。
というか、変でしかない。
基本的にダンジョン内にある箱などの設置物は、しばらく動かされていなかったせいで埃が積もっていた。
それなのにも関わらず、この宝箱には埃一つついていない。
そして、宝箱の装飾もおかしい。
ダンジョンを探索した感じ、ここのダンジョンにある物は古代に作られたような物ばかりで、ここまで綺麗に装飾されたものは置かれていなかった。
それなのに、この宝箱のみ、金で綺麗に装飾されている。
うん、誰がどう考えてもおかしい。
恐らくは罠か何かに決まっている。
こんな怪しい宝箱を開ける奴なんて、いるわけないだろ。
「さーて、何が出るか……な!」
そう言うと同時に、カンナは勢いよく宝箱を開けた。
誰がどう考えても変な宝箱を、一切躊躇することなく開けた。
……いや、流石にバカかよ。
だって……え?どう考えても罠だろ。
怪しすぎる宝箱をそんな勢いよく開けることある?
カンナは頭が悪いとは知っていたが、ここまでとは。
いや、もしかしたら、本当にただの宝箱だったという可能性も……。
そう思った次の瞬間。
突如宝箱が光りだしたと思うと、巨大な破裂音がしたと同時に、床が崩れ始め、俺たちは真下へと落下し始めた。
当然対応することが出来ず、空を飛ぶことが出来ない俺たちは真っ直ぐ数十メートル先の地面へと、抵抗することなく落ちて行く。
その時、ユリが風の力を使い、地面に直撃する直前に、風のクッションを作り出し、俺たちが地面に叩きつけられるのを何とか防いだ。
「し、死ぬかと思った……ありがとう、ユリ」
「気にしないで……というか、何やってるのカンナ……あんなバレバレな罠に引っかかるなんて……」
「え、あれって罠だったの!?ごめん、普通に分からなかった。どっからどう見ても普通の宝箱だったんだけどなあ……みんなごめん!」
「いや、気にしなくていいぞ!それに、話は後にした方が良さそうだ」
そう話すアリウムの視線の先を見てみると、ぼんやりと人影が見えた。
いや、よく見るとそれは人ではない。
人の様に服を着ていないし、皮や肉もついていない。
それは、全身が骨で出来た、古びた剣と盾を持つ骸骨のモンスター。
この間師匠に教えてもらった。その名はガスケルトン。
人間の骨の形をしたモンスターだ。
その数は十数体と言った所か。
宝箱の罠を作った人が用意しておいたのか、勝手にこの空間に入って来たのかは分からないが、非常に厄介。
ボロボロだが、この数だ。少しでも油断はできない。
「……どうしますか?それなりに数がいますし、暗すぎてここがどこだか把握も出来ていない。ハッキリ言って、逃げるのは厳しそうですけど」
「決まってるだろ。全部ぶっ倒して、その後に面倒くさいことは考えよう!」
「よし、みんな前に作ったフォーメーション覚えてるよね!そのフォーメーションで、確実に倒そう!」
ユリの合図をきっかけに、俺たちは動きを開始する。
ほとんど光が入らないこの空洞では、影を作り出すのは困難だ。
まずは、影を作り出すための光を作り出す。
持って来ておいた愛用のバックに手を突っ込み、奥の方にしまわれているそれを取り出す。
そして、それの凹みを押し、それの機能を発動させる。
それは凹みが押されると同時に光りだし、少しではあるが周辺を照らし始めた。
これは少し前に魔剣スターチスから貰った石球電気。
凹みを押すだけで程よい光を発してくれる、石の様な物質で出来た球体だ。
この世界では懐中電灯の役割を担っているらしいのだが、影がある場所でなければ、力を使えないという弱点の一つを克服する手として買って貰ったのだ。
この電気を使う事により、俺は光の届かない地下深くであろうと、影を使い、戦えるようになったのだ。
俺は石球電気によって作られた影に触れ、シャドウメイルを身にまとう。
そして、残った影で双剣を作り出し、戦闘態勢へと入る。
「よし……いくぞ」
そう呟き、俺はガスケルトンへと襲い掛かる。
双剣を大きく振り上げ、全力で斬りかかるが、ガスケルトンは盾で軽々とガードし、剣で俺の胴体を斬りかかる。
その一撃は体が骨のみで出来ている者が放ったとは思えないほど強力な一撃だ。
しかし、俺のシャドウメイルには傷一つつけることが出来ず、その一撃は失敗に終わった。
その攻撃の隙を突き、今度は俺から攻撃を仕掛ける。
右手の剣は再び盾に防がれるも、左手の剣は真っ直ぐにガスケルトンの胴体へ直撃し、そのままガスケルトンを斬り飛ばした。
全身が骨で出来ているからか、ガスケルトンの体には耐性が全くなく、その一撃のみで動かなくなった。
攻撃に気を付け、盾を避けて攻撃すれば、意外と簡単に倒せる相手のようだ。
ガスケルトンの性質を大体理解したところで、他のガスケルトンへと襲い掛かっていく。
ガスケルトンは剣と盾を駆使し、俺の攻撃に対抗してくるが、グリシアのアシストもあり、簡単に倒すことに成功した。
その流れに乗り、次々とガスケルトンを倒していくと、数分で全てのガスケルトンを倒し終えた。
最初はどうなる事かと思ったが、想像以上に簡単に倒すことが出来た。
力は強いし、武器の扱い方は厄介だったが、防御力が薄く、一撃で倒すことが出来たのが大きかった。
「さて、全部倒し終えた所だけど、どうする?」
「そうだね……。とりあえず進んでみない事にはどうしようもないし、空洞が続いている方に進んで行こうよ!」
俺たちはユリの意見に賛成し、行ける所を通って、まっすぐ進んで行くことにした。
ダンジョンの地下深く。何も起きずに戻れればいいが……。
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